「脱SIer」じゃなく「拡SIer」じゃないのかな
今日も今日とて「SIerはダメだ」という話を見かける。私はSIerを名乗ったことはないし、アジャイルかぶれなので、職種名の定義にはあまり関心がない。定義したところで、名乗りたい人は好き勝手に名乗るだろうし、仕事がそこにあるだけなのだから全員で取り組めば良いではないか。(乱暴)
ただ、「SIerがダメだ」という話を聞くに、曰く「プログラミングをしない(=システム理解が浅い)」「かといってビジネスに詳しいわけでもない」だそうで、確かにそういう感じの場面には何度か遭遇したことがある。でも、多分そのSIerだかなんだか、という人の立ち位置は、BTCで言えば、ユーザとエンジニアの通訳役なんだと思う。図解してみた。「?」の位置だ。
でも、これだと、ユーザからは「ビジネスを理解していない」と言われるし、エンジニアからは「テクノロジーを理解していない」と言われる。非常に損な役回りだ。FF5で言えば赤魔道士みたいなもんだ、序盤はいいけど中盤に差し掛かると途端に役に立たなくなる。そこで、エンジニアになりがたる人が少なくないらしい。下の図だ。
分からなくもないけど、日本においてエンジニアは不遇な環境にあるので、『逃げ道』としてはあまりオススメしない。日本でエンジニアとして大成するのは、業務時間内にプログラミングして、業務時間後に休憩としてプログラミングする人たちである。わざわざそんな修羅の国に逃げ込まなくても、と私は思う。
さて、ユーザとエンジニアの板挟みになってしまうポジションだけど、その問題を解決する方法は、3つぐらいある。ひとつは「テクノロジーに詳しくなる」だ。
これなら、テクノロジー寄りの立場から、ユーザの話を聞くこともできる。開発会社のCTOだとこんな感じの人が多い気がする。組み込み関数の内部コードを見てゲラゲラ笑いつつ、決算報告書に目を通せる人だ。忘年会の席で「Pythonのprintって面白いですよ」と話しかけられた時、私はどういう顔でそれを聞けばいいんだ。
ふたつめは「ビジネスに詳しくなる」だ。
元SIerが事業会社に行って、落ち着いたポジションに収まるとこんな感じになる。しかし、落ち着きすぎて、テクノロジーの知識が五年前で止まってたりして、素人より厄介だなコリャ、ということもあるので気をつけろ!(何を)
最後のひとつは、「ビジネスにもテクノロジーにも詳しくなる」です。
テクノロジーにもビジネスにも関心があるために、どちらにも手を伸ばしてしまって、もうお前ひとりで起業できるやん、というパターン。実際、こうなるとSI会社の事業の枠に収まりにくいので、独立してコンサルタントとかやってたりする。
たぶん、SIerになる人が、本来目指したいところって最後のパターンなんじゃなかろうか。だとすると、脱SIerではなくて、SIerから拡張していく拡SIerであることが重要なんじゃなかろうか。
って思った。
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