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やったよ『未解決事件は終わらせないといけないから』(記録 2024/07/01)

2時間で終わらせたら返金できるから全力で走ろうと思ったら、普通に面白くてじっくり読み込んだ結果2.5時間かかった。まあ全然いいんだけど……アタシとしてはおすすめするゲームではないな……

「時系列を組み替えてパズルする」システムはかなり面白いし、それを支えるUIもしっかりしていた。

「推理をすることによるリターン」を「パスワードの解読」という目に見えないリターンと「キーアイテムの入手」という目に見えるリターンの2軸に分けることでゲーム進行を制御するアイデアは本当に新鮮で面白かったな。

たとえば脱出ゲームは前者、逆転裁判は後者なんだけど、これらを合わせ技にしたゲームは見たことがないし、それだけでシンプルな1画面ゲームの味わいに深みが出せているのはアイデア勝ちを感じた。そこは本当に見事。

そこを含めたゲーム構造としては「考察ごっこ」が一番近いのかな。

「名探偵になりたい」って欲は誰しもあるんだけど、それの手がかりを探す過程をゲームにすると籠の前に点々とケーキを置いておくトラップみたいになっちゃうって問題を旧来の推理ゲームは抱えてたと思うんだよ。

だから「最初から手掛かりは全部盤面にばら撒いて、それをいい形で拾い集めると褒められる」ってゲーム体系に「考察系」のガワを乗せて遊ぶ「考察追体験インタラクティブ」が令和ミステリのトレンドになりつつあるとアタシは考えている。

たとえば「変な家」的な「賢い考察者を追体験できる一人称小説」、「かがみの特殊養護施設」みたいな「考察ごっこをするためのインタラクティブWebページ」みたいな流れがある中で、テレビゲームがミステリをやるにあたって独自性を活かした「散らかった材料から考察する時の脳内を擬似的に再現したゲーム」に辿り着いて、それを作ろうとした試みは非常に評価できる。

ただ肝心のストーリーがイマイチなんだよな……。「封印された事件を解くうちに優しい嘘が重なった結果の悲劇が顕になりやりきれない気分になる」ってやりたいことはわかるんだけど、事件の大筋が「変になっちゃった人をどうにかなだめすかす」に割いてるのが本当に苦手な手つきだった。

カオスパステルオレンジもだけど、「不合理なことが起こってるのはそいつが変な奴だからです」で済ませる推理作品が好きじゃないんだよ。同じこと2回やるし。

夢水清志郎シリーズとロジックは同じなんだけど、アレが成立してたのは主人公がヘラポッポだったからで、普通に気に病んで再起不能になられるとこちらとしても「こいつ何やってるの?」以外に言うことなくなるんだな。


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