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呉座勇一氏の和解後の対応を批判する弁護団声明

 呉座勇一氏は、自身の2023年10月1日付のブログで同年11月1日付で国際日本文化研究機構の助教に就任される予定である旨公表されました。私たちは呉座氏の復帰を歓迎します。

 しかるに、呉座氏の行動から、9月27日にオープンレター訴訟の和解(以下「本件和解」といいます)で確認された事項を遵守していないとの疑念を持たざるを得ません。

すなわち、呉座氏は、現在、「呉座勇一先生の裁判を支える会」と称する会のブログ記事(以下「本件ブログ」といいます)を「オープンレター訴訟の和解成立のお知らせ」として自己のブログに引用しています。そして、本件ブログには、オープンレターは、「呉座勇一という歴史学者は表向きでは歴史修正主義を批判しながら、実際には歴史修正主義であったかのような印象を読者に与えてしまう」とか、「歴史修正主義者のレッテルを貼られることは、研究者としての死刑宣告とも言うべき重大な事案」等と記載されています。

 また、本件ブログは、呉座氏が違法の主張を撤回して、和解を申出たことによって、3項を確認したという重要な経緯が省かれているのです。

 そうすると、本件ブログは、オープンレターは呉座氏の名誉を毀損する記載が含まれていたのであって、本件和解は、歴史修正主義に関する表現を訂正した(=もともと違法であったが、訂正した)と読めてしまうのです。そして、これを引用する呉座氏は、本件和解の合意事項を覆し、従前の主張を繰り返そうとしているものと言わざるを得ません。

しかし、本件和解では、その和解調書前文で、呉座氏が「オープンレターは名誉を毀損するもので違法である」との主張を撤回し、自ら和解を申し出たことが、はっきり明記されています。

そして、第3項は、「歴史修正主義」との表現は、呉座氏の行動の持つ社会的意味や問題性について論評したものであって、呉座氏を「歴史修正主義者」であると断定したものではなく、呉座氏が「歴史修正主義に同調する振る舞いをした」とまで断定したものでもないと確認されています。これは、訴訟におけるオープンレター側の主張を全てそのまま確認したものなのです。

本件和解1項で確認されたとおり、オープンレターは「中傷や差別的言動を生み出す文化から距離を取ることを呼びかけたもの」であって、個人の名誉を侵害する等なんらの違法性もありません。そうであるからこそ、呉座氏は、オープンレターは自己に対する名誉毀損であるとの主張を撤回し、自分から和解を申し出たというのが本件和解に至る経緯であり、その点を前文に明示したのです。我々は呉座氏に本件和解の文言を改めて確認するよう求めます。

私たちは、本件和解を覆そうとするあらゆる試みに断固抗議します。そして、呉座氏に対し、女性差別文化の拡散に自己が果たした役割、その問題点を改めて認識し、今後の研究生活においても女性差別的文化とは距離を取るよう、強く求める次第です。

                               以上

オープンレター弁護団

                    2023年10月8日

参照
オープンレター訴訟、勝利和解のお知らせ|弁護士神原元 (note.com)

 


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