プレゼンテーション

ぼくの嫌いな言葉(まよなかめがや#1)

日々いろんな言葉が飛び交うこの世の中で
ぼくは「死ね」という言葉が
一番嫌いだ
人間の脳内データベースから
なくなったらいいのになと思う


満員電車に乗っていると
たまーに大人どうしの
激しい言葉の応酬が聞こえてくる

目の前でその光景を見てしまったら
地獄だと思うし
朝なんかに見てしまったら
その日は会社の最寄駅であろうとも
そのまま帰宅したい


高校生くらいのときにはよく
「死ねばいいのにね」
なんて軽く友達と口々に言っていた(と思う)

意味としてはウザいとかと
同じくらいライトな表現として
使っていたんだと思うけど
今思えばなんにも考えてなかったんだな
と思うし
特にあの言葉に意味なんてなかったんだな
と思う


電車内での大人のやりとりのくだりで
一回だけ「死ね」という
言葉を吐き捨てて電車を降りた人を見た
朝の満員電車で極上に最低だった

その言葉が放たれたあとの車内は
渇きと静寂に包まれて
言葉は居場所を失い
ぼくは無心で新宿まで窓の外を眺めていた


死ねと言ったら寿命が10年短くなればいいのに


オーバーかもしれないけれど
発せられた言葉が
発する意味を大切にしたいと思う夜である

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