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BMW i3 レンジエクステンダー

くるまの状態:いろいろな恩恵を受けて乗せてもらった試乗車
試乗コース:湾岸エリア沿い一般道 後席→運転→助手席の順に試乗

その前に
今回は生まれて初めてナンバー付きの電気自動車を公道で試す貴重な体験。 なんか始動からしてやけに厳粛だった。 機構的に火を入れる箇所なんてどこにもないけれど「火入れ」というコトバがすごく似合うと思った。 結構ドキドキしてたのであまり細かいところが見えてなかった…。

走行性能

エンジンっていうかモーター
スイッチ(違和感あるなぁ)を押せば即スタンバイ。 クルマの外でその様子を聞くとインバータの音がウーンと唸る。
その音で京急や東京メトロとも違うデンキの乗り物だということを確信した。 ああ未来だ、未来がやってきたんだなぁと思う。
スタンバイ後、特にBMW様から指示もないので、戸惑いながらそっとオルガンペダル式のアクセルを踏む。ほぼ無音でスルスルと前へ進む。 練習のため(その場にいたメンバーが一様にそうだった)地下駐車場で少し動かしてみる。 キュイーンというモーターの反響音はちょっと地下鉄っぽい気がした。
実はこのクルマ、ほとんどブレーキがいらないのである。 アクセルの離し具合で速度が落ちるのだ。パッと早めに離せばギュンッと速度が落ち、緩めに離せば徐々に止まる。デンキの回生力が為せる業だ。 こういうところも電車っぽい。
軽はずみなことを言うと鉄道マニアの人に怒られるかもしれないけれど「マスコンっていうのはこんな感じなんだろうか?」と思った。 で、公道に繰り出し見通しの良い道に出る。

つま先に少しだけ力を入れてアクセル(でいいのだろうか?)を踏んでみるととんでもない加速が背中から「やってきた」。
ほんと「やってきた」という感じ。 背後から正体のわからない物理の「何か」がヨッコラショと車体を押してくる。 うお、未来・・・。 改めて覚悟を決めて床までアクセルを踏むと、怒涛のような加速がまた背中を押しだす。エンジンなら4L級のパワー感だろう。 呆気にとられる。
未来、すげー・・・。

ドライビング感覚
そこはBMW。駆け抜ける喜びは捨てていない。
カーボン製のボディ(これも初めてだ)は剛性も十分。 アクセルペダルは単なるスイッチなんだろうけれど、つま先の細かな動きに忠実に反応するところがナマっぽい。
ステアリングはもうすこし煮詰めが必要だと思うけれど、コロコロした見た目から想像する以上に良く曲がる。

内装・居住性

目の前に広がる景色はまぎれもないBMWの世界。
エアコンやナビ、個々の操作系のフォント、触感、「プリューン♪」という操作音、室内の匂いまで。目隠しされてもたぶんBMWだとわかるはず。 質感は正直なところ500万円超のクルマとしては安っぽいかもしれない。
けれど、見せ方でその安っぽさをカバーしている。 センスがずば抜けているのだ。開き直っている、と言ってもいい。
ホンダが手がけたらこんな落ち着いた風合いは出せないだろう。 リヤシートはそれほど窮屈でもなく、必要十分と言ったところ。 日頃乗っているクルマの種類によってはちょっと突き上げが厳しい、と思うかもしれない。

総合評価
ずいぶん遠くまでボールを投げたもんだなあ、と思った。
デザイン・インターフェイス・パッケージング。 そのどれもが2025年くらいのところに飛距離を設定している感じ。
いずれこれがスタンダードになるんだろうな、という予感がする。 湾岸地域をこのクルマでうろうろしていると、レインボーブリッジやビッグサイト、豊洲の開発中のエリアが2018年くらいの風景に見えてくる。
自分が銀ピカの未来服を着ていないのが不自然なほど未来を感じられるクルマ。 それがi3だろうと思った。
現時点では1台目として所有するのはよっぽどの好事家を除いてなかなか難しいかもしれない。 普段はBMWの5シリーズあたりを使い、「アシ」として2台目に購入するなんていうケースが一番それっぽい感じがした。
あとは黒柳徹子ぐらいしかユーザー像が思い浮かばないよ。
雰囲気だけだが。