セークレード・ゲームス 3

私は、1980年代の西日本で、小学校〜高校までの12年間、公立の学校で教育を受けた。当時の時代背景、地域事情等々の関係により、かなり勢いの良い「左巻き」の教育を受けていた。控えめに言って、強力な反戦思想を刷り込まれていたと思う。正直、詳細をここに記すことも憚られる。が、かけ算九九とか、漢字の書き順とか、微分積分とかを教える教師の言う事を、どうして田舎の子どもが疑うことができようか。

高校卒業後、東京の大学で日本全国の様々な教育を受けてきた人たちと合流した。中には、これまた書くのも憚られる「右巻き」の教育を受けてきた人も少なくなかった。どちらかというとそちらの方が多かったかな。その人たちの話を聞いて、心の底から驚愕した。そして、教育って重要なんだわ、と、つくづく感じた。

さて、いま、私がヒンディー語を学んでいるKHSは、政府系の学校なわけで、現政権の状況ともあいまって、当然ながらキリキリと右に巻かれている。それは使用するテキストだったり、講師の発言だったり、スタッフのメンツだったり、随所でひしひしと感じる。留学生として生殺与奪を握られているので、何らかの異を唱える気は毛頭ない。むしろ、課題が課されるたびに「美しきインドとヒンディー語バンザイ」なエッセイを書いて提出している。

が、物事は多角的に学びたいものだ。いま精読を進めている小説『セークレード・ゲームス』は、ムンバイを舞台に、警察、政治、犯罪、宗教の闇が描かれている。言葉の端々に、文章の行間に、インドの抱える社会問題がにじみ出ている。KHSでは決して学ぶことができない内容だ。すでに留学期間も半分終わり、出遅れてしまったけれど、得られるものは可能な限り吸収したい。

というわけで、今回勉強できたこと。

・ 警察の窓口の聞き取り帳簿(?)は2種類あり、赤が犯罪用、緑がそれ以外。
・ 死亡時は犯罪性がないことを警察が証明する NOC(No Objection Certificate)が必要。
・ デリーの公共サービスはMCD(Municipal Cooperation of Delhi)が行っているが、ムンバイはBMC(Brihanmumbai Municipal Coorporation)が担っている。なお、BMCの旧名称はBritish Municipal Coorporation。略称BMCを活かしたらしい。
・ 英語で言うところの「時制の一致」はヒンディー語では発生しない。ので、ヒン→英訳時は要注意。
・ मजबूर は compelled で英訳するとうまくいく。

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