リーヴァ伝 銀色の覚醒者
本作はスマホゲーム『エレクトリアコード』の二次創作です。
小説ではなく、小説のプロットです。
『Save The Cat』の幕構成に従って作ったものです。
リーヴァとそのマスターを主人公にした物語です。
時系列としては、ゲーム本編の数か月前です。
設定等は原作にほぼ準拠してますが、一部オリジナルがあります。
なんでも許せる人向けです。
オープニング
探偵事務所は大忙し。その中で一人暇そうに居眠りをしている主人公。机の上はカップラーメンや菓子パンのゴミだらけ。見かねた所長にたたき起こされる。説教。が、主人公宛てに電話。近衛インダストリアル特別自警統括部から。主人公は統括部の協力者である。同僚のヒソヒソ話。主人公が解雇されないのは統括部からの報酬が事務所にも入るから……らしい。
テーマの提示
統括部員との待ち合わせはバトルアリーナ。愛機リーヴァはアリーナの最強王者。搦め手からのグレネードに剣撃で相手を沈める。「相変わらず無駄に強すぎるな」と統括部員。「無駄って……」と反論しかけるが、主人公は自身でも思うところがある様子。
「君はなんのためにそんな強くなったんだい?」
セットアップ
統括部員から依頼の説明。近衛理研の者(後に判明するが乾)も同席。理研の軍事用エレクトリアの機密を、エレクトリアを使って持ち出した者がいるとのこと。理研のオートエレクトリアが追跡するも全機破壊された。任務は犯人の捜索と犯人エレクトリアの破壊。主人公は理研の者に悪態をつく。「そもそもエレクトリアを軍事目的に使うのが気に入らねえ」。「逆だ。そもそもエレクトリアは軍事目的で作られた。君の信条など知ったことではない。任務を全うしろ」と理研。「その通りだ」と統括部員。……主人公の脳裏をよぎる、子供の頃に持っていた、エレクトリアがエレクトリアとして完成される前のモデルの人型コミュニケーションロボ。
きっかけ
犯人エレクトリアとの戦闘があった現場を見る。すさまじい戦闘跡。主人公は脳内で犯人エレクトリアの動きを想像。『装備は……。スキル構成は……』。オートも軍事用のものであり出力は市販機体の比ではない。が、犯人エレクトリアがつけただろう跡はそれ以上のものであった。主人公は自分が任されたわけを理解する。そして、明らかにリーヴァよりも出力が高く、いい動きをする犯人エレクトリアに興味を持つ。「影の王者。俺より上手い。こいつに会えばなにか……」
悩みのとき
捜査開始。主人公は理研のサーバー切り替え前の古い従業員名簿から犯人を見つける。統括部員に報告をしようと思うが、何か引っ掛かる。なぜ統括部員は~。なぜ理研の者は~。そして何よりも、おそらく自分よりも強いエレクトリアを持つ者の話を聞きたかった。どうしてそんなに強い?
第1ターニングポイント
近衛の者には一切報告せず単独で動くことにした主人公。既に犯人は特定済み。しかし居場所がわからなかった。エレクトリアパーツ販売店やROMに近しいものまで手あたり次第に聞き込みをする。軍事機密を持ち出すような奴だからきな臭い連中とのつながりがあるのだろう。捜査は人海戦術、肉体労働、とにかく行動、行動。
シーン変わって、乾。研究員たちに指示をして、エレクトリアを利用した反社集団襲撃を指示。
サブプロット
捜査中に探偵事務所の後輩(女)に出会う。なにやら調査で苦戦している様子。浮気調査で尾行をしていたが対象の二人組がエレクトリアバトルアリーナの奥に入って行ってしまった。タッグバトルで勝たないと奥に行けない。しかも男女ペア限定。後輩にタッグを請われる。忙しいからと断ろうとするが、周囲を見渡すと曲者ぞろい。おそらく奥にはもっと……。
お楽しみ
タッグバトル参戦。リーヴァ無双。バトル中に後輩に色々問われる。「なぜ? なんのために、そんなに強いのか?」。主人公、バトル中に自問自答。「なぜ? なんのために?」。誰かのために?ノー。~のために?ノー。~のために?ノー。また、脳裏をよぎる昔のコミュニケーションロボ。「あれ? そういえばあのコミュニケーションロボはどうしたっけ?……」。無事アリーナ奥へ入場。そこはキャバクラのようなフロアになっていて、女にエレクトリアのコスプレをさせていちゃつく場所であった。女はこの店の嬢である。ばっちり浮気(?)の証拠ゲット。それに加え、店の用心棒らしきチンピラたちをとっちめて尋問し犯人の居所もゲット。ひと悶着もリーヴァ無双で解決。後輩から「どうして実力があるのに事務所の仕事はちゃんとやらないのですか?」と問われる。主人公「なんでだろう。ま、いいや」とこっちは軽く流す。主人公はエレクトリアに関することを除いてはめんどくさがりの性格。チンピラの一人から、近衛所属のオートエレクトリアが一斉取り締まりを行っているようだと聞く。主人公はそんな話は聞いていないと訝しむ。
ミッドポイント
犯人の居所は何年も前に潰れた小さな電気店兼エレクトリアパーツ店の店舗。建物の裏は倉庫になっていて、店と一体である。主人公は様子をうかがう。近くの倉庫の屋上で一晩中張り込み。夜は何事もなかった。早朝に電気店周囲をオートエレクトリアが囲む。統括部員ではない。理研の研究員の制服である。主人公は思った通り、理研が何かを隠して怪しい動きをしていると合点がいく。店の外に出てきた老人相手にオートエレクトリア達が銃を突きつける。理研の者が老人に近づく。主人公はリーヴァを変装させて、オートエレクトリア達を撃退して老人を助ける。理研は退散。理研が近衛の統括部を騙って取り締まりのようなことをしていると知る。老人と話す。店の中に案内される。鈍色のさび付いた旧式と思われるエレクトリアがテーブルの上にある。電源はついていない。挨拶もそこそこに主人公は尋問。現場の鈍色の粉末はこのエレクトリアのものだと断定。「あなたは偉大なエレクトリアマスターだ。影の王者だ。なぜそんなに強い? なんのために?」と問うも、老人はバトル用にエレクトリアを仕立てたことなどないと言う。さらに老人はそのエレクトリアー名をアルギュロスといった―は何年も前に壊れて動かないと笑う。そもそもアルギュロスはエレクトリア以前の、乾と伊勢が設計に関わった最後のコミュニケーションロボであるという。近衛インダストリアル勤務時代にエレクトリアのコアを埋め込み、古くなったパーツはエレクトリアのものに交換してはいたが、バトルに耐えうる性能はないという。そして旧世代のコミュニケーションロボの回路とエレクトリアのコアの相性の問題か、エレクトリアのように動いていたのはたった数日だけだったという。それを主人公が確認する。どう見ても壊れている。しかし新しい傷がある。
※老人の過去話の最中にリーヴァがアルギュロスとおままごとのようなことをする。主人公に手で払われて不満顔。
迫りくる悪い奴ら
場面変わって乾。作業中。プロトタイプエレクトリアを作るためのナノマシンの研究中。盗まれた機密はナノマシンに関するもの。乾は部下たちに、戦力を整えて「用心棒」もろとも攻撃するよう指示。
場面変わって主人公と老人。老人の用意した朝食を食べながら身の上話。老人は元近衛インダストリアルの職員だったが退職し、店をやりながらエレクトリア技術の軍事利用反対運動をしていたという。どう見ても壊れているアルギュロスになぜ戦闘した痕跡、そして現場のものと一致しているのか、再び問いただす。老人は知らんとしか言わない。主人公は感情的になる。
全てを失って
主人公の電話が鳴る。乾から。犯人がわかったから現場に向かえとの指示。主人公は断る。なぜと問われる。「そりゃぁ、もうそこにいますからね。今、容疑者と一緒に今日のランチの相談してますよ」と主人公。「朝の用心棒はリーヴァか……」と乾。ブツリと切れる電話。リーヴァが熱反応を探知し二人に伝える。主人公と老人はテーブルを盾にして隠れる。割れる窓ガラス。散乱する食器。かなり遠くからオートエレクトリアの大群による一斉射撃だった。主人公たちは外へ出る。老人はアルギュロスを抱きかかえて。外は乾の部下でいっぱい。オートエレクトリアも数えきれないほど大勢。「ちょと、やばいかも~」とリーヴァ。容疑者の身柄を引き渡せと乾。「理研にそんな権限はない、統括部で引き受ける」と主人公。戦闘開始。オートの数は300を超える。リーヴァとはいえ劣勢。100体ほど倒したところで実弾武器は弾が尽き、EN武器はオーバーヒート。得意ではない剣を振るい続けるも、遠距離からの射撃でダメージが蓄積していく。
心の暗闇
主人公の過去。子供の頃大事にしていたコミュニケーションロボ。デザインは粗いが容姿は今のリーヴァに似ている。ずっと一緒にいた。彼女は今どこに? 思い出した。彼女と一緒に街を歩いているときに、年上のいじめっ子集団に壊されたんだ。主人公は彼らに殴りかかった。そのせいか親と教員たちに喧嘩として処理された。親は新しいのを買ってあげると言ったが主人公は断った。当時のコミュニケーションロボには人格と呼べるほどのAIはなかった。が、主人公にとって彼女は唯一だった。そして無意識に彼女に関する記憶を封印してしまった。
第2ターニングポイント
なぜそんなに強い? エレクトリアを手に入れたときに何故か、もう失いたくないと思った。彼女が、リーヴァが強ければ、最低限自分の身は守れれば、と。……また、失うのか?
主人公はリーヴァの背に割って入る。乾が「撃つな!」と命令する。主人公は、さすがに連中も人は撃てないだろうと判断した。「もうすぐ統括部が来る。それまで時間稼ぎさせてもらう」と主人公。乾は「統括部を止めればいいのだな」と携帯でどこかに連絡を入れる。主人公たちがそれはヤバっと思った時、乾の携帯が撃ち抜かれる。アルギュロスだった。彼女は機能停止したオートの武器を拾っていた。
フィナーレ
アルギュロスは両手のレーザー武器で次々とオートを撃ち抜いていく。一発のレーザーで2~3体を同時に撃ち抜いていた。弾が切れると空中に散ったオートの武器を空中でキャッチしてまた撃った。その間、彼女はオート大群の弾幕を華麗にかわし続けていた。
「あれは旧世代の……、なぜエレクトリアのように動いている?」と乾。
「どうセッティングしたらあんな動きができるんだよ」と主人公。
アルギュロは拾ったレーザーソード二刀流で残りのオートも全て倒した。
乾の部下が、統括部が近くまで来ていることを報告。撤退。
「これが最後だ。容疑者を引き渡す気はないか」と乾。
「ありませんね」と主人公。リーヴァとアルギュロスが乾に剣を向ける。
「主人公くんは立ち回りが下手だな。君は苦労するよ」と乾。
「その言葉、そのままお返ししますよ」と主人公。
立ち去る乾。「また依頼待ってますよ」と主人公。
駆けつける統括部員たち。アルギュロを泣きながら抱きしめる老人。アルギュロはもう動いていなかった。
ファイナルイメージ
近衛施設内で統括部による取り調べ。盗まれた近衛理研の資料は結局見つからなかった。所属不明のオートエレクトリアの大群は老人のものではないと統括部は認めたが、乾のもので、乾が現場にいたという報告はどこかで握りつぶされた。老人が犯人であると断定するまでには至らず釈放される。理研からの捜査依頼が取り下げられ、捜査も終了。
近衛インダストリアルは主人公の証言が事実か確認するためにアルギュロスを調べた。が、近衛の研究員たちは中身を調べてもこれが動いていたとは考えられないという。
場面変わって公園。ベンチでサボる主人公。隣に統括部の者が来る。アルギュロスの件を話す。
「あの件で俺は嘘つき扱いだよ」と愚痴る主人公。
「でも300体斬りのリーヴァという名誉は得た」と統括部員。
「いいとこ120だ」と主人公。
統括部員はエレクトリアの開発者である乾と伊勢の話をする。共同開発ではあるが、伊勢はたびたび乾の知らない秘密の回路をコアに仕込んだと吹聴していた。二人は仲が悪く、伊勢も狂人扱いだったので誰も相手にしてなかった。パートナーとの関係がスイッチとなって覚醒すると伊勢が漏らしたという噂もあった。それに関して二人は、
「私が見た限りそんな回路は入っていない」と乾。
「そりゃ乾にはわからない技術だからね」と伊勢。
という調子だったという。
統括部員は主人公に、「伊勢の言っていたことが本当なら、あのアルギュロスとやらが動いていたというのもあり得る話だ」と言った。
主人公は鳩と戯れるリーヴァを見つめ、「エレクトリアにはまだ未知の、引き出せていない大きな力があるということか」と思う。「俺に引き出せるか、いや、もしかしたら他の誰かが……」
場面変わって、誰かの部屋。
エレクトリアの箱が届く。それを開ける誰か。
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