見出し画像

「夢の溜まり場」をつくる。その4

 「夢の溜まり場」は、2021年5月頃から大曽根商店街に住み始め、半年間かけて作った自分的なこの街への関わり方のビジョンで打ち出したものだ。

 日本においては、住民参加型のアートプロジェクトによって街づくりや町おこしに取り組む例が多い(ex.越後妻有、瀬戸内、別府市;秋元(2019)「アート思考」参照)。
 しかし、大曽根商店街(オズモール)は、オズの魔法使いを主題としたモニュメントや石像が立ち並ぶ不思議な景観となっているが、行政主導の整備だっただけにストリートへの周辺住民の愛着は薄く、商店街の関係者の間でも「された感」と、その後の衰退の歴史から「外の人が来て色々やられたらぐちゃぐちゃになってたまらん」という閉塞感と、ヨソモノを寄せ付けない雰囲気が根強く残ってしまった。
 ナゴヤドーム周辺の商業施設や、近年の大曽根駅構内のリニューアル(ミュープラット)に伴う駅周辺の再開発による賑わいとは裏腹に、商店街はシャッターが目立つ。コロナ以前は日本一イベントが多い商店街とも呼ばれて、なんとか人を呼び込もうと「ジャズフェスタ」やマルシェ、朝市の運営等工夫を凝らしていたのだが、ほとんどが中止に。

 そんな現状を把握した上で、まず取り組んだのが、クリエイターズチャンネルだ。

 この企画自体の学術的な背景は以下の記事にまとめたので、ここでは触れない。

 まずは、僕らやクリエイターさんたちヨソモノが、商店街に入り込む隙間を作り出すことが必要だった。平日・休日問わず、人通りがめちゃめちゃ少ない商店街は、肖像権とかも気にしなくて良いので(そもそも人も車も映らない)、撮影にもってこいなのだ。しかも、背景として最適な建造物が広場を中心に多い(詳しくは、動画を見てください)。

 これがなかなか盛況で、半年間で4人の地元クリエイターさんを取材できた(現在編集中も含め)。クリエイターさん自身、自分のやっていることやこだわりを一日中聞いてくれるこの機会はテンションが上がるらしく、またご協力頂くお店の方々からも、PRになって良いというメリットがある。勿論、このような活動を受け入れて下さる寛容な雰囲気が、この商店街には醸成されてきていることは特筆すべきである。これまで多くのイベントを行う大きな器としてやってきた為、商店街の方々が「イベント慣れ」していることがありがたい。

 一方で、これから大切にしていきたいのは、イベントを単発で終わらせてしまうのではなく、何らかの形で次につながったり(研究や社会実験、人の繋がり等に生きる)、まちの風景をまちの人たちの手で作っていったり(ベンチや日常使いの創造物を置くこと)すること、そして一連の活動が、どこに向かうのかというビジョンを背景として動いていくことである。僕はその一つとして、「夢の溜まり場」を提案している。

 「好きなことをやりたい」「こんな自分になりたい」「こんなことに挑戦したい」と思ったとき(=小さくても、夢を抱いた時)、ここに来れば、実現できるかもしれない。例えば、動画撮影ができたり。そう思えるまちになったら良いなあと僕は思い、活動している。

 今日はこのくらいで、また次回。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?