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丸谷才一『後鳥羽院』レビュー

学生時代以来となる約束40年ぶりの再読。ところどころの付箋が懐かしい。
丸谷才一、惚れ惚れするばかりの名人芸!後鳥羽院が,鎌倉期にあってどれほど抜きん出た文人であったかが、幅広く奥深い知性,知識によって明示された一書。定家との鍔迫り合いや実朝への傾倒が達意の名文で解き明かされ、評論ながら詩文を鑑賞しているようなうっとり気分で通読。いま、こんな書き手は皆無だなと文芸の衰退にまで想いが飛んだことだった。義時に敗れ、遠島の身となっても毅然と大家然とし続けた、そのお姿たるや良し!
文学、かくあるべし。名著です。

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