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#就活体験記:日本語教師への道のり

また募集課題に沿って書いてみます。

仕事は「日本語教師」でこの記事を書くのにどの時点からの思い出語りをするか迷いましたが、きっかけから始めるとかなり長くなるのでとりあえず就活、すなわち大学時代に焦点を絞ります。

オーストラリアで教員になる場合、大学で「4年課程の教育学部」か「3年課程の学位プラス1~2年の教育学重点の教育学部」に分かれると思います。大学時代はかなり昔の話なのですが私の場合は後者で、まず3年課程の文学部学士の後、2年間の教育学部の勉強になりました。実際には教育学部に入学した時は前者の「4年課程教育学部」の3年生のクラスに編入したようなものでした。

教育学部に入学するという事は進路はほぼ皆「教師」、なので就活もほぼ同じです。まずは教育実習がとても重要になります。私の大学では1年目に6週間、そして2年目には8週間の教育実習がありました。この実習の評価(指導教員及び大学教員)が後々の就職に関わってくるのでここからが正念場。大学では自分が担当する専門教科の知識や教育法、そして児童と接する心理学などは学びましたが実際に現場に立って20名+の生徒の前で授業する実技は本を読むだけでは学べません。まずは指導教員の授業を参観し生徒をどのようにまとめているか、自分が持っている専門教科の知識をどのように教えると生徒が学ぶか。やはり現場の先生はその道のプロで学ぶことがたくさんありました。そして実際に自分が授業を担当する時には自分が教えたい授業内容やアイデアも試させてもらい、うまく行かなかった時にはアドバイスももらいました。

日本の教育学部については職場の協定校のケースしか分からないので比較はできませんが、オーストラリアでは教育実習の際に自己アピールも兼ねてボランティアなどを率先して行うことが多いです。もちろん出しゃばりで押しつけるような感じではなく「機会があれば実行する」「何が出来るか聞いてみる」など、積極的に学校生活に関わっていく姿勢は好印象を与えます。私は文学部時代から和太鼓グループで演奏をしており、2年目の教育実習で指導教員に「全校集会で和太鼓演奏出来ますか」と交渉し実行しました。この企画は好評を得、今までの教員生活でも生かすことが出来ました。

教育学部も終盤に差し掛かった時期に新卒教師としての就活で大切な手続きが行われます。それは各々の希望担当教科、任務先、勤務条件などを記入した書類を教育論文、大学および教育実習の評価と共に州の教育省に提出することです。この提出物を総合評価され、新学年度に勤務する公立校が通知されるといった流れです。基本的には新卒教師は地方に勤務することが多いです。
日本と違い(あくまでも私が住んでいる州、そして私の就活の際は)教員採用試験はありませんでした。先ほどの教育実習の成績が教師としての素質を示しており採用試験は行わないと思われます。

そんな私も評価を頂き、勤務先はどこになるかなあと残りの大学生活を送っているときに他方面から機会が飛び込みました。大学の最後の科目はOpen Option, すなわち自分で4週間をどのように勉強したいか大学を通して申請し実践するのです。ほとんどの人は教育実習をもう一回行うのですが「もし教員以外の就職も視野に入れている場合は、他方面での職場体験でもいい」と言われ、本当に自由でした。自分で行動を起こすことが大切だったのでしょう。

そんな中、私の中でやってみたかった事は「高校で教える事」。今までは小学校で実習をしましたが日本語教師になりたかったきっかけは自分が高校時代に日本語のクラスで授業を受け、友達の課題を助けてあげたりした事で、自分があの場に教師として立てるのか知りたかったのです。そこで「小学校、高校 (当時は小学校7年、高校5年と数えるのが主流でした)共に日本語を教えている私立で実習したい」と希望を出しました。

この私立が今の職場です。私の実習を見た当時の校長先生が「来年から小学校で教えない?」と仕事のオファーをもらいました。当時の指導教員は私がとても尊敬する同僚です。他の教員たちも、あの実習の時に見た「クラスをまとめ教えを伝授するプロたち」で語り合うことも多くとても恵まれた環境だと思います。

小学校と高校、両方教えてみてやっぱり自分は教科書を使って文法や単語をだらだら教える高校より、遊びながら学ぶ小学校の方が向いていました。
(実際、もう一か所私立高校の採用面接を受けましたが「五段活用をどのように教えますか」と質問を受け、ああ向いてないなと思いました)

実習中に「ピアノが好きなので教会で伴奏弾きたいです」と申し出、それ以来ずっと学校での音楽活動に携わっています。トロンボーンでジャズバンドやミュージカルに参加したり、授業で和太鼓を教えたり。本来の仕事ではないけど好きなことを生かす機会があれば積極的に実行してきました。

好きな事といえば、ゲーム好きのPCいじりが高じて情報技術の教師を務めた事もあります。

今年で勤務23年目。今の職場に就くための就活はずばり「教育実習」でした。正直、大学で一番学ぶことがあり役に立ったことだと思います。採用試験の学力ではなく、実習で教師としての振る舞いを評価してもらう事。そして自分の好きなことを仕事に取り入れたり新しい機会を作り出す率先力を出すことも大事だと思います。

#就活体験記

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