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肥満者と非肥満者での一日の活動パターンとエネルギー消費の違い

皆さん、自身の一日の活動パターンについて考えた事、ありますか?

・一日の大半は座って過ごしている…
・通勤で歩く程度。でもその歩きも30分未満…
・家事仕事も最近、サボり気味…
・在宅ワークになってから外に出る機会が減った…
・平日は仕事が忙しいため、週末に子供と外で遊んだり、ペットと散歩に意識的に時間をとって行っている
・意識的に立って作業をすることを心掛けてる   

一人一人、状況や環境によって活動パターンに差があると思います。
最近では、スマートウォッチなどで一日の活動分析をしている方もいるとは思いますが、効果的に減量や健康増進に役立てているか見直しをしてみましょう。

今回は、テーマでもあるように「一日の活動パターンとエネルギー消費について」分析している欧米の論文を紹介したいと思います。
欧米の発表であるため日本とは異なるライフスタイルであり、一概に当てはまらないこともあると思いますが、数字で一日の活動パターンをみてみると、普段の活動が多かれ少なかれ自分の行動を見直すことで減量や健康増進のために取り掛かるべき問題がみえてきます。

対象:18歳以上の189名の女性の被験者とし、除外基準より痩せ型10人、肥満10人に限定され研究は行われました。

※除外基準
 喫煙、妊娠、授乳中、慢性疾患、エネルギー代謝に影響を与えるとされている薬剤の使用または薬剤の利尿作用による水分バランスの変動、過去6ヵ月間で4.5kgの体重変化があった場合、身体活動量の変動、身体活動レベルが競技やトレーニング等で高いと報告している場合、不規則な月経周期、摂食障害の病歴、BMIが 25 ~ 29。

方法:
エネルギー消費バランスに関する観察研究を、14日間連続で実施。

・14日間の間は旅行や行事、活動は認められず、食事に関しては摂取した物は全て記録をとり報告するよう義務付け。(研究中、申告された栄養が適切に報告されているか栄養士により毎回確認)
・検査日は研究初日、2日目、7日目、14日目。検査日以外は自由に生活をし、検査日時前に10時間は絶食し、検査日、中5日間は最小限の活動をするよう指示。(最小限の活動とは普段の生活動作)
・安静時代謝率は間接熱量測定、エネルギー消費量と総エネルギー消費量は二重標識水、活動パターンはモニターを使用し調査。体組成はDXA法を選択(二重エネルギーX線吸収測定)。

結果

活動量の程度

黒いグラフが非肥満女性、白いグラフが肥満女性です。
この図はMETsで活動量の程度で表しており、Restは1.5METs、Light activityは1.5~3METs、Moderate activityは3~6METs、Vigorous activityは6METs以上の運動、日常生活動作で分けられています。

※1.5Mets     :座っての作業程度(デスクワーク)
 1.5~3Mets  :犬の散歩、家事、ストレッチ、ヨガ、ピラティス
 3~6Mets  :ウォーキング、自転車、階段昇降(ゆっくり)、早歩き
 6Mets以上   :ウェイトトレーニング、水泳、ジョギングなど

ここで分かることは、肥満者の場合、座って作業することが非肥満者よりも多く、一日あたり約2時間弱多く座位姿勢(1.5METs程度の活動)をとっていることが分かりました。また立位ベースでの1.5~3METs程度の活動量になると非肥満者の方が約1時間半弱多く、更に3~6METsだと39分、6METsの活動量は26分の差があると2週間の観察で分かりました。

一日あたりの姿勢分布

肥満女性は非肥満女性より2.5 時間以上長く座っており(12.7 ± 3.2 時間 vs 10.1 ± 2.0時間)、肥満女性は、53%、非肥満女性は42% もの時間割合で座位で過ごしている結果でした。

一日平均立位時間は肥満女性は非肥満女性よりも少なく2時間程の差があります。(2.7 ± 1.0 時間 vs. 4.7 ± 2.2) 運動に関しては、両群で歩行、階段、走行、ジャンプといった 全体的な運動の種類に差はありませんでした。
しかし、身体活動に費やす時間は肥満女性は肥満女性の半分という結果でした(2.6 ± 1.5 時間 vs. 5.4 ± 1.9 時間)。 また肥満女性は平均して 1 日あたりの歩数も少なく6,970 ± 2,351 歩/日、非肥満女性は 11,393 ± 3,384 歩/日 でした。

14日間の期間中、基礎代謝量に変化があるか調査した結果、基礎代謝量は肥満女性、非肥満女性間での差はありませんでした(1601 ± 109 kcal/日 vs 1505 ± 109 kcal/日)。​
 総エネルギー消費量は肥満女性は一日当たり285~375kcal非肥満女性より少なく、身体活動レベル( PAL:physical activity level )は、生活の大部分を座って過ごし、静的な活動が中心なIという結果でした。それに対し、非肥満女性の場合はPALは座っての仕事が中心ではあるが移動や立っての作業・接客、あるいは通勤、買い物での歩行、家事、軽いスポーツをする程度のⅡレベル、活動指数では肥満女性は平均1.59に対し、非肥満女性は1.75。​

非肥満女性は体重1kgあたり一日12.5kcalの消費、肥満女性は7. 4kcalと消費量の違い​があり、肥満女性が非肥満女性の活動を作用した場合、一日あたり350kcalの消費が更に望まれる結果となりました。

皆さんも、座りっぱなしの生活になっていないかということから見つめ直し、活動時間を上げエネルギー消費を増やせるカラダにしていきましょう!!

紹介論文
・Darcy L. Johannsen,Differences in Daily Energy Expenditure
in Lean and Obese Women: The Role of Posture Allocation,Obesity journal 16, 
,2008.