#選択の代償 第40話

おはようございます、#選択の代償、私、亀川がお送りしております。
以前にもお話ししましたが、この頃半年近く、両目の瞼が常に痙攣していることが続いていました。季節もあっという間に木枯らしが吹く季節となってましたが、以前、経営状況はよくありません。現場の仕事は続いていましたが、利益が赤いままで、黒字の見通しが立たないままでしたね。
それを埋める為の資金調達は、非常に苦しいものです。第三者に、投資をお願いするという事の辛さは、なんとも言葉で表現しようがないものです。
経営者にとって、自社の維持継続の為には、資金は必要不可欠ですが、その資金は、自社のものでもなく、利益でもないのです。投資に対しては、リターンがついて回ります。それは、かつて、大物投資家のK氏の言葉にもあったように「誰が、儲かるのか?」の一言に尽きます。
仮に、借入であれば、元金の返済と利息が全てですが、投資は、ゼロか100か、以外はありえないと考えるのが普通です。
ここで、W社は何を考えていたのか?それは、BUY OUTと言われるものでした。エイペックスジャパンが保有するライセンスの権利を、投資対象としていたわけです。ここでは、そこで働くスタッフや、管理職、組織、などは視野に入っていなかったと言えます。では、具体的には何を目論んでいたのか?それは、時価総額とライセンス価値を天秤にかけていたと思います。

12月の暮が近づくにつれ、固定費(給与や家賃)の資金繰りが重くのしかかる状況の中、W社は、甘い誘い水のような言葉を残します。「年明けには、なんとか前向きに進むと思いますよ・・・」と
一方、池袋の中古車取扱い企業は、事実上、フリーズに近づきます。某大物常務も自らの資金提供をしていたようですが、このW社は、中古車査定システムの価値にビジネスを見出していたようで、このエイペックスジャパンとの提携と併せて、他のライセンス価値を投資対象として考えていたようです。池袋の会社は、投資するような甘い話を繋げつつ、その企業価値が下がるのを待つ(じらす)ような時間稼ぎをしたようです。それは、企業価値を下げるために、資金難(資金ショート)となるのを待ち続けます。すると、経営側は、藁をもすがる状態となり、算定株価としては、W社の言い値で、資金を受け入れる状況に追い込まれます。いわゆる『買い叩き』が可能となります。そして、投資を受けた瞬間に、株の保有率によって派生する議決権をもって、経営権を握る状況となります。そして、そこに存在する創業者や経営実務者を外していきます。残ったものは何か?取引先と、物理的な経営資源(社員等は除外)としての権利等を掌握する形となります。その残った経営資源が、投資として仕入れた企業価値となり、これを売却する際に、当然、投資金額に上乗せした金額で、売却先を探すこととなります。
投資を受けた側は、既に経営状態は赤字ですから、経営者及び、従業員へは、必要経費と給与以上のものは一切残りません。

これが、彼らW社の狙いだったようです。BUY OUTそのものが悪いとか違法ではないのです。そしてこのエイペックスジャパンもこの罠にはめられていたようでした。
年明け早々の1月4日の夕方、W社から連絡がありました。それは、年末の件で話がしたいというのです。どうも声のトーンからすると今一ついい感じはしません。翌日、W社がやって来た。話の向きは、投資についての最終的な話し合いであった。W社の最終的な提示条件は、1月中の調達に間に合せるには2通りの提示があった。
一つは、現在エイペックスジャパンの保有するライセンスに関して、それ自体を預け入れることとして、協業先もしくは、ライセンス譲渡を希望する企業への斡旋する委託契約をすること。
二つ目は、1月末時点での月次決算予測から算定される株価での株式の第三者割当とする。その株価算定額は1株1万円であった。
というものであった。W社の本音としては、この二つの条件をセットにしたいようだったが、いずれにしても、彼らの目的が、投資と言う名目によるBUY OUTによって、数億円の資金を動かすことによる利回り稼ぎであることは明白だった。

どちらを選択するにしても、総金額は3億円との提示だったが、これを3回に分割して投入するという事であった。
一つ目の選択肢は、このエイペックスジャパンを実質的に骨抜きにすることは明白である。そして二つ目の条件は、株式数における議決権割合を持つことにより、光物からは切り離されるが、実質の経営権がはく奪されることとなる。いずれにしても、ハゲタカ的な話である。
私は、言葉がなかった。その打合せにおいては、しばし時間が欲しいと申し入れた。
そしてその日の夜、里中氏から電話が入った。すると彼が「そちらに、W社から話が来てない?」と尋ねられた。私は「はい、いま進行中ですが・・・」すると彼は、「あちゃー、やっぱり嵌められてますね・・・」と電話の向こうでつぶやいた・・・この続きは、また次回、お聞き逃しなく!

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