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令和3年釜石市長市政方針演述のまとめ

各地で議会定例会が開会しておりますが、釜石市でもご多分に漏れず議会定例会がスタートしております。

その冒頭、釜石市長による施政方針が示されましたので、その内容を備忘も兼ねてまとめておきたいと思います。

全文はこちらから。

総論

東日本大震災からの10年間を振り返りつつ、令和3年度を初年度とする第六次釜石市総合計画や新型コロナウイルス感染症対策に言及されています。

第六次釜石市総合計画については、根幹となるまちづくりの理念として「一人ひとりの幸せの実現」「危機対応と希望の追求」「釜石発の新しい価値観」の三本柱を掲げ、目指すべき将来像として「一人ひとりが学びあい 世界とつながり未来を創るまち釜石 ~多様性を認めあいながらトライし続ける不屈のまち~」と定める方針を明言しています。

そして、計画推進の基本的な考え方として、「全市民参加でつくるまち」「多様な連携と交流によるまち」「効率的・安定的な行財政運営ができるまち」の3点を意識して総合計画の遂行に取り組むという考えを述べています。

各論

各論部分は各分野別に構成されていますので、分野ごとに整理してみたいと思います。

保健福祉分野

保健福祉分野の基本目標は、「あらゆる人の幸せをみんなで考えつくるまち」とされ、基本施策として、「地域で支え、子どもが安心して生活できるまちづくり」「みんなで健康になれるまちづくり」「共に見守り支え合い、包括的支援によるまちづくり」の三本柱が提示されています。

高齢化率40%前後という市勢を反映してか、高齢者向けの施策に手厚い内容になっているように感じました。高齢者福祉も重要な施策ですが、釜石市は民間を中心に障害者福祉に強みをもっているのではないかと思うので、「一人ひとりの幸せの実現」のために障害者福祉への後押しも期待したいと思います。

生活環境分野

生活環境分野の基本目標は、「人と自然が共存し安心して暮らせるまち」とされ、基本施策として「快適に暮らし自然と共存するまちづくり」「快適で安心・安全なまちづくり」「生活基盤が充実したまちづくり」の三本柱が提示されています。

エネルギーや生活インフラに関する分野ですが、全体に占める割合や分量の他分野との比較からすると、重点項目から外されているような印象を持ちました。東日本大震災からの復旧復興期間では重要視されていた分野でしょうから、プライオリティーが下がっているように読めるのは、復旧復興期間が終わって次のステージに進んだことの証左なのかもしれません。

産業雇用分野

産業雇用分野の基本目標は、「未来をつくる人と産業が育つまち」とされ、基本施策として「効率的な土地利用」「商工業の振興と新たな産業の創出」「釜石港の流通拠点化」「水産・農林業の振興」「観光振興と交流人口の拡大」「移住定住の推進と雇用の確保」の6点が提示されています。

生活環境分野と異なり、全体に占める分量割合からして最重要視されている印象を持ちます。ローカル経済はラグビーワールドカップ終了後の祭りの後感と新型コロナウイルス感染拡大で大きなダメージを受けていますので、地域経済活性化に向けた施策をしっかりと運用してもらいたいと思います。

教育文化分野

教育文化分野の基本目標は、「地域と人のつながりの中でみんなが育つまち」とされ、基本施策として「未来を担う子どもたちの育成」「子どもを育む環境づくり」「生涯学習・スポーツの振興」「歴史・文化・芸術文化の振興」の4点が提示されています。また、「ラグビーのまち釜石の推進」について、4つの基本施策と並列して言及されており、今後の展開に注目したいと思います。

子どもに対する教育に関する投資は、地域の未来をつくっていく基礎固めの意味を持っていると思いますので、積極的に投資を行ってもらいたいと思います。

危機対応分野

危機対応分野の基本目標は、「過去に学びみんなが命を守れるまち」とされ、基本施策として「防災意識の向上」「地域防災力の向上」「多重防御による防災・減災」の三点が提示されています。

東日本大震災津波の被災地である釜石市は、市民がもつ防災意識の高さは全国有数なのではないかと思います。そのような市民の高い意識を活用した施策の遂行を期待するとともに、現在直面している有事である伝染病対策についても適切な情報発信を行うことで市民間に蔓延る悪感情を拭ってもらいたいと思います。

おわりに

第六次釜石市総合計画で掲げる3つの基本理念(「一人ひとりの幸せの実現」「危機対応と希望の追求」「釜石発の新しい価値観」)は、壮大なスケールのものをもってきたなという印象です。並大抵の努力では実現できないでしょう。

しかし、壮大なスケールの理念を掲げるからこそ外部人材に興味を持ってもらえるという側面もあると思います。

釜石市は東日本大震災後の10年間で多様な外部人材を受け入れました。そして、この10年で釜石に関わった外部人材の多くは、現在釜石圏外で活躍しています。私は、そのような人材に震災10周年以降どのような切り口で釜石に関わり続けてもらうことができるかを潜在的な市政の課題だと認識していました。ですので、スケールの大きな3つの基本理念が釜石圏外で活躍する人材を惹きつけてくれることを期待しています。

そして、第六次釜石市総合計画のもと、行政・市内民間団体・外部専門人材等による協働プロジェクトが次々と立ち上がり、地域での生活が活性化されていくことを期待しています。

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