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2021年3月号 花と魚とキノコの香る渓谷で

春夏秋冬亀成園便りの27作目です。三重県松阪市飯高町での自給率の高い暮らしをする小さな自然養鶏農園からの季節レターをお楽しみください。 

【亀成園便りここから】
雨の多い3月です。川の魚たちのためには雨のおかげで水量が増えてよいし、シイタケの原木が秋よりも元気で、思わぬ恵みにあずかっておりますが、雨が続くと人のにぎわいがなかなか戻らないのは寂しいですね。もう少しもう少しとはやる気持ちを抑えるものの、もう少し我慢。春はやっぱり浮かれたい気持ちが抑えにくいことが難点です。

亀成園から歩いて行けるお気に入りの散歩道は、梅と桜の花が交互に見頃になる贅沢な道です。なかなか見てくれる人がいない春も変わらず美しく。今年は人は少ないですが、明らかにカモなどの水鳥は増えました。小さなヒナが生まれて泳ぐ姿が見られることもあるのかと、楽しみで仕方ないです。カラスもトンビも巣作りの季節で、心なしかうきうきしているように見えてしまいますよ。

3月になって今年も渓流釣りのシーズン開幕でした。亀成園家族も解禁日初日は朝早くからお父さんと小学生で出かけ、まだ水の冷たい中でじっと魚を見ては竿を垂らし、じっと待って過ごしました。
初日の釣果は子供3人合わせてアマゴ3匹というささやかなものでしたが、丸ごと揚げて南蛮漬けにして頂きました。どんどこ釣れたらそれもまた嬉しいけれど、片手で数えられる程を工夫していただくのも、ありがたくていいものです。

川原で火をおこして身体を温めながらゆっくり釣りをして、その場で塩焼きに。そんな原始的とも言える楽しみがまだできるのが渓谷です。家が近いとつい軽装で出てしまいますが、上流で日がな待って過ごすこともしてみたいですね。

里山暮らしは木とのつきあいも欠かせません。何年も伸びっぱなしになっていた庭の槙の木を思い切って剪定したら、両サイドにあるサザンカと椿が見えやすくなりました。何を切って何を残すのか、選択を迫られるといつも緊張してしまいますが、動いてみると案外バランスよくなる結果になります。優先すべきは何なのか、心の声が試されますね。
【亀成園便りここまで】

春先の雨と梅の花に渓流釣りと、いままさにタイムリーな号でした。
釣りの腕は後から来た移住組にどんどん抜かされているので、この春はなんだかムズムズして解禁日を迎えることになりそうです。いろいろな人々の暮らしが交差するのもまた里山での醍醐味ですよ。



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