宮尾登美子原作ドラマ『藏』

宮尾登美子原作のドラマといえば『篤姫』が有名だが、それよりずっと以前、1997年の正月三が日に放送され、視聴者の涙を誘った秀作がある。

『藏』。反響の大きさから、これまで何度か再放送された。

大正から昭和初期にかけて、新潟で酒造りを営んでいた大地主の長女が主人公。幼少期に、だんだんと目が見えなくなる病にかかっていることがわかるが、母親は治してあげたいと祈りながらも亡くなり、その妹が育ての親になる。
長女は、いつかは完全な盲目になってしまう恐怖を抱えながらも、母の妹であるおばが注ぎ続ける愛情に支えられ、まっすぐに育ってゆく。

おばのほうは、ひそかに姉の夫を慕っていた。だが彼が若い芸者を後妻に迎えることを知った時、いたたまれず実家へ戻ってしまう。
それを知った長女は、目が見えにくいにもかかわらず、追いかけてきた女中とともに、おばがいる家をめざす。長女にとっておばは、かけがえのない存在となっていた。

雪の中を歩き続け、おばとの再会を果たした時から、長女の中にあったしんの強さは増し、目がまったく見えなくなってから、自身の力で運命を切り開いてゆく。

大地主の名家を取り巻く人たちの愛憎と雪国の静けさのコントラストが懐かしい情緒を感じさせ、観る人の心を揺さぶる。

長女の幼少期を井上真央が、思春期以降をこのドラマで有名になった松たか子が演じている。
デジタルリマスター版の最終回は、きょう5月5日の夜。

#藏
#宮尾登美子
https://www.nhk.jp/p/4Q43WYMYZR/

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