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やったよ『デビラビローグ』(記録 2021/10/06)

ストーリーのクリアはした。

ファーストインプレッションで「RPGとしては普通に楽しめるしStSとしても普通に楽しめるけどそれらの相乗効果がどう機能しているかがなんとも言えない、3本腕のカイリキー」と言ったんだけど、最終的に1本腕まで落ちたなあといった感じのゲーム。私はハマれなかったけど、TCGがあると触るタチなので「ハマるほどじゃないなあ」と言いながら25時間くらいプレイしてた。怖っ。

RPGとしては無難かそれ以下。

コンシューマばかりやる身からすると操作性は悪いがスマホ版ドラクエ7もこんなもんだったし、スマホRPGとしては相当質が高いんじゃないかなとも思う。

私としてはストーリーが一番評価できるポイントだった。世界観、ストーリーライン、キャラクターの全てがいい意味で無難で害も毒もなく、無味無臭だがそこが評価できる。メインキャラクターが全員そこそこ賢くてそこそこいい奴なので遊んでいてストレスがない。

それを徹底しすぎたゆえに発明された「シリアス展開をやる際には1~2人にヘイトを全て負わせて、メインキャラが一丸となってそれの解決に当たる」手法は鼻につく時の暗殺教室みたいで私は嫌いだが、「令和ナイズされたJRPG」としては相当いい線を突いているのではないか。

反面ユーザーフレンドリー性はかなり悪く、特に依頼システムが要求する「特定の場所で依頼を受ける」→「茫漠なヒントから依頼人を探す」→「依頼を終わらせたら依頼人のところに自分で戻る」→「特定の場所まで戻って依頼を報告」の一連の流れは令和どころか平成のゲームでももう少し丁寧にできただろ、と思わざるをえない。

内容も単純なお使い未満の行って帰ってきてかカルマ(StSで言うA)を設定して特定ダンジョンに行けしかなく、せっかくのサブクエストなのに作業としか思えなかったのは残念。

StS×JRPGの試みはなんなら失敗していて、「デッキ構築ローグライトに特化した戦闘システム」と「なかなかシリアスな展開」の組み合わせが事故を起こしている。

どんなにRPGパートでストーリーが盛り上がってもそこからStS戦闘に繋げられない以上「敵がラビリンスの最奥にこもる」か「代わりにNPCが敵を倒してくれる」しか起こり得ないため、シームレスな戦闘が起こらないのが透けて見えるのはプレイ中にかなりの冷めを起こした。

戦闘がStSのせいでRPG要素のストーリー的盛り上がりとゲームの盛り上がりを一本化できない」は依頼システムの悪さにも繋がっており、このゲームが抱える課題と言える。

デビラビローグ最大の特徴と言える、RPGの育成要素をガチャと繋げて「キャラの素テータス育成」「カードプールの増加・強化」「リソースの追加・メリットイベントの増加」を一本化したザガンガチャは個人的には微妙。

そもそもStSクローンは大元であるドミニオンの「鍛冶師ステロ」に代表されるように選択肢が(良質であれば)少なければ少ないほど得するシステムなのに、育成の度にカードプールを汚されて「汚いプールの強いキャラ」か「美しいプールの弱キャラ」かのネガティブな二択を強いられるのは面白いゲーム体験とは言い難い。

ダンジョン中のイベントもそうなんだけど、ローグライトの選択肢は「ハイリスクハイリターンor(パスを含む)ノーリスクの何か」、あるいは「ノーリスクローリターンの二択」のようなポジティブな二択でないとランダム性に対するイラつきが出るだけのはずなのに、このゲームは割と躊躇なくネガティブな二択を突きつけてくるよな。

とはいえガチャの中には「(タイムライン制の戦闘における)素早さ上昇」「初期デッキのカード強化」など無法なものが多いためガチャを剥かない理由はほとんどなく、私が勝手にストレスを感じているだけと言われたらそこまでだが。

一応「カードプールはそういうもの」と割り切ってガチャを剥ききれば先の問題は解決するのだが、今度は「定期的に新しいデッキとそれに対応したガチャ、新デッキでないと攻略できないダンジョンが追加され、カードプールを育て直し」になるのが本当に面倒だった。

「足りないリソースをやりくりするギリギリの戦闘を楽しむか、じっくりレベル上げするかでゲーム体験が変わってくる選択肢の豊富さ」がRPGの良さなのは間違いないが、「ローグライトの選択肢プール」は明らかに「プレイヤーが介入できるゲーム体験」よりメタが一段上の話なので、プールの強弱をRPGのサビにされても困るというのが私の意見。

この辺のストレスもStSクローンとしては楽しいから、と言いながら飲み込める地力はあり、実際「防御カードの代わりに陣形交代があり、リジェネとダメージの平均化で受ける」システムは斬新で最初のうちはとても楽しかったのだが、しばらく(12時間くらい?)普通にプレイしていて、何も考えずプレイしていたのに実現可能性の高い無限ループを発見してしまったのが終わりの始まりだった。

ACT3限定で組めるデッキなのだが、

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……さすがにこの2枚だけでループが起こるのはテストプレイ不足の誹りを受けても文句を言えないやつじゃないか!?

というかスレンダーストーン側の受けがプールにもう一枚あるから故意の可能性がかなり低くて、チェイスダウン+のテストをマジでしてないとしか思えないんだよな。親に向かってなんだそのキャントリは。ヨミジ並にテキストに「ループします」って書いてあるカード久々に見たよ。

もちろんこの手のゲームと無限ループは不可分であり、一応本家StSにも「剣の一閃ループ」という実現可能性の高い無限ループはあるが、ほぼネタないし実績解除のためのイロモノプレイである剣の一閃ループと違いデビラビローグのループはあまりに容易すぎる。

「先も言ったようにシステム上山が薄くても防御面には何も影響がない」
「初期レリックが防御特化であり、ループを組めない序盤の生存確率が圧倒的に高い」
「初期デッキ8枚で、しかもこのプールの初期デッキは2枚がキエモノのため、初手ループにこだわらなければカード2枚追加+山を3枚消すだけで完成してしまう」
「ショップの陳列が多すぎる、ドロップ品のリセマラ権がある、そもそも要求カードのレアリティが低めなどの理由から揃えやすさが段違い」
「これらのカードは普通に強く、ループに参入できなくてもピックする価値がある」
「試合中に手札のカードを消すカードがあまりに多く、しかも全てスペックが高い」
「初期デッキのアッパーウィングがやたら強く、最悪『山を全部消してアッパーウィングだけで戦う』でもゲームになってしまうため、ひたすら山を消すプレイに本当に裏目がない」

などのループの背中を押しているとしか思えない理由で、ループを知ってからは冗談抜きで9割の確率で完全ループ山を構築することができた

私は一人用ゲーム、ないしレートや金のかからない対戦ゲームのバランスはいくら崩壊しても「これが適正です」と言い張ってよいと思っているタイプのプレイヤーなのだが、いくらなんでもこの容易さは他の選択肢を全て奪いゲームの楽しさをスポイルするレベルではないだろうか。

あまりに楽かつ強かったのでストーリーの中盤から先は「要求された時だけ渋々他のデッキを持ち出し、それ以外はACT3ループ山で攻略」を徹底し、実際それだけでクリアできてしまった。

ラスボスも裏ボスも一回も行動しなかったので、私にとってデビラビローグは「ACT3のプールが全然揃ってない、ACT3強要ダンジョンの序盤」が一番きついというよくわからんゲームだった。これが本当に制作の望んていたゲーム体験なのか?

もちろん嫌なら「お前が別のデッキを使えや」と言われたら反論できないのだが、実際やればわかるが他の選択肢を取る理由がないくらいこのループ山は速く、安く、強すぎる

シナリオ中で他のデッキを使う、ないし無限ループを切った山を組んでも「こんだけ必死こいて揃えてループ山の1/1000の強さかあ……」と感じるだけなので、意味のない縛りプレイを強要されている気分になりやっていて本当に虚しくなってきた。

総評として、StSクローンである時点である程度楽しいのは確定しているのだが、そこの楽しさが崩壊してしまい、不承不承飲み込んでいた不満点も鼻につくようになってしまった惜しい一本。

過ちの根幹は処理順が「カード発動→捨て札行き→効果処理」になっていることが全てなので、ここを「カード発動→効果処理→捨て札行き」にすればグッと深みがある……というか並のStSクローンになると思う。

もしくはいっそNerfしないで他のデッキも初期山を最強カード6+キエモノ2のバランスにして、このレベルの実現可能性を持つ無限ループを仕込んでみない?

そうしたら「何やっても楽しいゲーム! 最高! 神!」って褒めそやすと思うから。デイヤー好きなんだよ私。

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