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言葉の編み物

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ショートショート、散文詩のまとめ
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今を生きるあなたの光

埋まらない  埋まることはない (埋まるといいな) 語らない 語ることはない (語れるといいな) 開けられない 開けることはない (開いたらいいな) 話さない 話すことはない (話せたらいいな) 会えない 会うことはない (会えたらいいな) 知らない 知ることはない (知れたらいいな) でも それでも 大切な人 今日がダメでも 明日もダメでも 明後日もダメでも 明々後日もダメでも 生きている もう笑えない? 笑えない (笑ってるよ)

涙の違いとあなたの裏側

「ねぇ 人の涙ってキレイだね」 「この子の涙は とてもキレイ」 テレビの中の女の子の涙を見て、あなたはそう言った。 ドラマの内容に興味があるわけではなく、その女の子の涙に惹かれて、その子を目で追うようにドラマを見ているようだった。 ーーー あなたは何を思って、その子を見ているんだろう。 どうやら、涙には違いがあるようだ。 私には感じ取ることができないのが、少し悲しい。 こういうことがある度に、あなたを遠く感じてしまう。 隣にいても、あなたの心はどこか遠くにいるようで。

ただ 君の門出を祝えることが何よりも幸せ

私の人生の中に、あなたが居た時間は少ない。 私の人生の中で、あなたと居た時間は少ない。 それでも、確かにあなたは居た。 あの日、確かにあなたと居た。 あなたの晴れ舞台は、ぜったい晴れの日で。 そう願った。 とても綺麗な青空で。 何の憂いもなく。 ただ 君の門出を祝えることが何よりも幸せ

13月の濃い _ _ _ .

気づいたら、迷い込んでしまった。 13月。 13月だって? 何それ? そう思うよね? でも、13月だということが分かる。 それだけは、はっきりと分かる。 だって、12月よりも濃いもの。 _ _ _ の濃さが違う。 それに、1月よりは高いもの。 _ _ _ の高さが違う。 進めばいいのだろうか。 戻ればいいのだろうか。 自分の座標が分からない。 目的地は分かるのに。 そもそも、この13月はいつだろう? いつの13月なんだろう? そうだ。 _ _

光学迷彩少女

その少女の価値を0にしたのは 他でもない私 否 既に商品価値も 存在価値も無かったことを 他の誰よりも認識してたのは 私だ 過去の時の中を生きる 幻影少女 光学迷彩を纏っているような佇まいで 夜に紛れて消えてしまう 少女を捉えることができる時間は 数時間にも満たない 誰も少女を捕らえることはできない 少女が生きる世は まさに動乱の渦中 落下傘 あなた目掛けて飛び降りる 夜空 ふらっと現れては消えていく 少女は序章に過ぎない 時に人生の終盤  晩秋に

Any

anytime anywhere anyone anymore anything anyplace anyway anywise I am me. So don't cry. Because you'll live.

降水確率 70%

てん てん とん とん とん とん しゃら しゃら しゃん ぱん ぱん ぱん てん てん てん たん たん とん しゃん しゃん しゃん あらら あら あら 雫が一つ ぽつ ぽつ ぽつ これで おしまい? 嘘? はじまり? てん てん とん とん とん とん ざあ ざあ ざあ ざあ ざあ ざあ ざあ ざあ ざあ 明日 天気になぁれ

正 生

今日を生きる 狂気が 明日の生きる糧となる 明日を生きる 狂気がまた生となる 生 と 正 位置が少し変われば 生 は 正 となる 正 は 生 となる 正しさとは何か 生きるとは何か ようやく見つけた 正 を 一つ 一つ 足元から外して 最後の 一 を止める それが 正 の再構築 頭から 一つ 一つ 抜き取る 生 正 を 生 へ 変換 生 を 正 へ 変換 その中を生きるは  人もどき

押してみたい

座っているあなたを上から覗き込み つむじを押してみたい 腕を伸ばす時にできる 肘のくぼみを押してみたい 片方の空いている手の真ん中を ふにふにと押してみたい 頬杖をつくあなたの横顔を眺めながら 顎から首筋へと指でなぞり 喉仏を押してみたい そして そのまま下へと下がっていき 鎖骨のくぼみを押してみたい 寝転がるあなたの背中に乗り 背骨の節を一つ一つ 押してみたい それらと同じくらい 肘の内側や 膝の裏側で 指を挟んでみたい 骨と肉の使い方

目覚めたら

大嫌いだ。 そういうところが大嫌いだ。 うんざりだ。 そういうところがうんざりだ。 もうたくさん。 もう疲れた。 自分にも。 何もかも。 後味の悪い夢の中で、さようなら。

人もどき されど生

人の形を模して 人の振りをして 人の真似をして生きる 分かる人には分かる 小さな違い 大きな違い

君と僕

僕は君を想ふ 君を想ふは僕 僕を想ふは君 それが僕と君 それが君と僕 僕から見る君 君から見る僕 二つだけ 一つだけ

スポットライト

そう これは あなたに告げることば 深海に降る雪のように 真っ暗闇に はらはらと落ちて 白い紙吹雪がたまって 積もっていく いつだったか いつからだったか 静かに 自重でゆらゆらと落ちて 深い深い底に溜まっていった 最初のひとひら あの日から スポットライトを浴びて ひらひらと舞い踊る言葉たち 言葉のあわ玉 光の乱反射で いっとうかがやく 役割を終え ゆらりゆらりと 弧を描き 螺旋に吸い込まれる またひとつ 舞い上がっては 底へと

予感が確信に変わる瞬間

頭に浮かぶ言葉たち わたしではない誰かの言葉 その存在に教えられるように 伝えるように求められて 操られるように文字を打つ そうすることが必然のようで当然だと はじめは何も分からなかった 何も認識していなかった 裏側では既に始まっていた 少し前から動き出していた こうして始まった物語 わたしとあなたの軌跡 ひとつ綴れば また言葉が湧いてくる それをわたしの外側へ吐き出す日々 まだ涙は止まらない 自分かどうかも分からない ただ日常は続く 何のために なぜ 自