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TEAM DIARY #6 横田亮平 『無名選手の僕が本気の社会人サッカーを続ける理由』

コロナ禍でチームの活動が制限されるなか、もがきながらも前へ進む選手たちがその想いをつづる企画、TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER 。
第6回は 横田 亮平(よこた りょうへい)選手です。

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平素より鎌倉インターナショナルFCの活動にご支援ご声援いただいている皆様、心より感謝申し上げます。いつ何時(なんどき)も温かいサポートを誠に有難うございます。

そして、初めまして。鎌倉インターナショナルFC  横田亮平と申します。昨年度末に慶應義塾体育会ソッカー部を卒業し、社会人1年目の現在、フルタイムで働きながら素敵なチームで真剣にサッカーに打ち込ませてもらっています。本当に有難いことです。

そしてこの度、《note 新企画》 "TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER"  本連載の6番目を務めさせていただく運びとなりました。

「Jリーガー」「海外リーグでセミプロ選手」「関東大学サッカーリーグ所属チーム主将」華々しい経歴を持つチームメイトとは対照的に、特にこれと言った特筆すべき経歴を持たない自分。そんな自分が皆様に何を提供出来るのか… 

少し悩みましたが、【サラリーマン×アマチュアサッカー選手】の立場から、ありのままの想いを綴らせていただくことにしました。

僭越の極みでは御座いますが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。

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(1)最大瞬間風速

早速、表題のアンサーに移りたい。1つ目の大きな理由は、「最大瞬間風速の高まりを求めて」サッカーを続けている。

サラリーマンとして「仕事が楽しくないからサッカーで補っている」という訳では全くない。むしろ出来ないことだらけの社会人ルーキーイヤーを存分に楽しんでいる。
本業を通じて得られる、「社会貢献性を実感して感じる充実感」「1日の仕事を終えた後の心地良い疲労感」「ブランドに起因する安心感」などは他の環境では得難いものだと思っている。

ただ、仕事をしたり、興味のある事を勉強したり、筋トレしたり、気心知れた友人に会ったり、たまにはサウナに行ったり。

幸せなんだけど、何かが足りない気がする。

そう、風速が高まる瞬間がない。
感情が瞬時に湧き上がる瞬間、体内の温度が一瞬にして上昇するような瞬間が、残念ながらない。

例を挙げる。

(すったもんだあったが)東京オリンピック/パラリンピック 2020では、実際にアスリートの輝く姿を観て多くの人が「熱狂」や「感動」を感じたんじゃないだろうか。世界新記録を叩き出した瞬間、悲願の金メダルを獲得した瞬間、これ以上なく綺麗に技が決まった瞬間を目の当たりにして感じる「思わずガッツポーズが溢れるような」「『よっしゃー』と叫んでしまうような」そんな瞬間のことを、僕は「瞬間風速が最大になる」と呼んでいる。

他にも、スポーツ観戦だけでなく、お芝居やミュージカル、ライブなどを観ていても風速の高まりは感じられる。新型コロナの影響でエンターテイメントが「不要不急」にカテゴライズされて久しいけれど、なんだかんだ連日連夜ニュースを盛り上げていた/いるオリンピック/パラリンピックを見るに、風速がグッと高まる瞬間が、人生を幸せに彩るためには必要なんだと思う。

そして僕は、そのピースを埋めるために、社会人になってもサッカーをしている。

1日を終え疲労感を滲ませたサラリーマンに囲まれて下り電車に乗って、疲れた身体に鞭打って練習へ行く。金曜日の夜に飲み会に繰り出す友人を半ば羨ましくも思いつつ、早寝をして週末の練習・試合へ行く。

サッカー選手をしていて感じられる風速の高まりは、何も「喜び」とか「興奮」だけではない。むしろ、「チームとして上手くいかないことへの『苛立ち』」「不甲斐ない自分のプレーへの『怒り』」「対面する相手に敗ける『悔しさ』」こういったネガティブな感情の高まりの方が多かったりする。

それでも僕は、試合に勝った時だけでなく、ミニゲームで得点した時とか、シュートブロックが気持ちよく決まった時にふと出てしまう「本気のガッツポーズ」を求めてグラウンドに行く。感情がガッと高まるこの瞬間は、何にも代え難い。

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photo by: Kazuki Okamoto

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(2) 「可能性」に生きる


少し時を遡る。

大学時代、僕は160名いる部員の中で3、4軍が専ら定位置のごく普通(以下)の選手であった。とはいえ「おれならもっと出来る」「守備だけなら1軍でも通用する」口に出したことはあまりないが、心の奥底ではずっとそう思っていた。

そんなある日、チャンスが突然やってくる。

忘れもしない2020年8月30日。コロナ禍によるメンバー制限の関係で、関東大学サッカーリーグ翌日の1.5軍同士の練習試合に急遽招集された。相手は、前年度大学日本ーに輝いた明治大学

与えられたポジションはセンターバックで、出場予定時間はラスト30分。下のカテゴリーでも直向きに取り組んできたとは言え、Jリーグ内定者を何人も擁する大学トップオブトップのチームにどこまで通用するか、一抹の不安を抱えながら試合に臨んだ。

結果。


思った以上に通用した。自分が得意とするプレーは100%通用した。
監督からもチームメイトからも口々に褒めてもらえた。最高の30分間だった。

そのまま晴れて1軍に残留し、翌々週の関東大学サッカーリーグ戦で念願のデビューを飾る。…とは残念ながらならなかった。が、1つとても大切なことを学ばせてもらった。

「もっと出来る」という「可能性」を信じて生きていこうと思えた。

夢と現実のギャップがどうとか、実力不足だとか、ありたい姿、成し遂げたいことを諦める要素なんて山ほどあるけれど、本当にありたい姿、本当に成し遂げたいことに対する「可能性」が少しでもあるのなら、その「可能性」に全力で生きようと改めて思った。


そう思えて以降の大学サッカー人生は最高に充実をしていたし、そしてこの経験が今にも繋がっている。

今更プロサッカー選手を目指してはいない。「せめて関東社会人リーグでプレーしたい」ともあまり思わない。

ただ、将来鎌倉インテルが大きなクラブになった時に、胸を張って「選手としてこのクラブの昇格に貢献した」と言いたい。1人の人間として、ボーダーの無い、より良い社会を創っていことに貢献したい。

1人のサッカー選手としてチームに貢献すること、そして横田亮平という人間としてクラブを通じて少しでもボーダーの無い社会創りへ貢献することへの「可能性」を僕は強く信じている。

鎌倉インターナショナルFCは世界にインパクトを与えられるチームになる。革新的な “Club Without Borders” というビジョンを掲げ、日本人なら誰もが知る由緒正しき鎌倉という地から、サッカーを通じてボーダーなき世界を表現する。

人には笑われるような壮大な青写真かもしれないけど、僕は信じている。そして、そのビジョンを実現するために、1つでも上のカテゴリーにチームを上げることが、僕ら選手の使命だと思っている。

未来を信じ、前向きに「可能性」に生きることが出来ている。だから、僕はここでサッカーを続けている。

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photo by: Kazuki Okamoto

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(1)+(2)=「サッカーで」幸せになる


5歳で何となくボールを蹴り始め、9歳から本格的にスタートし、大学4年生までの11年間サッカーをしてきた中では知り得なかったこの言葉。

鎌倉インターナショナルFCに来て、チームメイトや監督が当たり前のように口にしていて驚いた。

「サッカーで」幸せになる。

世代別の日本代表でプレーしていた同期、現役時代は全国屈指のストライカーだった監督。真剣にサッカーに取り組んできた仲間や指導者にごまんと会って来たけど、初めて聞いた言葉だった。そして、心の底から納得した。

僕らは幸せになるためにサッカーをしている。
僕は、上述した2つを併せて、サッカーというツールを通じて人生を幸せにしたいと思っている。

アマチュアでサッカーをしているから、すればするほど赤字になる。グッズ代、交通費、参加費、治療費…挙げればキリがないし、正直バカにならない。

充分幸せな日々を送れている、送らせていただいているけれど、そんな日々をもっともっと幸せにするために、かけがえの無い日々にするために、サッカーがあるのだと思う。

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photo by: Kazuki Okamoto

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コロナ禍の今こそ「可能性」に生きる

最後に、今もなお猛威を振るっている新型コロナウイルスと現在の活動について述べさせていただきたい。

平日2日と土日を合わせて週に4日活動出来ていたチームは、現在緊急事態宣言の発令に伴って平日の活動が制限され、週末のみの活動となってしまった。

週にたった2日の活動。本気で上を目指すチームでは到底あり得ない話だ。

それでも、いや、こんな今だからこそ「可能性」に生きる必要があると思う。


例えば、コロナ禍で多くの我慢と負担を強いられている多くの方々は思っているはずである。

(コロナが落ち着いたら…)
・ずっと行きたかった海外旅行に行きたい
・今度こそ留学に行きたい
・友人と朝まで飲み明かしたい
・遠く離れた親戚に会いに行きたい
・満員の会場でライブを観に行きたい… etc.

これらは全て「可能性」に生きている。先行きの見えない今、「(コロナが落ち着いた)未来はきっと今より素敵なものである」という「可能性」に望みを託し、懸命に日々を生きている状態だと思う。

だからこそ、

「鳩スタがオープンしたら行ってみたい」
「来年こそはリーグ戦の応援に行ってみたい」
「子どもとユニホームを着てスタジアムに行ってみたい」
「いつか鎌倉インテルがJリーグで戦っている姿を見てみたい」

こんな風に僕ら鎌倉インターナショナルFCの「可能性」を信じ下さっている方々が絶対にいるはずである。

そして、こうした方々がいる限り、僕ら鎌倉インターナショナルFCの選手(スタッフ・チーム関係者)は本気でビジョンを成し遂げるという「可能性」に真摯に生きる必要がある。

鎌倉インテルを取り巻く環境は、神奈川県2部リーグとは思えない程充実している。本当に大きな額をクラウドファンディングでご寄付いただいたり、沢山のスポンサー様の社名が入ったユニホーム・練習着を着させてもらっていたり、プロ選手のようなカッコいい写真を取っていただいたり、県2部リーグでは前代未聞の自前のスタジアム建設が進んでいたり。

だからこそ、次は選手の番だと思っている。ピッチ上の結果で恩返しをするべき時が(とっくに)来ている筈である。

支えてくださっている本当に多くの方々のために、僕らは走る。オリンピアンとかトップアスリートが人々に与える感動の何千分の1、何万分の1にも満たないことなんて百も承知だけど、僕らのこの姿がどこかの誰かの活力の一助になっていたら、サッカー選手冥利に尽きることこの上ない。

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photo by: Jesse Kojima

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photo by: Kazuma Kawauchi


最後までお読みいただき誠に有難うございました。

今後とも弊クラブへのご支援ご声援の程どうぞ宜しくお願い致します。

鎌倉インターナショナルFC No.6
横田亮平


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