温泉の話1

プロローグ

温泉大国日本。古来より日本人が愛してやまない温泉。
ふるさと創生以来、急速に全国各地に温泉ができ、それまでは旅行の中のものであった温泉が、日常生活の一部となってきました。都市部でも至る所に温泉ができ、仕事帰りに気軽に利用できるようになりました。そんな温泉も、バブル崩壊の荒波を真正面から受け、各地で廃業を余儀なくされています。そればかりでなく、建設会社も倒産が相次ぎ、各温泉では維持管理をどのように行うべきかわからず、また対応できる会社も少ないといった現実もあります。 
厳しい温泉業界に追い討ちをかけるように起こったのが、温泉におけるレジオネラ属菌問題です。温泉は「療養の場」という固定概念と、温泉浴槽でレジオネラ症罹患とが結びつかず、温泉側で対応が遅れてしまったことにより集団感染も引き起こしてしまいました。そこで始まったのが「かけ流し神話」。一部の評論家がメディア等でしきりに「かけ流しだけが温泉である」といった論調を張り、消費者も同調してしまっている部分もあります。消費者の方の温泉に対する厳しい目を決定付けたのが、平成16年夏に勃発した温泉疑惑。それまで温泉に対してはある意味絶対の信頼があったにもかかわらず、裏切ってしまった。確かに温泉は奥の深い問題が山積しています。しかし、信頼で成り立っている業界にもかかわらず、さほどの罪悪感もなく欺き続けてきたということに、消費者の方の更なる厳しい目を受けなくてはならなくなりました。
令和となり、「コロナ禍」が、温泉業界を直撃しました。自粛により、温泉施設も休業を余儀なくされ、廃業した温泉施設も多くあります。厳しい温泉業界ですが、温泉を楽しみたい、という外国からの観光客も多くいます。また、日本人が愛してやまない温泉を、もっと家族で楽しみたい、というご家族も多くなっています。
知っているようで知らない、温泉。
温泉の奥深さを、知っていただけたらと思います。

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