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亀井水夜明けの祭祀

#亀井水夜明けの祭祀

亀井水はなんのために造られた?

理論的な分析では、世の思い込みは崩せない。ならば、イメージでアプローチしてみれば如何に?玉砕🐍でした。

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のりと、と夜明けのまつりの情景。


ああ静寂のたゆたう宴の終わり

管弦の響は黎明の闇に消えゆき

予感におののく小鳥たちの覚醒

白き獰猛なるかみの羽音をきく

にじむ涙は恐怖なれ又歓喜なれ

復活の時トミの光あめつち満ち

くさ亀は金のひとみで空を見る


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難波の荒陵。基礎工事を終えたばかりの大寺。

初夏とはいえ、夜明け前の霊気は、朱のうすきぬを身にまとっただけの額田部の大王の白い肌にはまだ冷たく感じられる。ほのかな空の光のなかに、しだいに生駒の山陵がシルエットをあらわす。

そこは、かつて、トミ、龍神の国と呼ばれた、桃源郷であった。

大王は、トミの井の二つの石槽へ向かう。そして、亀の背中に満たされた水の中央に立つ。かがり火がすべて消された。人々は東の空の光の変化に目をこらす。

透明な朝焼け。二つの石槽は水鏡となり、赤く光る。大王の朱の衣は光に同化して、幻術のように不可視の存在となる。

皇太子によるのりとの朗読がはじまる。平和よあれかし、もろびとの幸おおかれ。

空は目まぐるしく色を変え、太陽がのぼる。尼僧たちの澄みきった読経が続く。光は強度を増し、水鏡は白く光り、大王の姿を手前の石槽が映す。

そして、太陽が真東に達したとき、トミの井の水は鮮烈な輝きを放ち、大王の手からふりまかれる水しぶきが、世界の新生を祝し飛散してゆく。


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