なんとなく

世界で最初の嘘はなんだろう。「だいじょうぶ、死なない。」
みたいな優しい嘘だと思いたいが、
「絶対返すから、ちょっと貸して」
だったとしてもしょうもなくて好きだなと思う。

嘘には真実がいる。でもあんまり真実と言えるものはなさそう。
死ぬ生まれるは真実と思う。
死んだあとどうなるんだろうな。
だいたい逆向きに考えると面白い。逆に。

逆再生する。灰から骨、受肉、意識、棺桶の中の老人。
中年、青年、少年、幼児、赤ちゃん。
たくさんある記憶は少しずつ失われ、
自我や意識は消失し、母体に還る。

器官が分かれ、細胞に分かれていく。
母体に取り込まれた栄養の多くに還元していく。
卵細胞、精細胞に分かれ、
母と父の一部になっていく。

そのあとどうなっていくか。
これが繰り返されてずっと繋がっている。
人なら700万年。地球誕生なら46億年。
宇宙ならもっとたくさん。

てことは、死んだところで繋がっている。
意識も消失するんだから、また発生するんだろう。
まあほんとそれだけのことで、
それだけのこと。

スタート地点とゴール地点は決まってるから、
結局自由なのはその間のやり方だけ。
生き方ってやつなんだけど、
生き方は、思い込まされと思い込みで自由にできていない。

こうした方がいい、こうしなきゃダメ、という思いこまされ。
あれが食べたい、これが欲しい、という思い込み。
なんだかなぁと思う。
この中でやり方選ぶのは、なんだか癪に触る。

一切皆苦。人生は苦しくて、虚しいもの。
「そんなことはないよ」というのは冒頭の優しい嘘かな。
苦しくて、虚しいから、
少しでも痛みが和らいで、意味が感じられる人は本当にありがたい。

そういう人になりたいと思うけど、
「絶対返すから、ちょっと貸して」
みたいな訝しい、意味がない人だったとしても、
誰かと間柄を持っている人間なら。
しょうもなくて好きだなと思う。

明日は風来のシレンの発売日です。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?