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へいSiri!!カギを開けて!!(3月12日)

オモコロブロスの記事が出ました。またahamoのPR記事だ。どうしたドコモ! このままじゃ君のこと好きになっちゃうよ。

ahamoのことをニュースで見た時、「オンラインで完結できるプラン」とは言うけど、店頭のサポートが受けられないのはいざというときに困るだろと思っていた。よく考えたら機種変更するときくらいしか店頭には行かないよな。

一つだけ懸念があるとするなら、僕は今データ使い放題のプランを使っているので、20GBの制限が大丈夫だろうかという点。YouTubeの動画をラジオ代わりに再生したりするので、僕は他人よりもギガを使う生活をしている。

今は在宅ワーク中なので基本的にWi-Fiに接続しているはずだが、今確認したところ先月は10GBほど使っていたみたいだ。また毎日出社する生活に戻ったとき、20GBで賄えるかどうか正直自信がない。

…と思ってたけど、スマホ料金の請求金額見てたらめっちゃムカついてきた。今後の世界ではみんな3,000円もしないスマホ代で暮らしてるのに、俺だけ万を超える金を払い続けるなんて許せねえ。

もういい。プラン変更だ。他人とツラを付き合わせなくていいなら、むしろその方が楽。あと、これは関係ないけど、さっき3年前にどさくさに紛れて契約させられたスマホの任意保険みたいなヤツの月額費がまだ取られ続けてたのに気づいた。だからかな、こんなにキレてんのは。



うちにスマートロックが導入されて1週間ほど経った。しばらく使ってみての感想だけどかなり便利だ。カギを出し入れしないだけでこんなに心持ちが変わるとは思わなかった。

Siriに一声かけるだけでカギの開け閉めができるよう登録しているが、今のところそれが一番生活に馴染んでいる。出かける時は、玄関で「へい、Siri」と呼びかけSiriを起動する。ドアから出ると同時に「カギを閉めて」といえば背後でロックされる音がする。動線に無駄がなくていい感じだ。

ただ、アパートの共有スペースで「カギを閉めて」と命令調の独り言を言っているので、隣人と出くわした時はなんとも気まずい。実際のところ、人とすれ違うことは少ないが、見られたら恥ずかしいのでなんとなく小声で優しくSiriにお願いしている。

もし僕が玄関から出てくるシーンにたまたま遭遇した人がいたらどう思うかな。僕はAメロの「へい、Siri」を家の中で済ませているので、外に出てくるやいなや「カギを閉めて」と誰かに命令する不遜な男に見えるだろうか。ドア越しに中にいる妻に命じているとか思われてたらめっちゃヤダな。


スマートロックのせいで起きたトラブルは2件ほど。妻が帰宅する直前でスマホの充電が切れてしまったため、その時たまたま家にいた僕が解錠する羽目になったことがあった。スマートロックはスマホが動かないと動かすことができない。

僕はバッテリーの残量を執拗に気にする性質なので「充電切れ」なんて事態は発生しにくい。しかし、妻はあらゆる電池残量に対し鷹揚に構えているので、スマホの充電を切らしたまま平気で生活していたりする。かっこいいな。

スマホの充電が切れて締め出しを食らうケースは今後も頻発するだろう。ただ、スマートロックはスマホがなくても、元のカギがあればアナログで解錠することができる。万が一のためにバッグの中にカギを入れておくようにすればこの事態には対応できるので、そこまで致命的なトラブルでもなかった。


スマートロックのせいで起きたトラブルのうち、もう1件は試しに「オートロック機能」を使っていた時のことだ。

前回の日記では「iOSはオートロック機能が使えない」と書いたが、ある日なぜかこの機能が使えるようになっていた。もともと、うっかり締め出しを食らうリスクが上がりそうだという懸念から、オートロック機能を使うつもりはなかったが、せっかくなので使い心地を試してみた。

オートロックが作動するタイミングは任意に設定できる。自分で定めた時間(最短3秒間)ドアが開きっぱなしになっていると、自動的にカギが閉まるようになる。試しに何度か設定して出入りしてみたが、自分で閉めた手応えがない分かえって不安になってくる。「オートロックするまでに1時間」なんてピーキーな設定もできるが、これを上手く使えるシーンはちょっとイメージできない。やっぱり自分には向いてないかもな。

在宅ワークが終わり出社するようになったら利用状況は変わるかもしれないが、少なくとも今のところはオートロックは必要ないと判断した。「開きっぱなしだけど大丈夫?」とお知らせしてくれる機能があれば十分なんだけど、それって搭載されてないのだろうか。

一通りオートロックの試運転を終えた僕はいつもの仕事に戻った。社内チャットで「歯くそとチンカス。食べるならどっち?」という話題が盛り上がっていたので、みんなでいろいろと意見を交換したりしていた。

その後、休憩がてら近くの酒屋に出かけた。そこで缶コーヒーを買った後に、店頭の灰皿をお借りしてタバコを吸うのがいつもの習慣だ。ちなみに、そのお店にいるおばあちゃんはキレイ好きで、店先の道や灰皿をハイペースで掃除している。酒屋の店先にあるのに、その灰皿スタンドはいつもピカピカだ。

おばあちゃんが掃除している姿をよく見かけるため、僕も含め、店を利用する喫煙者は、その喫煙スペースあまり汚さないように努めている。灰が散らないようになんとなく気を配るし、火を揉み消したあとは焦げ付いた灰をたばこのフィルターで拭ってから捨てるようにしている。この暗黙のルールが僕はなんとなく好きだ。

おばあちゃんはこちらがイヤホンをしていようとお構いなく話しかけてくる。大体はその日の天気の話とか、目の前のオフィスにこんな車がきてたとかそんな他愛もない話だ。

去年の秋頃。店の前に散らばった大量の落ち葉を掃除するおばあちゃんが「区が掃除してくれたらいいのにね〜」と僕に愚痴をこぼしてきたことがある。おばあちゃんいわく、区はお金がないからこの辺の道は掃除してくれないらしい。そんなことあるのか?

いつもなら「大変ですね〜」と生返事を返すところだけど、その時は以前から常々考えていたということもあり、「店先にホウキとか置いてみたらどうですか?」と提案してみた。掃除するおばあちゃんを横目にタバコを吸う行為をいつも後ろめたく感じていて、もし店頭に掃除用品があったら僕もちょっとその辺を掃くくらいのことはするだろうなと思っていたからだ。

どうせタバコを吸っている間は手元も空いているし、喫煙者なんて常に心にやましさを抱えている。この店には客がなるべく清潔に保とうとする暗黙のルールもあるので、意外と上手くいくんじゃないだろうか。正直な話をすると、「喫煙スペースに掃除用品をおくと喫煙者はどう振る舞うのか」の検証もできて、いい感じのWEB記事にまとめられそうだな、というすけべ心もあった。

おばあちゃんは「掃除されるより商品買ってくれた方が嬉しいかな〜」と一笑に付していた。言われてみれば確かに。僕も今は後ろめたさを誤魔化すために缶コーヒーを買ったりしているが、ここに「掃除」というコストを払い始めると、ものを買うことでお目溢しをもらう気は薄れるかもしれない。柔和なおばあちゃんが案外シビアな損得勘定をしているのが分かってちょっと面白かった。

この日、おばあちゃんは不在で、旦那さんが軽トラから酒瓶を荷下ろししていた。おばあちゃんと会話するのは週に1回あるかないかくらいで、ほとんどはこんな感じである。旦那さんの方は会釈程度のコミュニケーションですむ。気が楽なようでもあり、ちょっと物足りないようでもある。

いつものように灰皿に散っている灰をタバコで拭ったあと、小休憩を終えて帰宅した。今のところ、社内チャットで雑談して一服しただけだ。午後からは溜まっている仕事を片付けなければ。そんなことを思いながら自宅のドアを開けようとした。





カギがしまっていた。オートロックである。

社内チャットで戯れていたせいですっかり忘れていたが、今はオートロック設定「1時間」を試している最中だったのだ。

スマホは家の中である。数分程度のタバコ休憩なので、カギも閉めずに出かけてしまっていた。セキュリティの甘さが浮き彫りになった。


その瞬間は理解が追いついていなかったが、次第に事態を把握し始めた。今、目の前のドアにはカギがかかっている。僕はスマホもカギも持っていない。当初から懸念していた「オートロックによる締め出し」をくらった形だ。妻が在宅中であれば呼び鈴を鳴らして開けてもらうこともできたが、あいにく今日は不在である。

大丈夫。まだ慌てる時間じゃない。うちのスマートロックはWi-Fiに繋がっているので、スマホさえあれば遠隔で解錠することができる。今から妻に連絡して、妻のスマホからカギを開けてもらえばいいだけの話だ。



あ、違う。その連絡するためのスマホが家の中じゃないか。なるほどね。要するに"詰み"ってことか。

おファックである(汚い言葉なので丁寧語にした)。

よし。ここだな。今が慌てる時間だ。どうしよう。おろおろ。



僕の部屋は玄関横の窓と繋がっている。窓のカギは施錠してあるのでそこから侵入することはできないが、窓を挟んですぐの場所にベッドがある。そして、僕のスマホはそこに置いてある。

僕は窓の外から呼びかけた。へい、Siri。カギを開けて。

きっとこの声は彼女に届く。へい、Siri。カギを開けて。


窓際にベッドを置いたせいで、僕はいつも難儀していた。外の音が丸聞こえで、そのアパートの住人が帰宅すると寝ている僕の耳にドカドカと足音が聞こえてくる。隣の部屋に住む隣人の無作法な大声も、窓際で寝ているせいでいつもダイレクトに耳に入ってくる。今まで何度、安眠を妨げられただろうか。

しかし、今回ばかりはこの配置に救われた。ガラス一枚挟んでいるだけで、今スマホは目の前にある。いつも、配達員が「すいません。Amazonで〜す」と呼ぶ声もあんなにクリアに聞こえるんだから僕の声だって届くはずだ。近いうちに模様替えをしようと考えていたが、先延ばしにしていて本当によかった。へい、Siri。聞こえるか。カギを開けてくれ。

僕はしばらくの間、窓に顔を押し付けてカギを開けるよう懇願し続けた。側から見ると、夫婦喧嘩で締め出された哀れな夫に見えただろう。僕が切羽詰まった声量を出し始めた頃、ようやくSiriが反応してカギを開けてくれた。

無事、家に入ることができた僕は真っ先にオートロックの機能を解除した。もう2度と使うものか。あと、今後はちょっとした外出でもちゃんとカギを閉めような。マジで。

一時はどうなることかと思ったが、ベッド配置のおかげで難を逃れることができた。これにて、一件落着である。



一件落着じゃなくない???

家の外からカギ開いちゃってんじゃん。セキュリティ終わってるよ。

これって、僕が寝てる間に家の外に狂った空き巣がやってきて「カギを開けてください!」と叫んだら玄関フルオープンになるってことよね? おファックじゃない?


調べたら、一応Siriは僕だけの声を認識してくれるらしい。他人の「へい、Siri」では起動しないようになっているそうだ。でも、そんなのは全然安心できない。

結局、在宅中は必ずドアロックをかけるようにした。今までもそうするべきだったんだろうけどさ。

スマートロックを導入して以来、自分のスマートじゃなさが浮き彫りになるような気がする。僕にこの文明はまだ早かったのかもしれない。

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