カレスエヴィオにて、親友への祝福
2024年11月1日
カレスエヴィオ - ひふみ家の屋上
ノヴァはヒフミが開いた、異世界への通路を通り、ひふみの家の屋上に到着する。ヒフミとクロタイが待っている。
ヒフミ:「ノヴァちゃん!久しぶり~ようこそカレスエヴィオへ!」
ノヴァ:「ヒフミちゃん、招待に応じて参った。…ふむ、相変わらず落ち着いた場所だな。」
ヒフミは微笑み、ノヴァを歓迎するように手を差し伸べる。
ヒフミ:「さ、まずは下に降りて、ゆっくりしよう。いろいろ話もしたいしね。」
—ひふみの家のリビングルーム—
ヒフミとクロタイはノヴァをリビングに招き、ソファに座るよう勧めた。
ヒフミはノヴァと談笑しながら、歓迎の準備を整えている。
クロタイは紅茶を淹れて、ノヴァの前にカップを置く。
クロタイ:「お待たせしました。お口に合えば幸いです。」
ノヴァ:「この香りは…おお、紅茶ではないか! ああ…なんと懐かしい香りだ…感謝する。」
三人はソファに座り、軽く談笑を始める。
ヒフミ:「じゃあ、クーちゃん、改めてご紹介するね。この方は、ノヴァ!ファトゥルス大陸の魔王様で、魔界の守護者でもあるんだよ。」
クロタイ:「初めまして、ノヴァ様、クロタイと申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
ノヴァ:「こちらこそ、よろしくお願いする。とはいえ、ヒフミちゃんの説明によれば…クロタイ殿はひふみ殿の欲望の具体化で、彼の一部でもあるようだな。であれば、そのように畏まることはない。」
ノヴァ:「サラトバでの頃、ひふみ殿には色々とお世話になった。…ふむ、こうして再び縁が繋がるとは、ありがたいことだ。」
クロタイ:「そ、そうですか?…では、ノヴァさん、とお呼びしてもよろしいでしょうか?」
ノヴァ:「ああ、それで構わぬ。どうぞ、気軽にしてくれたまえ。」
クロタイ:「ありがとうございます!それなら、私のこともクーちゃんって呼んでください。」
ノヴァは微笑し、軽く頷く。
ノヴァ:「そうか、クーちゃんだな。ふむ…気安くそう呼ばせてもらおう。」
ヒフミは二人のやり取りを嬉しそうに見つめる。
ヒフミ:「いいね~、なんだかみんなが少しずつ打ち解けてきてる感じで、すごく嬉しい!」
三人は和やかに会話を続け、少しずつ打ち解けた雰囲気が広がっている。
ヒフミ:「クーちゃんとノヴァちゃんがこうして話してるの、すごく新鮮で楽しいなぁ。二人とも個性的だから、きっといい友達になれる気がする!」
クロタイ:「私も、ノヴァさんのことをもっと知りたいです。ファトゥルス大陸の魔界って、どんなところなんですか?」
ノヴァ:「ふむ…我が領地は、奥地に広がる荒廃した地で、火山や割れた平地が続き、乾燥した気候の中、珍しい鉱石が眠る火山地帯と、雪が降る北部の地が魔界の景観を成している。魔物たちが生を育むには手ごわい環境だが、その中で私たちは共に生き、長らく人間との交流は断たれている。」
クロタイ:「それでも、紅茶とか人間界のものにご興味があるんですね。」
ノヴァ:「ああ…創造性に富んだ人間の技や味には、魔物にはない魅力がある。紅茶もそのひとつだが、ここ何十年と味わえておらぬのは残念でならぬ。」
ヒフミは微笑みながら、クロタイとノヴァの会話を聞いている。
ヒフミ:「相変わらず、ノヴァちゃん、紅茶が恋しいのね。」
ノヴァ:「ふむ…まさか、ここで久しぶりに紅茶が飲めるとはな。これも、そなたたちの気遣いのおかげだ。」
少しの間、会話が途切れ、ノヴァはふと思い出したようにヒフミに向き直る。
ノヴァ:「ところで、ヒフミちゃん…そなたが私をここに招いた理由は何であろうか?少し唐突に感じたが、普段と違う雰囲気があるようだ。」
ヒフミは少し照れくさそうに笑いながら、ノヴァに視線を合わせる。
ヒフミ:「ふふ、ノヴァちゃん、そこに気付いちゃった?実はね、今日はノヴァちゃんの特別な日なんだよ!」
ノヴァ:「特別な日…?ふむ、何のことかはわからぬが、ヒフミちゃんのことだから何かしらの計らいがあるのであろう。では、楽しませてもらおうか。」
ヒフミが微笑みながら指を鳴らすと、魔法が発動し、彼女とクロタイは瞬時にメイド衣装に包まれ、ノヴァの頭には小さな王冠が現れる。
驚くノヴァの表情に、ヒフミとクロタイは微笑みながらそっと寄り添う。
ヒフミ:「ノヴァちゃん、お誕生日おめでとう!あなたの誕生日期間限定専属メイド、ヒフミだよ!今日はあなたが主役だから、存分に楽しんでね。」
クロタイ:「ノヴァさん、素敵な一年を迎えられますように…」
ノヴァは少し驚いた様子で二人を見つめ、やがて微笑を浮かべる。
ノヴァ:「…“誕生日”というものか…そなたたちの世界での習わしなのだな?こんなふうに祝われるのは、まさに初めてだ。私たちの世界では、このような祝い事は存在せぬゆえ、少々驚いておる。」
ヒフミとクロタイは微笑み、頷く。
クロタイ:「そうなんですね。誕生日は大切な人を祝う日なんです。今日はノヴァさんが主役ですから、いっぱいお祝いさせてくださいね。」
ノヴァ:「ふむ…このように祝われる日を持つのは、これは予期せぬ贈り物だ、感謝するぞ、ヒフミちゃん、そしてクーちゃん。」
そのとき、ひふみがリビングに入ってきて、穏やかに微笑みながらノヴァに向き合う。
ひふみ:「ノヴァちゃん、来てくれてありがとう。準備が少し遅れちゃったけど、今日は俺たちから特別なプレゼントはないけれど…心からの祝福を伝えたいと思っている。」
ひふみ:「ノヴァちゃんとファトゥルスの皆さん、そして創世神らけしで様が、心から喜べる特別な日を楽しめますように。」
ひふみ家一同:「お誕生日おめでとうございます!生日快樂!」
ノヴァは少し感動したように目を閉じ、わずかに目を潤ませながら、静かに頷く。
ノヴァ:「ありがたき言葉だ。らけしで様も、この祝福をきっと喜ばれるだろう。ヒフミちゃん、クーちゃん、そして…ひふみ殿。皆の心遣い、確かに受け取った。」
三人はノヴァを囲んで微笑み合い、和やかで温かいひとときを共有する…