佐藤章氏『金融破綻』(岩波書店)

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五輪に係るyoutube番組で、本間龍氏とともにその活動を知った元朝日新聞記者佐藤章氏の乾坤一擲と称すべき力作『金融破綻』(岩波書店)、読了。
重厚、品格豊かな筆致で、精緻な調査、取材により報告、告発される90年代末の日本の金融、証券をめぐる実業界、官界の実相の、なんと悲惨なことか。この時現出した諸問題は今なお引き摺り続け、しかもなんら改善されていない。まさか、こんな日が来るとは想像だにしなかった、ただひたすら落下し続ける日本という現況の躓き、いや、陥落の第一歩に、憤怒より悲嘆が深いものになるばかりだった。
こんな日本に未来があるのだろうか。
ロシアの狂気と、それに乗じるかのようにして日本にあっての核論議を平然と開始しようとする暴徒たちと、それを糾弾しようとさえしないマスメディアの不作為いや狂騒、理不尽、堕落に茫然としながら暗澹たる読書時間となったことだった。

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