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TikTokを3年でここまで成長させた秘訣を知る男 水曜企画 note対談 西田 真樹さん vol.1

さて、水曜日ということで、今週もやってきました、対談企画です。
ちなみに過去2回(お二人)の記事はこちら。


お時間あるときにぜひ、一読ください。
それでは今日はTikTokを運営することで有名なByteDanceにて日本の事業を統括する西田さんとの対談です。

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西田 真樹
Head of Global Business Solutions, Japan TikTok For Business Japan.
約20年間株式会社電通で国内・海外のデジタルマーケティングを担当し、7年間の中国駐在を経て2018年からTikTok For Business Japanに参加。TikTok For Businessの日本事業を担当している。

それではご覧ください!




すべての数字を2ヶ月スパンでチェック


鎌田:いきなり伺いますが、今日は何をしてたんですか? 
 
西田:あ・・・ByteDanceって 2ヶ月に1回、グローバルでの大きな経営会議があるんですよ。
 
鎌田:ほー!2ヶ月に1回、しかもグローバル。普通は四半期ですよね。

西田はい、通常より1か月短いタームでお尻を叩かれる状態が、僕、入社以来3年間続いてるんですね。2ヶ月ごとにKPIチェックしてOKRチェックして、修正して、PDCA回していくっていう3年間。だから3年間なんですけど6年くらい働いてる感覚で。そういうことの積み重ねが身体にきてますね(苦笑)  

鎌田:精神と時の部屋ですね。ある意味。
 
西田・・・という、その経営会議が、今週始まってまして。  

鎌田:1日じゃ終わらないんですね。

西田:ええ、月曜からずっとやってるんですけど、グローバル化が進んで、時差の関係で21時から夜中の2時までみたいなこともあったり、しかも、今の時期は年度末に向けての会議も重なってまして。西田にとってみると、息を止め続ける1週間という感じです。 

鎌田:おおー重なってますねー(笑)そんな中、来ていただいてすみません。 
 
西田:とんでもないです! 
 
鎌田2ヶ月ごとの経営会議というのは、ByteDanceさん独特のノウハウなんですか?
 
西田:そうですね。ByteDance特有じゃないかなと思います。GAFAでも2ヶ月っていうのはあまり聞いたことないですね。
 
鎌田:ほーーーう




映えなくていい ほっと一息できる場所

鎌田:つい経営会議が気になりすぎて伺っちゃいましたが、ここから本題で、ひとつめの質問です。TikTokってコロナ禍においてどうですか?変化などありますか? 

西田:毎日緊張感のあるニュースが流れたり、在宅勤務とかでみんながリズムを掴めないでいる中、ほっと一息できる時間を提供できたんじゃないかなって思います。そういう意味で、市民権を獲得したと表現できるかなと。
 
鎌田:うーん、なるほど。  
 
西田:たった3年前のことですが、僕がByteDanceに入った頃、TikTokは放課後の次世代掲示板みたいな場所だったんですよね。アプリを開けた瞬間に、中高生がキャキャキャッとやってるそんなイメージでした。
 
鎌田:僕もそのイメージでした。最初。 
 
西田:それから少し経って、今度は若者、主にZ世代が、等身大の自分を表現するような場所に変わっていったんです。「映え」とは違って、飾らないんですよね。 
映えなくていい安心感と、縦型のショート動画っていう新しいフォーマットで、そのままの自分を出していったり、自分の欠点みたいなものもさらけ出してつっこまれるのも楽しむような、新しい表現。 
 
鎌田映えなくていいって、新しい表現ですよね。 
 
西田映えることに最初に疲れて追いつけなくなったのが、もしかしたらZ世代だったのかもしれないですね。 
 
鎌田:ああーー。 
 
西田:で、特にそれが心地よくって。 
 
鎌田:TikTokでなんかバカなことをやってんなあーっていうのとか、意外な一面を見せるのとかって、究極の一枚の写真を撮るのとはまったく逆の方向じゃないですか。 
 
西田:そうそう。しかも、ただバカなことをやってるんじゃなくて、思いを込めてバカなことをやってるっていう。見る側に、文脈というか色んなことを妄想させるような。
 
鎌田:うんうんうん 
 
西田:本来であれば、静止画だからこそ妄想させると思いきや、あの15秒っていう動画になって、情報伝達量が静止画の数百倍にもなっているにも関わらず、やっぱり妄想できてしまう。より何倍もの妄想してるっていう感覚があると思うんですね。  


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笑顔の西田さん



音楽のサプライチェーンで欠かせなくなったTikTok


鎌田:ここ最近、色んな音楽系コンテンツが増えていったじゃないですか。音楽系コンテンツから実際にストリーミングやダウンロードが増えたとか、そういうのって肌感としてあるんですか? 
 
西田:そうですね。昨年でいうと、例えば「香水」のようなTikTokで流行ったものが紅白までいったり、 本が売れたり、ニッチなコミュニティではなく、コトやモノを動かせるようなプラットフォームになった感覚があります。

鎌田:うんうん。
 
西田:3-4年前だと、メジャーレーベルの方々に、新しいプラットフォームなんですよっていうようなご説明しても、手放しに「ようこそ!」って言っていただけるような状態じゃなかったんです。 
 
鎌田:警戒もされたでしょうね。
 
西田:それが、つい先日もユニバーサルさんとグローバルでご一緒させていただくことになりましたし、ソニーミュージックさんワーナーミュージックさんとの契約なども含めて、TikTokが音楽のサプライチェーンに無くてはならない存在というか、TikTok無しにはヒット曲は生まれないと言えるようになれたんじゃないかなと。ちょっと大げさな言い方かもしれないですけど。でも、そこまで来ていると思っています。
 
鎌田:昔はテレビの音楽番組が主流で、みんなそれを見るしかなかったじゃないですか。今は見る場所が分かれ過ぎてて、どこに何をプロモーションしたから曲が売れますっていう方程式が立ちにくくなったって思ってるんですよ。
それはマンガもだと思ってるんですけど。何かうまくハマると「鬼滅の刃」みたいにボコッといくかもしれないんですけど。なかなか難しいよなっていう時代だと思ってて。

でも、今回の契約された件から、僕が勝手に妄想するのは、昔なら歌番組とかを見てたような時間が、今はTikTokを見る時間に充てられているかもしれなくて、まさにそれほどの影響力になったっていうことですよね。
しかも見られてるだけじゃなくて、人を動かすほどのコンテンツが存在するプラットフォームになったってことで。 


西田他のSNSとの違いで言うと、TikTokのUIって、見た瞬間、音が出るじゃないですか。 
 
鎌田:ですよね。
 
西田:だから、TikTokっていうプロダクトは音楽、音声で成り立っていると言えるんじゃないかと。
 
鎌田:なるほどー! 
 
西田:もしかしたら、TikTokにとって「骨はなんとかで、血液は音楽」かもしれないっていうくらい重要なものなんですよね。 
 
鎌田:確かに!僕もSNSのタイムラインで動画とか見てても、タップしないと音が出ないモードにしてるんで音が出ないのが多いんですけど、TikTokの場合はもう音が出ること分かってるから、最初から。 
 
西田:油断しちゃうとね(笑) 
 
鎌田:そう 
 
西田:ガンガン鳴っちゃったりして 
 
鎌田:その最初の擦り込みって全然違いますね! 
 
西田:そうですね。実は動画よりも音なんじゃないかなって。まあ、両方一緒なんですけどね。 
 
鎌田:ふーん、面白い! 



ByteDance入社までのビジネス歴

鎌田:西田さんがTikTokにいかれて3年ですよね、その3年って凄い濃い期間だと思うんですけど。それまでの西田さんってどんなことをされてたんですか?

西田いちばん最初はCCC(鎌田メモ:TSUTAYAさんなどのカルチュア・コンビニエンス・クラブさん)なんですよ。 
 
鎌田:えっ!知らなかった。何歳くらいの時ですか? 
 
西田:新卒の時ですね。

鎌田:へーーー。電通さんのイメージがめっちゃ強かったので。 
 
西田:電通は20年くらいいましたから、どうしてもそっちになりますけども。CCCは3年半くらいだったんですね。 

鎌田:そうなんだ、何をされてたんですか?
 
西田:半年くらい、関西のTSUTAYA3店舗くらいの店長やってたりして。 
 
鎌田:店長? 
 
西田:店長です。新入社員はみんなお店に行け!って。
 
鎌田:なるほど! 
 
西田:で、CCCって難しい店に新入社員を送るんですよね。僕の場合は関西の難しい3店舗でしたけども、その3店舗の売上が僕が行ってから4-5倍になったんですよ。簡単に何をやったかというと、POSデータ見てどんな人が何を借りているかっていうのをとにかく分析したんです。

鎌田:ふむふむ。
 
西田:そうしたらすぐわかっちゃって。
で、当時TSUTAYAって千数百店舗あったんですけどその中で3店舗だけ、キッズコーナーが消えたっていうね(笑)
 
鎌田:大胆だ!
 
西田:本社からは、絶対にやっちゃいけないって言われてたことだったんですけど。限られたスペースだし、しかもDVDとVHS(鎌田メモ:VHSビデオパッケージって大きかったですもんね)が並存した頃で、お店がいっぱいいっぱいなんですよね。 
 
鎌田:ふーん。 
 
西田:で、任侠とアダルトを2倍にするぞ!って言って。アルバイトのみんなとひと晩で2倍にしたんですよ。そしたら売上が4-5倍になっちゃって、CCCの社長賞を頂いちゃいました。新人で、初めて。 

鎌田:おおー! 

西田:そのあとはTSUTAYAオンラインを立ち上げて、その後、モバイルに特化したサービス作ったらどうだろうかっていうのが1999年くらいですかね。ちょうどi-modeとか出てきたあたりで、勝手サイトを立ち上げてモバイル会員に集約して。 
 
鎌田:なるほど。
 
西田:そんなことをやってたら電通の局長がやってきて面白いやついるぞって。で、色々ご縁があって。電通は正社員の中途採用が2000年から始まったんですよ。その第一号。 
 
鎌田:へーーー。 
 
西田それから電通の中では肩身の狭いデジタル部門でずっと。 
 
鎌田(笑)ま、花形はやっぱり地上波。 
 
西田:地上波。 
 
鎌田:当然そうですよね。 
 
西田:そんな時代に電通がモバイル広告のメディアレップを作ったんですよ。 
 
鎌田:なんと!(笑)
 
西田:D2Cっていう。 
 
鎌田:存じてます。 
 
西田:その後、キャリアさんとモバイル広告専門のJVを作って、i-mode上の広告のレップ事業をやっていたんですが、電通の上司に「これから時代は中国だろう!ちょっと調べろ!」って言われて「チャイナ・モバイルの契約者数3億人います」って言ったら、「じゃあ行って来い」となりましたね。
 
鎌田:笑笑
 
西田:中国でも、キャリアレップとJVを作って、マーケティング事業をやれと。 
 
鎌田:結論は、中国で同じことできたんですか?
 
西田:出来なかったですね。 土管なんです。 
 
鎌田:ああーインフラビジネスなんですね。
 
西田:いろんなことやろうとしたんですけど、アプリケーションレイヤー、サービスレイヤーのテンセント、バイドゥ、アリババが強すぎて、最終的に土管ビジネスに徹するしかなかったんですよね。 
 
鎌田:なるほど。 
 
西田:ただ、中国企業といくつかJVを作って僕がDirectorになってまして、それがケイマンに作ったものですから、パナマ文書に載っちゃったりして。西田って誰だよ・・・みたいなこともあったりして、大騒ぎだったんですよ(笑)
 
鎌田:(笑)面白い! パナマ文書に名前載るのはなかなかですよ。 
西田さん、行って来いって言われてから、色々あって終わりましたって時まで、ずっと中国にいたんですか?
 
西田:いや、2回分けて行ってまして。1回目が2006年~2009年の3年間。2回目が2013年~2017年の3年間、ByteDanceに来る前ですね。
 
鎌田:へーーー。 
 
西田:2回目の時、中国電通グループのデジタル事業を統括するようになって、それくらいになると、本当にいろんな方々とお会いする機会を頂いて。

鎌田:なるほど。 
 
西田:そこでご縁があって、いまのByteDanceです。



-以下、対談vol.2(3月10日公開予定)に続く-




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