#選択の代償 第36話

おはようございます、#選択の代償、私、亀川がお送りしております。
前回までの振返りですか、第二次の第三者割当増資を進めつつ、実務現場での諸々の事態に、忙殺される中、また新たに親会社から、ヒトが送り込まれます。親会社からすれば当然なのですが、予定にない人員をに役割分担するのは非常に難しい部分もあります。送り込まれた山越氏は私のサポートという名目ですが裏側では、監視役でしたね。そのこと自体はいいのですが、支援の効果があればよかったのですが、今一つ不明瞭であったことは確かです。先に懸案となっていた、ライセンス料の源泉税の問題における交渉が、彼の仕事だった。
さて、LAでの公式ミーティングがスタートしました。こちら側は、私と山越氏、そして米国側Apex InteractiveはCEOのカーン氏とVIPのマイケル氏です。そのほか、彼らの部下、秘書等で相手は6名程度。
先ずは、双方の会社概要の紹介で始まりました。そして、現在のライセンスに伴う現状のバグ修正やアップグレードの状況と今後の新たな機能やソフトについての確認と説明があった。その後、日本における展開プランなどについて、話し合った。正直、過去経験してきた米国本社の仕事の質等々と比較すると、比べることができなかった。それは、低い次元だったからだ。

最後に、一番重たい源泉税の議題となった。
山越氏は『ここぞ、出番』と丁寧に説明し、双方で3,000万円ずつの負担についての正当性を主張した。カーン氏は『受け入れられない』の一点張り。マイケルは、こちら側の不手際と主張する。しかし、この税金に関しては、何らかの処理をしなければ双方が違法な経理処理として税務署からの指摘を受けることとなる。なかなか、話が平行線のまま進まない。硬直した状況となる。
少なからず、双方にとってのマイナス要因を解決しようとするのだが、その全てを日本側に押し付けてくるその態度にほとほと、嫌気がさした。なかなか妥協案が見出せぬまま議論は続いた。カーン氏が、一つ提案があるというので聞いてみると『今、新たにWeb上での新たな機能やライセンスに相当するものが幾つかある。そして、現在のアップグレードのサポートと併せて、別途追加契約することとして、その対価と相殺してはどうか?』という内容である。山越氏は『それも一つの案としてはいいのでは?』と言う。
私は、なんとも信用度の低い無責任な内容か!と更に違和感を強めた。そして「そんな、与太話に誰が『Yes』と答えますか?山越さん、この件に関しては、本来は私のあずかり知らぬところで起こっているエラーで、その責を負うこと自体に疑問があります。加えて、彼らの提示する内容も、今現在何も出来上がっていない話ですよ!」

これには、裏があった。と言うのは、このApex Interactive社に支払った、ライセンス料の資金使途の話が漏れ聞こえてきたいたからである。それは、研修に行ったメンバーが現場のスタッフと話していた際に、出てきていた。カーン氏とマイケル氏は取締役であったため、入金後、スペシャルインセンティブを得て、それぞれ自宅や高級車の購入の発注をしていたというのである。そして、事業資金としての差し引きは、彼らが3分の2を得て、残りを運転資金としていたのである。なんとも、程度の低いベンチャー企業経営層と言わざるおえない。
加えて、呆れたのが先の提案の提示金額として更に3億円を要求してきたのだ。これには、いいも何も、単純にふざけたベンチャー企業ゴッコの様相では無いか!
当初日本で展開する予定のWebの技術とは、Cold Fusionで作られたコード機能をWebサイトに埋め込むものである。その一つが、ECサイトにおけるユーザーインターフェイスに特徴のあるものであった。例えば、カタログ雑誌のグラビアページでコーディネートされているとしよう。その中の何かにマウスを当てると、それをドラッグ(つかむ)することができ、専用のショッピングカートにドロップ(入れる)することができる。そしてそのカートの中で数量や色、サイズを指定できるのである。現在は、決済前に確認して一覧で表示する形式が多いが、このカートは、ショッピングしながら、その中を見ながらそのカートを他のページに移動して(引いて)行ける機能があった。

この機能には、2つのポイントがある。先ず2次元コンテンツ上での商品の選択である。そしてもう一つがこのショッピングカートである。このカートについては後に、電子ウオレットとしてその機能だけはあるが、当時、このような合わせ技の機能は存在していなかった。
そして、もう一つがセキュリティに関するもので「Security Talken」というものであった。これは、他のベンダーが提供する電子キー端末との組合せだが、端的にCRT,液晶を問わず、ワンタイムパスワードを電子キー端末で発行してその数字を入力するというものである。昨今では、金融機関などで、類似するような仕組みも見受けられる。
この2つがライセンスの大きな目玉だった。しかし、実際に当時の日本国内での案件で、このような仕組みを組み入れたサイト構築のニーズは低かった。ちょっと、時期早々の感はあった。この時点でこの実績を作り切れなかった事が最後まで尾を引いた。
話は戻るが、結果としてこの交渉は平行線だった。しかし山越氏は『亀ちゃんが、決めちゃえばいいんじゃない?』という無責任な言葉には更に呆れた。遥々、米国まで来て何の成果もないまま帰国することとなった。
この続きは、次回、お聞き逃しなく!

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