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あっぱれ!細川宣伝社 第1話

あらすじ
小学5年の細川悠太は、父親とサックス奏者のケンちゃんとの3人でチンドン屋を始めた。亡くなったひいお爺ちゃんの『細川宣伝社』を引き継いだのだ。ある日、ひいお爺ちゃんの部屋から「チンドン奥義」なる額縁が見つかる。奥義は4つ。しかし、書いてあるのは暗号文で意味がさっぱりわからない。一人前のチンドン屋をめざす悠太は、暗号文の解読を試みる。悠太がチンドンの腕を磨こうとするのには、別の理由もあった。実は悠太は、チンドン屋をやっていることをクラスでバカにされていた。「バーカ、カーバ、チンドン屋」と。そいつらをチンドンで見返したいという思いがあったのだ。

【第1話】

 スーパー誠実屋のバックヤードで、僕らは三人並んで立っていた。
 目の前でソファにふんぞり返っていた小太りの店長が、いかにも面倒くさそうに、背もたれに預けていた上半身をゆっくり起こす。
「これじゃあ、わざわざお金を出して呼んでる意味がありませんよ、細川さん」
 僕らを一瞥してから、灰皿にタバコをグリグリ押し付けた。いまどき加熱式ではなくて紙タバコ。立ちのぼる白い煙が、ゆっくり空気に溶け込んでいく。
「同じ町内のよしみでお願いしたけど、正直ちょっと期待外れだよ。クリスマスイブなのに売り上げもパッとしないだろうな」
「申し訳ありません」
 前にいる父さんが、腰を九十度に曲げて頭を下げる。慌てて僕も真似をした。隣のケンちゃんがどうしたかは、下を向いているからわからない。
 店内に流れるジングルベルのBGMが、ドア越しに薄く聞こえてきた。陽気なリズムに、胸がキュッと締め付けられる。
 父さんが顔をあげたようだ。
「ご迷惑をおかけしたので、お代は半分で結構です」
「そう? 別に金を払うのが惜しくて言ってるわけじゃないんだけど。まぁ、そちらさんがそう言うなら」
 言い切らないうちにデスクの引き出しから茶封筒を取り出し、一万円札を何枚か抜いて差し出してきた。
「ありがとうございます」父さんが封筒を受け取り、もう一度頭を下げる。
「おっと、もう五時過ぎじゃないか。ローストチキンのタイムセールの時間だから行かなくちゃ。大量に残ったチラシ、そこに置いてって下さいね。レジで配るから、大量に」
 大量という言葉を強調しながら立ち上がった店長は、ドアの手前にある姿見で、薄い髪を整えてから出て行った。
 ブランブラン揺れ動くスイングドアの貼り紙が目に入る。店のスローガンらしい。
『人に優しく、誠実に。』
 誠実さのカケラもないのに、よく言ったものだ。
 三人になって気が抜けたのか、父さんが「ふぅ」と軽く息を吐く。
 うなだれた姿が、横から見ていて痛々しい。慰めてあげたいけれど、気の利いた言葉が見つからない。まだ小学五年生だ。気遣いはされるほう専門で、したことは一度もなかった。父親の慰め方なんて、道徳の教科書にも載っていない。
 バックヤードを出るとき、姿見に映った自分を見て、虚しさが膨らんだ。
 サンタの衣装に、ちょんまげのカツラ。
「どうした」と横から聞いてきた父さんは、真冬なのに、裸足に草履の着流し姿。頭にサンタの帽子をのせている。
 かぶっているものが逆ではないかと、心の中で突っ込んだ。
 ケンちゃんはといえば、いつものまんま。黒皮のジャケットとパンツだ。
 楽器を手にしていればまだしも、やはりこの格好でチンドン屋を名乗るのは無理がある。扮装している僕自身、どこを目指しているのかわからない。

 外に出ると、寒さで耳がちぎれそうだった。恐ろしいほど風が冷たい。
 駐車場に停めてあるステーションワゴンをめざし、気づいたら駆け出していた。父さんとケンちゃんも、肩をすぼめて早足でついてくる。
 車が走り出してほどなくすると、小雪が舞ってきた。静かに降り始めた雪がフロントガラスにぶつかり、溶けていく。ホワイトクリスマスだ。普通だったら心も浮き立つはずなのに、そんな気分にちっともなれない。
 自宅は、一階がガレージになった都内でよくある三階建て。ガレージの奥に、太鼓などの商売道具をしまう収納庫が置いてある。
 車の荷室から楽器を降ろしきると、父さんが謝ってきた。
「ケン君も、悠太も悪かったな。嫌な思いさせちゃって」
 手に白い息をかけながら、背中を丸めてサックスの手入れをしていたケンちゃんが振り向いた。
「別に悪くなんてないっすよ。オレ、頭下げてないし。親方も、あんなハゲ散らかした豚野郎にペコペコしなくてもいいのに」
「ハゲ散らかした豚野郎だろうが、お客様に変わりはないから。なにせ百五十枚用意したチラシを半分以上残しちゃったんだ。ウチが悪い」
 笑っているけど、その表情はどこか寂しそうだ。
 今日の仕事は大失敗だった。身びいきで甘めに採点しても25点がいいところ。人目をひく扮装で楽器を打ち鳴らすチンドン屋のカタチこそとっていたものの、宣伝効果が十分だったとは胸を張れない。
 買い物客からの拍手も、称賛を示すそれとは明らかに違っていた。無遠慮に指をさしてきた子供も一人や二人ではない。言ってしまえば、バカにされていたのだ。
 中でも、好奇の視線を集めていたのが僕だった。
 サンタの衣装にちょんまげ姿というヘンテコな格好で「誠実屋を、どうか、どうか一つご贔屓に」と大声で叫んでいるのだ。笑わないほうがおかしい。
 曲芸するマルチーズでも見るかのように、「カワイイわね」と近づいてきたおばさんたちもいたけれど、そういう人に限ってチラシを受け取ってくれない。
 一人一人に作り笑いで応えるのもウンザリしちゃって、途中から、まるでやる気はなくなっていた。

「それでは一日お疲れ様でした。乾杯!」
 父さんの掲げたビールのグラスに、コーラの入ったコップをカチンと合わせる。ケンちゃんも「お疲れっす」とビールのグラスを軽く掲げた。
 ダイニングテーブルには、寿司、ナポリタン、ポテトサラダ、クリスマス仕様のローストチキン……と、ご馳走が並んでいる。
 二階のリビングで、いまから反省会だ。仕事のあとは、食事をしながら一日を振り返るのが恒例となっている。といっても、まだ三回目だけど。
「ママ、スマホ借りるよ」
 キッチンで揚げ物をしている母さんに断って、父さんがピンクのカバーのついたスマホを手に取る。
 動画を再生すると、小さな画面にチンドン屋もどきの僕らが映し出された。母さんが、誠実屋で買い物をしたついでに撮ってくれたものだ。
 自分たちの格好を見て、恥ずかしさから目を背けたくなってしまう。だけど反省会なので、そうもいかない。
 先頭を行くのは、チンドン太鼓と口上を担当する親方。着流しにサンタ帽の父さんだ。胸には、三種類の太鼓がセットになったチンドン太鼓を抱えている。
 父さんのあとに、鼓笛隊の中太鼓のようなゴロスを首から下げた僕が続き、サックスのケンちゃんがしんがりを務める。
 演奏しているのは『タケス』。チンドン屋の代名詞ともいうべき曲だ。
 それを聞いて、今度は耳をふさぎたくなった。ケンちゃんのサックスが、かろうじてメロディラインを保っているものの太鼓の音は雑音に近い。
 気づいたら、スマホを覗く三人の頭がくっつくほどになっていた。小さな画面を見る父さんとケンちゃんの口が、真一文字に結ばれている。
「それにしても、なぁ」父さんが画面から目を離し、言い淀んだ。続く言葉は想像がつく。
「ヘタクソよね」
 ズバっと斬り込んできたのは母さんだ。山のように盛られた唐揚げの大皿を手にして立っていた。動画を覗き見していたらしい。
「仕方ないだろ、始めたばかりなんだから」
 父さんがビールをグビグビあおって、グラスをあけた。向かいに座るケンちゃんが、父さんのグラスに黙ってビールを注ぐ。
 ドンッ!
 母さんが、唐揚げの皿を乱暴にテーブルに置いた。
「細川宣伝社の看板を背負ってる以上、シッカリやってもらわないと!」
 外したエプロンを、放り投げるように椅子の背もたれにかける。
「今日のギャラだって半分しかもらってないんでしょ? ケン君の日当やガソリン代なんかを差し引いたら、赤字じゃない」
 言葉に棘を含んでいた。お金のことを言っているけど、怒っている理由はきっと別のところにある。たぶん父さんも、それをわかっているはず。
 父さんが、母さんと目を合わさずに言った。
「俺もケン君も普通の日は仕事してるんだ。プロのようになんて、いくはずない。悠太だって勉強があるんだし。なぁ?」
 同意を求めてきた父さんと、仁王立ちの母さんの顔を見比べる。どちらの言い分も間違っていない。だから返事に困ってしまう。
 でも、ここで何か言わないと、もっと雰囲気が悪くなりそうだ。
「ヘタクソな僕も悪いんだ。次からはゴロスとチラシ配りの両方できるように頑張るよ」
 もめ事の矛先を自分に向け、揚げたての唐揚げを指で摘まんで口に放り込んだ。勢いよく食べたものだから、熱々の肉汁が飛び出し、上あごを火傷した。きっと、あとでベロンと皮が剥けてしまうだろう。
 ご馳走を囲んで全員が黙り込んだ。部屋に飾られたクリスマスツリーの電飾が、一定のリズムで点滅を繰り返している。
 重たい空気を断ち切ったのは、ケンちゃんだった。
「親方、ちょっといいっすか? 言いたいことがあるんですけど」
 父さんと母さんが顔を見合わせる。
「あ、あぁ。なんだい」
 父さんの声が上ずっていた。仕事に関して一度だって口を出したことのないケンちゃんが、言いたいことがあるというのだ。戸惑うのも無理はない。
「今年のチンドンは、これで最後っすよね。来年はどうなるんでしょうか」
「来年、か」
 顎をさする父さんの腕を、母さんが肘で小突いた。
「やるに決まってるでしょ。この先も続けるって、お爺ちゃんに約束したじゃない」
 お爺ちゃんというのは、母さんの祖父。今年の春に九十六歳で亡くなった僕のひいお爺ちゃんだ。体調を崩してから二週間ほどで、あっけなく息を引き取った。
 もともと細川宣伝社は、そのひいお爺ちゃん細川寅吉が作ったものだ。「センゴのコンランキに弟子入りし、コウドケイザイセイチョウキに独立した」と本人から聞いている。正直なところ、昔の話過ぎて、いまいちピンときてないけれど。
 苦労して立ち上げた細川宣伝社の将来を、ひいお爺ちゃんは病床でも心配し、「チンドンを頼む」と何度も口にしたそうだ。
 とはいえ、ひいお爺ちゃんの一人息子、つまり僕のジイちゃんは、もう七十歳過ぎ。しかも腰痛もちで、跡を継ぐのは難しい。そこで白羽の矢を立てられたのが、ジイちゃんの一人娘である母さんと一緒になった父さんだ。細川の姓を残すため婿養子になっていたこともあり、ジイちゃんの言葉を借りるなら「ちょうど良かった」らしい。
 結局、婿という立場上、父さんも断ることができず、なんとなく引き受け、それとなくチンドンをこなすはめになってしまった。それが、今年の夏のこと。
 母さんが僕らの仕事ぶりに苛立ちを隠さないのは、きっと、そうした事情があるからだ。
 とはいえこのご時世、チンドン屋だけで生活していくのは非常に厳しい。
 父さんはサラリーマンをしながら、依頼があればチンドンも。といった感じで二足のわらじを履いている。そんなふうにいえば聞こえはいいけど、実際のところはサラリーマンの片手間にチンドンをやっている程度。だから、ヘタクソで当然なのだ。
「来年もやるに決まってるでしょ!」
 母さんが、語気を強めてさっきと同じ言葉を繰り返す。
「でも、あんな仕事っぷりじゃあねぇ。草葉の陰でお爺ちゃんも泣いてるわよ」
 草葉の陰って、なんだろう。気になったけど、今はとても聞ける雰囲気ではない。
 父さんが、グラスを叩きつけるように置いた。
「やるつもりはある。あるんだけど、バンドをやってたケン君は別として、俺と悠太はドが付くほどの素人だ。小学校の音楽で、ハーモニカと縦笛ぐらいしか習ってない人間に、たかだか数か月でプロ並みの技術を身につけろというほうがおかしいだろ。勝手にクオリティを求められても困る」
 それを聞いて母さんが眉間にシワを寄せた。正論すぎて、反論のしようがないのだろう。
 そのときだった。ケンちゃんがビールを一口飲んでから、静かに語り出した。
「チンドンを三回やってみて、オレ、このままでいいのかなって思い始めてます」
 ケンちゃんは昔、バンドでサックスをやっていたという。十年ほど前らしい。その世界でよくある「方向性の違い」で脱退したと聞いている。そんなふうに音楽と真剣に向き合ってきた人だ、ひょっとすると、僕らがヘタクソすぎて一緒にやるのが嫌になってしまったのかもしれない。
  だけど、そうじゃなかった。
「こんなこと言うのもおこがましいですけど、親方のチンドン太鼓、後ろで聞いてて毎回レベルアップしてるのがわかります」
「そうかな」父さんが首をひねってビールをすする。照れているようだ。
 実は父さんの演奏については、僕もケンちゃんと同じように感じていた。
 父さんが親方になっての記念すべき初仕事は、町内会の秋祭りだった。二回目が商店街のウインターバーゲン。その間、一か月しかなかったのに、明らかに上手くなっていたのだ。今日のクリスマスセールでは、さらに上達していた。
 一回目は打ち鳴らしていただけの太鼓が、二回目でリズムを刻むようになり、三回目の今日は、流れるように音を響かせていた。一緒に演奏しながら気持ちが高揚したほどだ。
 特に良かったのが『タケス』に並ぶチンドン屋の定番曲、『美しき天然』を奏でているときだった。
 チリチリ、チンチン、トン、チリリン……。
 リズミカルなチンドン太鼓に、ケンちゃんの厚みのあるサックスの音色が重なり、得も言われぬアンサンブルとなったのだ。
 母さんが、さっきまでとは打って変わって優しい口調になった。
「知ってるわよ。夜中にこっそりパパが練習してることくらい。布団かぶってやってたでしょ」
 え、そうなの? 知らなかった。父さんが、そんな努力をしていたなんて。
 父さんを見ると、バツの悪そうな顔をしている。
「だと思いました」ケンちゃんが、まつ毛の長い目で父さんを見る。
「何が言いたいかというと、オレたち、まだ伸びしろがあるんすよ。オレも親方も、悠も含めて」
 ケンちゃんは親指で自分を差したあと、父さん、僕の順に視線を投げてきた。
 確かにそうかもしれない。始めたばかりでヘタクソなのは当たり前。だからこれ以上、下手にはならないはず。だとすれば……。
 必死に練習したら、僕らは最強のチンドン屋になれるかも。そう思った直後、自分の中で膨らんだやる気が、一転してスーッと萎んでいった。
 チンドン太鼓に触ったこともなかった父さんが、隠れるように特訓をしている。
 ケンちゃんだってそうだ。チンドンの曲なんて初めてのはずなのに、ちゃんとメロディを奏でている。それなり練習しているに違いない。
 なのに僕はどうだ。胸に手を当ててみた。
「悠太はテキトーに叩いて、チラシを配ってればいいから」という父さんの言葉に甘え、練習なんてロクにしていない。本番の三日前にやる合同練習で、音を合わせるだけだ。どうせ期待されていないだろうと、おざなりに済ませていた。
 自分の行いをかえりみて、ほとほと情けなくなってきた。冬を越せば六年生になるというのに責任感がなさすぎだ。ひいお爺ちゃんにも、申し訳ない。
 だったら、どうすればいい? 答えはひとつだ。
「練習して上手くなろうよ! 僕、ゴロスとチラシ配りを冬休み中に猛特訓する。みんなですごいチンドンやって、天国のひいお爺ちゃんを喜ばせようよ」
 喋りながら、勢いよく立ち上がっていた。カラダとキモチが、やる気回路で繋がったようだ。
「そうよ、その意気よ! ひいお爺ちゃんを笑わせてあげなさい」
 母さんが後ろから、僕の肩に両手をポンとのせてきた。手の置き方で、振り向かなくても目尻を下げているのがわかる。
 バン!
 テーブルを叩く音がリビングに響く。父さんだ。
「よし、決まり。今度からパパも正々堂々練習する。ママのダメ出しが恐くて見つからないようにやってきたけど、もう隠れない。けなされながら上手くなってやる」
 父さんが、箸でグラスをチンチン叩いた。
 それを見て、母さんが腕まくりをする。
「じゃあ、遠慮なくバシバシいかせてもらうわね」
「お手柔らかにお願いします」と笑いながら、父さんがビールのグラスを手に、すっくと立ちあがった。
「ではでは、気を取り直して。今年の苦労や悔しさを教訓にするという意味も込め、今夜は細川宣伝社の反省会兼、忘年会ということで。皆さんグラスを手にとってください」
 乾杯の音頭を遮るように、ケンちゃんがフォークを持って立ち上がった。
「どうせなら、来年から心機一転頑張れるように、反省会兼、忘年会兼、決起集会も付け足すのはどうっすか?」
 それならばと、母さんも。テーブルのローストチキンを掴んだ。
「今夜はローストチキンも買ったし、ケーキも用意してあるのよ。反省会兼、忘年会兼、決起集会兼、クリスマス会も兼ねなくちゃ。で、あとは?」
 みんなの視線が僕に集まる。
 こんな流れになるとは思っていなかった。どうしよう。何か気の利いたことを言わなくちゃ。焦った僕は、コップと間違えて醤油さしを手にしてしまった。
 醤油さしを片手に椅子を後ろに引いて、腰を浮かせながら何て言おうか考える。
 あ、そうだ!
「きょう、新生細川宣伝社が誕生したってことで、反省会兼、忘年会兼、決起集会兼、クリスマス会兼、誕生会にしたらどうかな」
「誕生会か。悪くない」
 真っ先に反応してくれたのは、ケンちゃんだ。
「いいじゃないの。決まりね。十二月二十四日は、新生細川宣伝社の誕生日に決定。お爺ちゃん、そうするわよ~!」
 天井に向かって、母さんが嬉しそうに叫んだ。
「コホン」父さんが、わざとらしい咳払いで自分を見るよう促す。
「では、今度こそ気を取り直して。細川宣伝社の反省会兼、忘年会兼、決起集会兼、クリスマス会兼、誕生会を開催します。乾杯!」
「乾杯!」
 四人の声がキレイに揃い、おのおの手にしていたものが高々と掲げられた。
 グラス、フォーク、ローストチキン、醤油さし。全員が同じグラスを合わせる普通の乾杯よりずっといい。チンドンのように賑やかで最高だ。
 このやる気があれば、細川宣伝社は大丈夫のような気がする。


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