福岡土産No.1は通りもんじゃない(1月27日)
実家から仕送りが届いた。「外出自粛生活の足しになれば」という名目で、何か送りたかったのだろう。ありがたいことだ。
字が薄いな〜! 薄墨で書いてんのかと思った。
香典でももっと明瞭に書くだろと思ったけど、僕は親が書くこういうヘロヘロの文字が好きなので「フヘヘッ」と少しだけ笑った。
慈しみ深きスマイルマーク。何の悩み事もなさそうで羨ましい。
実家は福岡にあるので、こういう時のダンボールには明太子や有明海産の海苔などが所狭しと並べられている。「こういうの東京じゃ食べれんやろ」というサービス精神が見てとれる(近所のイオンでしょっちゅう九州物産展をやっているので、割と手に入るけど)。
うちの実家には来客や遠方の親戚に膨大な量のお土産を渡す文化がある。長男家なので、昔は盆正月になると親戚が集まるような家だったが、親戚が帰る際には家中のありとあらゆる物品を献上して、車のトランクを埋め尽くしていた。
当時は、凱旋する桃太郎並の土産物を持ち帰る親戚を見て「いいな〜」と思っていたが、今思うと結構負担だったんじゃないかと思う。
大学生になり家を離れてからは、仕送りという名のもと僕もそのお土産爆弾の標的となった。始めは野菜とか米とか実用的なものが搭載されてきていたが、当時は自炊をする習慣がなく上手く使いこなせなかったため、いつの間にかお菓子など日持ちのする(かつ、だらしない学生でもすぐにパクつける)ものに変わっていった。
今でも、実家から送られてくるダンボールには、数々のお菓子がテトリスのようにギュウ詰めにされている。わずかな隙間にも海苔などのペーパー状のものが際限なく突っ込んであるので、デッドスペースが限りなくゼロの状態だ。その乗車率200%のダンボールは、見た目には似つかわしくないほどの重量感がある。妻も当初は「家電が届いた!?」と困惑していた。
「生活に困ってないから仕送りなんかしなくていい」と言ってはいるが、子どもがみな巣立ち夫婦二人だけになった実家ではこういうのも貴重な楽しみの一つなのだろう。それを奪うのも忍びないし、ありがたいことには変わりないので遠慮なくいただいている。
開封する際は、イリュージョンのように小さな箱から次々とお菓子が出てきて、これが結構面白い。「こいつこんなものまで丸呑みしてやがったか…」とウワバミの胃袋を解体している気分になる。
あ! なんばん往来だ! やったー!
以前、妻と一緒に帰省した際に、両親の前で2人ともこいつが好きだと話したことがあり、それ以来レギュラー入りしているお菓子だ。
そうだそうだ。今日はコイツの話がしたかったんだ。前置きが長過ぎましたね。
福岡土産というと、皆「博多通りもん」を思い浮かべるだろう。
たしかにアレはいい。知名度もあるし美味しいので、職場用に福岡土産を買う時は僕も迷うことなく購入している。
しかし、僕は知っている。福岡土産のNo.1は「博多通りもん」ではない。
真の王者は、この「なんばん往来」なのだ。
なんばん往来は、福岡土産の中では珍しい『洋菓子』。表面は薄いパイ生地でふわっと包まれており、サクサクした繊細な口当たりが印象的なお菓子だ。
中身はアーモンド焼き菓子だが、生地がみっちり詰まった焼き菓子とは違い、持ち上げるとほろほろとこぼれ落ちそうなくらい柔らかい。
パイ生地のサクッとした食感の奥に、このしっとりとした柔らかいアーモンド生地が現れて、アーモンドの香りとほのかなバターの風味が忍び込んでくる。
また、生地の中には甘酸っぱいジャムが添えられており、後味が甘ったるいものにならないようさりげなくアシストしているのも心にくい。
子どもの頃は「ジャムの部分要らね〜」と思っていたが、大人になってこのありがたみが分かった。このジャムがもたらすアクセントのおかげで全体の味がキュッと引き締まり、生地の食感と同じく軽やかに味わえるお菓子になっているのだ。
触れれば崩れそうなふわふわの生地の中で、アーモンドの甘みとジャムの甘酸っぱさが引き合うことでかろうじて原型を留めているような繊細なお菓子。
断言するが、福岡土産のNo.1は間違いなく「なんばん往来」である。
では、なぜ僕らはお土産にこいつを買ってこないのか。
「福岡感がないから」というのもあるかもしれない。たしかに福岡育ちの僕も20数年の間、このなんばん往来は長崎のお土産だと思っていた。だって「なんばん」だもん。
その昔、長崎街道から砂糖やアーモンドが伝わったことから名付けられたらしいが、この語感から福岡の風景に思いを馳せるのは難しいだろう。
そういう意味では、確かに「博多通りもん」や「銘菓ひよこ」の方がお土産感はあるかもしれない(言っとくけど、冗談でも「ひよこって東京土産でしょ?」とか言うなよ。お前んち焼くぞ)。
しかし、なんばん往来の味の前では、そんなの些細な問題に過ぎない。
なんばん往来をお目にかける機会が少ない理由はただ一つ。
かさばるからである。
生地に厚みがあることに加え、プラ容器で堅牢に保護されたなんばん往来はどうしても包装がかさばる。12個くらいしか入ってない箱でも手提げ袋がかなり圧迫されるサイズになっている。
他の商品と比べて、お土産としての運搬コストがやや高いのだ。
こうなると、どうしても「博多通りもん」に軍配が上がってしまう。同じサイズの箱でも薄ぺたな通りもんなら倍は入るだろう。
要は、なんばん往来は「お土産の効率」の前に破れ去っているのである。誠に遺憾だ。あんなに美味しいのに。でも、帰省の帰りにパンパンの土産袋なんか手に持ちたくないもんな。
職場のような個包装バラマキ用でなく、箱ごと個人に渡す用であれば無類の強さを誇るだろうな。ただ、そうなるともっと単価の高いものが選ばれそうな気がするけど。
以前、職場のみんなに食べてもらいたくて一度、お土産として「なんばん往来」を買って行ったことがある。弊社はお菓子の味にうるさい社員ばかりだが、それでもかなり好評ではあった。
ただ、やはり持ち運びが面倒ではあったので今後は自分用だけを買おうと決めている。飛行機の荷物入れで手間取るのが嫌なので(あそこでグズついてると怒号が飛びそうで怖い)、できるだけ荷物は少ない方がいい。
もしあなたの周りに福岡土産でなんばん往来を買ってくる人がいたら、その人は『マジ』である。どうか大切になさってください。
隠れた福岡土産「なんばん往来」
その気になればECサイトでお取り寄せもできるが、なかなか手が出ないだろう。
ただ、僕は福岡土産No.1だと確信している。もし機会があったら、あなたもぜひ食べてみてほしい。
よろしく!
かまどさんのお名前は何からきているのか(由来)を知りたいです!
大学時代に落語研究会に入っており、その時の高座名(=落語やるときのニックネーム)が佳窓(かまど)だったからです。大学時代から10年以上ずっとこれなので、本名で呼ばれるよりかまどの方が多いくらい。
OBに佳乃(よしの)と窓竹(そうちく)という先輩がいたらしく、そこから字を取って名付けられました。なんか落研的意識高い先輩がそういうのをやりたがっていたので。
めんどくさいので、通常は高座名の由来を聞かれたら「実家が弁当屋だからです!」と答えています。ちなみに実家は弁当屋ではありません。
"かまど"という名前の由来が気になります。
(どこかで既に話されていましたらすみません。)
実家が弁当屋だからです。
落研では先輩が高座名を決めるしきたりみたいなものがあって、仲のいい先輩から適当なニックネームをつけてもらっていました。細身のひょろっとした奴は「紐久(ひもきゅう)」とか、色白だから「色次郎(いろじろう)」とかそんな感じ。
僕は特徴がなかったので、名付けに時間をかけられていたんですが、内心「大学生のニックネームなんてどうでもいいのに」とこだわりがなく、先輩が「OBの名前を取って佳窓っていうのはどうだろう?」と提案された時も、別の先輩がやるお笑いライブに早く行きたかったので、生返事を返して適当な流れでこの名前に決まりました。
学生落語だと、たまに「おちんちん亭かい太」みたいなふざけた名前でかましてくる大学もありますが、うちの落研はマジでつけてた方でした。それはそれで恥ずかしい。現役の頃、何かの落語大会で「ばいしゅん」という名前の学生が優勝していたんですが、大人の事情で「梅春(うめはる)」に改名させられたという噂がありました。
「おびんびんちろん」って "下ネタを言う快感" と "下ネタを言っている背徳感" が同時に味わえてオトクだと思いませんか?
全ての文節で何言ってんのか分かんねえ。ある言葉みたいに言うなよ(ある言葉じゃないよね?)。
数学Aで言えば「下ネタを言う快感」⊂「下ネタを言っている背徳感」だから、オトクでもなんでもない。
ウンチポロロン!
ウンチンポぽよよん!
そういう奴しかいないのか。
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