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知事選によせて。東京都制は戦時法制を温存した、民主国家の中の独裁国家。

国、都道府県、市町村、は役割が違うだけで、対等な存在です。民主主義の大原則です。

これを理解していない人が多い。政治家でも町村は格下だと誤解している人がいる。災害復興でも市町村からイニシアチブをとろうとしない。

ただ唯一の、主権を制限した隷属的存在が、東京の特別区です。だから、東京都知事には独裁者としての特異な権力が与えられている。民主主義国家日本国の真ん中に、独裁国家がある。それが東京都制です。


東京都制の歴史

関東大震災の復興の過程で、東京市は周辺町村を次々合併し、東京府の人口の大部分を占めるようになりました。そうなると、東京府知事(国からの任命制)の立場が弱くなりすぎ、解決策が模索されました。しかし、戦争に向かうなか、議論は熟しません。

戦時下のどさくさで、東京市を廃止し、知事の一元支配の、東京都が、戦時法制として生まれたわけです。

戦後、民主的な地方自治を目指して、地方自治法がスタートしたとき、東京都は条例で戦時法制の形を固定化してしまいます。他とは違う潤沢な税収により、特異な特別区が残されたのです。

戦後、特別区の位置づけは転変します。最初こそ、区長公選制でしたが、任命制にかわりました。美濃部知事の民主化政策で、区長公選制にもどされましたが、基礎自治体としての主権が制限された、半人前の自治体でありながら、他にない潤沢な税収により維持されてきました。

大阪市廃止特別区設置、という幻想

大阪に、東京都のイミテーションを作れば、東京都のようになれる。

詐欺です。東京都幻想を妄想にふくらませた催眠商法詐欺です。

しかし、大阪市だけを解体しても、東京都のようなスケールにはならない。周辺市を全部特別区にする必要がある。

その手だてをふくめ、大都市特別区設置法には明記されました。住民投票なしで、特別区にできる、と。


大阪市解体だけでは、とても都制といえる体裁にはならない。だれも触れようとしませんが、周辺市の強制的な特別区移行は、基本のキ、です。

東京の一般市で特別区移行を計画した例は皆無

では、戦後、東京都下の一般市で、特別区移行を希望した市はあるか。自ら主権を放棄しようなんて市はあるわけがありません。


大阪に、戦時法制東京都のイミテーションをつくる。大阪市を弱体化し知事が支配すれば、誰が考えても、それで成長するわけがありません。

ただ、大阪市をぶっつぶしただけで、おしまいです。

東京は戦時法制を温存したから大発展した。と考える人は、結局民主主義を否定するだけです。首都という利便性で、大企業が集中したにすぎません。たとえ、東京県であったとしても同じでしょう。

首都に戦時ファシズム体制を温存することによる、政治の腐敗のほうが、深刻です。

都知事選を機会に、東京都制への幻想を省みるべき時代になったと、思います。

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