【フリー台本】すれ違ってはじまる私達

はじめに

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台本注釈

動作や仕草の表現、音の効果、会話相手の返答などは下記のように記載。
【動作、仕草の表現】
　//(カモミールティーの袋を見せる)
【SE音】
　//SE袋の音
【会話相手の返答】
　//『ごめんなさい。もう閉店ですか？』

あらすじ

本と美味しい飲み物と食べ物が好きな沙耶香。
コーヒーが好きで店員の沙耶香に恋をする貴方。
毎日、多くの本好きたちが訪れ、読書や仕事を楽しむカフェを舞台にした、すれ違いラブストーリー。

//ここから本文

//SEドアベル付きクローズ音

いらっしゃいませ。
あら？今日は少し遅い来店ですね

//『ごめんなさい。もう閉店ですか？』

うふふ、お時間なら大丈夫です。
それよりも……今日は少し元気が無いですね……何かありましたか？

//『朝、落ち込む出来事があって。それが気になって……』

そうだったんですか……それは大変でしたね。
あ！　今日は特別にハーブティーにしましょう！
調度、今日、入荷したんです。

// (カモミールティーの袋を見せる)
//SE　袋の音

//『お姉さんのお勧めなら、是非お願いします』

はい、では、少々お待ち下さい

//『あ、あのっ！』

はい？　どうしました？

//『えっと……お姉さん、朝に男性から……こ、告白……をされ……』

あ……もしかして、お客さま……誰かに告白されたんですか？
あれ？　違いますか？　
可愛い方なので告白を沢山されるだろうなって、思ってたんです。

//『それは、お姉さんの方です！！！』

//（勢いよく立ち上がったので水がこぼれる　）
//（SE　水がテーブルに溢れる音）又は（SE　ガラスカップがテーブルに転がる音）

大丈夫ですか！？　少しお待ちくださいね。　拭くものを持ってきます。
お待たせしました……。はい、ではこちらのタオルをどうぞ。

//『ありがとうございます』

いえいえ、少し気持ち……落ちつけてくださいね。
では、ハーブティーを入れてきます。とてもいい香りなんですよ。

//『はい、楽しみです
//　……告白されていたのは、お姉さんのほうなんだけど』

お待たせしました。どうぞ。

//『あ、温かい……ほっとする。
お姉さんの恋人さんはいつでも美味しいものが飲めて羨ましい』

え？　恋人ですか？　私……恋人はいませんけど？
あら？

//『居ないんですか？恋人？』

はい。いません。

//『じゃあ！　朝！　告白されてたのは？！！！』

朝の会話……？
ああ……見てたんですか？　
多分ですけど……最後まで話をちゃんと聞いてないですよね？

//『盗み聞きは良くないと思って……』

うふふ、実は朝のお話は……私の事では無いんです
私……姉がいるのです。
それで、私の姉へ告白したい方がたまに……いらっしゃって……本人に伝えて欲しいって
間接的な告白を私にしていくんです。

//『じゃあ人違い……ということ……？』

はい。
なので、貴女が告白されたと思った方……私がお目当て、ではありません。
た、ただ……恋人はいませんけど……片想いの相手なら……います……よ？

//『お姉さん……優しいし、綺麗だし……そ、うですか』

……いつも気になってたんですけども
その……「お姉さん」って呼び方……やめてもらえませんか？

//『名前で呼ぶのは馴れ馴れしいかと思っていました）

違うんです。
そうでは無いです！
お姉さんじゃなくて……本当の私自信の名前で呼んで貰えたら、嬉しいんです。

//『えっ……と、沙耶香さん』

ふふっ、はい、何ですか？
嬉しい。名前で呼ばれるの……憧れだったんです。

私の好きな方は……名前で呼んでくれない人なんです。
なので、貴女に名前で呼んで貰えて、凄く嬉しくて……！

//『良かった……です……ね！？』

その人、凄く優しいんです。
毎日、何時間でも私の好きな本の話を聞いてくれるんです。
でも……私が沢山アプローチしても全然気がついてくれないから……
優しいけど、酷い人なんですっ！

//『もしかしなくても私のことを言ってますよね、すみません』

今までは……気がついてくれなかったけど、今日は気がついてくれました！
名前も呼んでくれました(声が弾む)
……それで、あの……ね？

//『は、はい！？』

あの……そのっ！わ、わた……し……貴女に告白しているのですっ！
お返事を、いただけると……その……嬉しいなって……(顔を赤くしてうつむく)

//『沙耶香さんの恋人になりたいです！』

あ、ありがとうございます！

//（嬉しくて抱きつく）
//（SE　抱きつく音）

すみません……私……勢いで……今、離れま──（抱きしめられて言葉が止まる）

//『沙耶香さんが好きです』

私も……

（そっと目を閉じる）
（キスをされて、頬を撫でられる）

なんだか、凄く、恥ずかしい。

//『あ、沙耶香さん……私の事も名前で呼んで下さい』

え……わ、私もですか？

//『沙耶香さん、私の事ちゃんと名前で呼んでくれてないです』

そうですよね、えっと……どう、しましょう……

//『名前は……ゆっくり呼んでもらいます……っんう……口、少し開けて、沙耶香』

(さり気なく呼び捨てにされる)

ん……ふぁ……（キスに応えようと、舌を絡ませる）ふっ……うぅ……ちゅぅ

//『はっはぁ……沙耶香、お店……閉店しちゃ駄目かな？』

あ……は、はい。　もう、閉店に近い時間ですし……平気です。
沢山……キス……私も……したぃです。

//『可愛い沙耶香。これからよろしく』

はい、こちらこそ……よろしくお願い致します
……はふっ……ちゅっ！（キス音）