岡村隆史さんの件

私見を述べる前に経緯と経過を連ねると…

4月23日の木曜日、
ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポンにて、
パーソナリティの岡村隆史さんの発言が
ネットニュースになった。

この発言があったのは、リスナーには
お馴染みの「ウェットストリーム」という
コーナーでのひと幕。

東京FMの名物番組「ジェットストリーム」を
パロったタイトルのこのコーナーは普段、
風俗店で働く女性と電話を繋ぎ、
岡村さんとやりとりする模様を放送している。

加えて岡村さんが風俗が大好きなことも
番組を日頃聴いている人には当たり前となって
おり、投稿もそれが前提として書かれている
ものがほとんど。

それが周知されていたためかリアルタイムで
聴取していた人の中に放送中や放送直後、
岡村さんの発言を問題視する声は皆無だった。

ところが件のニュースが木曜日の放送後、
数日経った4月25日にインターネット上に
掲載されると、瞬く間にSNSで拡散された。

岡村さん本人のインスタ、
番組公式ツイッター、
オールナイトニッポン公式ツイッター、
ニッポン放送公式ツイッターなどに
批判のリプライが多数飛んでいた。

拡散された要因は、冒頭貼ったニュースを
見たNPOの理事で社会福祉士の方が書いた
コラム記事だった。

筆者は岡村さんの発言を「異常」と糾弾。
記事を読み同調・共感する人が一気に増えた。
併せて、岡村さんを批判する人々へ
ラジオリスナーが擁護して反発した。

日曜日、「岡村隆史」という名前が
ツイッターのトレンドに入るとさらにこの
ニュースを目にする人が増え、
雪だるま式に話題が広がり事が大きくなって
いった。

そして翌日、月曜日、オールナイトニッポンを
放送しているニッポン放送が謝罪文
ホームページに掲載した。

以上が経緯と経過。
ここから私見。

まず、今回の岡村さんの発言は
客観的に見て到底擁護できるものではなく、
多くの方が指摘している、謝罪文にもあった
〝女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言”
であったと思う。

一方で発言の意図が女性を侮蔑するため
ではなく、目的はリスナーを元気付け、
コロナ禍で鬱屈した気持ちを和らげるためで
あることは理解できる。

しかし、
目的は褒められても手段が間違っていた。
目的のために配慮を欠いた。

そして、リスナーの大半が反発材料にしていた
「深夜ラジオ」や「流れ」や「ノリ」という
ものを免罪符にした発言、
岡村さんは風俗で働く女性へ「リスペクト」があったから…のようなズレた物言いが私には
無効どころか逆効果に見えた。
同時に岡村さんを守りたい、番組を守りたい、
という気持ちが空回りしているようにも
見えた。

もう一つ、リスナーの多くが発していた
「番組を聴かずに批判するな」という主張。
これには、しっかり2時間聴いた上で
批判している人も多くいた。

聴かずに批判する人は論外として、
批判する&批判したい脳みそで聴けば
擁護したいリスナーにとっては逆効果。
批判するポイントの確認・整理の機会を与え
嫌悪を増幅させることに繋がるだけ。

リスナーの気持ちは痛いほどわかる。
ラジオって本当に自分に話しかけてくれるし、
特に深夜ラジオは寂しさを紛らわしてくれる。
パーソナリティをとても近くに感じ、
まるで家族や友人になる。

ラジオに救われてきた者同士、
同じ深夜ラジオやオールナイトニッポンが
好きな者同士ゆえ、
「やめてくれ〜」という思いが先に立った。

また木曜日より前、岡村さんより先に
ニッポン放送が謝罪文を出すのはどうなのか。
岡村さんに謝意があったなら、本人の口から
聞きたかった。
その点においては岡村さんが気の毒でならない。

今回、この件で様々な方々の意見を見聞き
した中で自分なりの答えを導いてくれた
ツイートがあった。

以下、そのツイートの要約

***************

20年ほど前ANNで岡村さんが自分の性格を
自虐まじりで「自閉症」と発言した。
翌週、自閉症の支援団体から手紙が届く。
そこには「自閉症は性格ではなく病」
「この病に苦しむ人がたくさんいる」
「これを機に自閉症を知ってほしい」
などが書かれていた。
番組でその手紙を読んだ後、岡村さんは
自身の発言を訂正して謝罪した。
手紙はただ抗議するだけでなく、
自閉症への無理解と誤解を教え、
諭す内容であった。
嫌いなものに攻撃をして一人の男性を
葬り去ろうとする事が女性の人権を守ること
には決して繋がらない。

***************

このツイートが今、自分の中で一番しっくり
きて溜飲が下がった。

岡村さんを批判する人の中には女性の人権を
守ることを盾に岡村さんの人権を無視するような発言が目につく。

岡村さんをメディアや芸能界から葬っても
女性の人権を保護し、不当な性の搾取をなくし
福祉の充実した社会になるわけがない。

かえって岡村さんを皆で誹謗中傷する行為は
女性を守ろうとする人の民度の低さ、
思慮の浅さを露呈してしまってないだろうか。

逆もしかり。
リスナーにも風俗店で働く女性への配慮を
欠く発言があり、ラジオを聴く人のイメージを
悪くしていることに気づけていない。

個人的にラジオは人間を聴くものだと
思っている。
剥き出しの個人が喋っているから
終始一貫して公平公正ではないし、時には
偏ることもある。それ故に本音が聴ける。

いわばラジオは
問題提起するメディアだと思う。

このパーソナリティはこういうことを言って
いるが自分はそうは思わない、など、
意見交換をして自己の結論を知る場。
ハガキの時代が終わってメールになってから
尚更そう感じる。SNSも然り。

今回、岡村さんの女性への侮蔑と取れる発言は
多くの人の反感を買い怒らせた。
だから岡村さんを社会的に抹殺し、
仕返しするのではなく、
女性が幸せな社会生活を送るためには
どうしたら良いか議論し、広く理解を深める
機会にした方がみんなにとって得だし
よほど建設的だと思う。

ただの舌戦やいがみ合いには意味がない。
他人の意見を取り入れて相互に理解をし、
自分なりの性への認識を深めることが
大切だと思う。

自分だけが正しいわけじゃない。



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