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Member’s essay 野澤爽子 「妄想旅① 聖地とさわやかハンバーグ」

一日の大半をおウチで過ごすようになって、まもなく3ヶ月が経とうとしています。
スーパーで買い物したり、天気の良い日は近所の公園を散歩して小一時間ほどボーっとしたり。小さな気分転換を繰り返しながら自粛生活に慣れてゆく術も少しは身に付いてきたのかもしれません。それでもやっぱり、慣れることに慣れてしまうのは寂しい…
お久しぶりの方も、はじめましての方も、こんにちわ!少しずつでも試行錯誤していこうと思っております野澤です。

そこで、このエッセイでは「自粛」と対局にある“わたしが今したいこと”を「妄想」の力を借りて試してみることにしました。
オンライン上ではちょくちょく顔は合わせてはいるものの、長い間会えていないKAKUTAのみんなともこの方法ならばと…
題して、KAKUTA劇団員と行く妄想旅!

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はい。そのお気持ち、わかります。
私も自分で投げたブーメランが己をめがけて飛んできております。
ヤ・バ・イ・ヨ・ネ
でも今は、妄想の中でも旅するワクワクに浸りたい!
好きな時に好きな場所へ好きなひとたちと、もちろん一人でも。
気兼ねなくどこへでも出かけていける日が一日も早く戻ってくることを願いながら、綴ってみようと思います。

最初の妄想旅に一緒に出かけてくれるのは、揃った時のボケとツッコミのバランスがいつも絶妙で惚れ惚れするおふたりです。

それでは、はじまりますー!

= = = = = = = = = = = =

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■行き先
静岡県静岡市
静岡県中部に位置する政令指定都市で、県庁所在地。古くは「駿府」とも呼ばれた。
(Wikipediaより)

■目的地 
サウナ しきじ
炭火焼レストランさわやか 新静岡セノバ店

■移動手段
高速バス/関東・京王・東海・静鉄バス
(バスタ新宿駅〜静岡駅)
静岡市営バス/静鉄バス
(静岡駅〜登呂コープタウン入口)

■旅の予算
9000円ほど
往復の高速バス・市営バス・サウナ・食事・お土産

■同行者
若狭勝也/若ちゃん
異儀田夏葉/イギー

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サウナ初心者の野澤が、それぞれ銭湯・サウナ通である若狭くんと異儀田さんを誘いサウナーの聖地を目指す。サウナの後には静岡県民が熱愛する炭火焼レストラン『さわやか』のハンバーグを。
静岡が生んだふたつの魅惑スポットを満喫する至福の日帰り妄想旅 ー。

静岡へ

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新宿から高速バスで3時間半。
静岡駅に着く頃にはお昼近くなっていた。
道中、休憩で立ち寄ったパーキングエリアの軽食で腹ごしらえを済ませていた私たち3人は、ランチタイムで賑わう駅前の飲食店には目もくれず、すぐさま登呂コープタウン行きのバス乗り場を探して南口側のバスロータリーへ向かった。

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なんでも、この登呂コープタウンの「登呂」とは登呂遺跡のことらしい。
変わった名前の行き先だったので少し調べてみたらば昔、学校の授業で習ったあの弥生時代の遺跡が駅から市営バスで10分ほどの住宅街の中にあるとわかって驚いた。

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団地や普通の民家とのギャップが味わい深い。
今回は時間の関係で寄り道できないけれど、次また静岡に来る機会があったらぜひ立ち寄ってみたいと思う。

サウナーの聖地

そんな登呂遺跡から少し先に行ったところに、今回の旅の目的地「しきじ」はある。

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サウナー(サウナ愛好家のひと)たちから聖地と呼ばれているその場所は、100℃超えの高温フィンランド式サウナ何種類もの漢方をブレンドした薬草サウナと呼ばれる韓国式サウナ、ふたつのサウナが完備されている。
これだけでもポテンシャルの高さが伺えるが、しきじを聖地たらしめている理由は「水」にあるそうだ。

「ぜんぶに地下から汲み上げた天然の湧き水使ってるんだって!」

ご実家が元お風呂屋さんで幼少期から浴場文化にふれながら育った銭湯サラブレッドの若ちゃんが、バスを待っている間、出発前にリサーチしていたというGoogleマップのストリートビュー写真の様子を交えながら興奮気味に教えてくれた。

「最高。水風呂めちゃくちゃ楽しみだねー!」

イギーもすかさず後に続く。
今ではサウナで待ち合わせをする友達もいるほどサウナ好きのイギーが、サウナにハマるきっかけになったというこの“水風呂体験”をするのが私も楽しみで仕方がない。

サウナ=熱い
水風呂=冷たい

それぞれを交互に行き来する温冷交代浴。
効果や推奨される理由はいろいろとあるようだけれど、髪と全身を洗い、湯に浸かり、サウナで蒸され、たっぷり汗をかいて温まった身体で冷たい天然水の中にダイブする…
これだけ想像しただけでもとろけそうだ。

そうこうしているうちに、やってきたバスに乗り込んだ私たちはほどなくして、しきじに到着した。

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「ウェイウェーイ!」

ガッツポーズをしてみせるイギーがかわいい。
貫禄ある店構えにたまらずはしゃぐ。
ついに私たちは、静岡が生んだサウナの聖地にやってきた。

芸能人やサウナ好きの著名人のサインが賑やかに飾られた入り口を入ると、すぐに番台があり券売機で購入したチケットと交換でビニールできれいにパッキングされたタオルを受け取る。
はやる気持ちを抑えながら私とイギーは女湯へ。

「じゃあまた後ほど〜」

男湯の暖簾をくぐっていく若ちゃんの背中にも高揚の色が浮かんでいた。

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さわやかハンバーグ

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「おまたせしました!」

牛を模した極厚の鉄板の上でジュウジュウと音を立てながら目の前に運ばれてきたハンバーグ。まんまるのげんこつほどの大きさの塊から獰猛に湯気が立ち上る様にペコペコに空きに空いたお腹が待ってましたっ!とばかりにグーグー鳴った。
若ちゃんはステーキとの満腹セット。イギーは私と一緒に散々迷ってチーズトッピングにオニオンとデミグラスのダブルソースのハンバーグを注文していた。
今、私たちがいるのは静岡県内のみでチェーン展開をしている炭火焼レストラン『さわやか』の新静岡セノバ店。
しきじを満喫した後に食べに行こうと決めていたのだ。
保存料を使わず肉の鮮度を保った状態で味わってほしいというのが県外への出店をしていない理由だそうで、その熱い心意気と静岡でしか食べることができない限定感とが相まってファンになるひとが多いと聞く。
私たちもとびきり美味しそうな有様に早くも胃袋を掴まれてしまった。

「乾杯ー!!」

先にテーブルに運ばれてきていたジョッキを手に取り、あらためて冷えたビールで喉を潤す。
ゴクゴクと五臓六腑に染み渡っていくのを感じながら、しきじの水風呂のことを思い出していた。

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サウナでたっぷり温まった身体をザブンと浸した瞬間、芯からズサーーーッと刺激が走ったあとふわりと羽衣に包まれるような感覚が降りてきた。

み、水が…とてつもなく柔らかい…!!!

これが静岡の天然水の力なのか…
サウナ通のイギーも今まで入ったどの水風呂とも違うとのこと。アンビリーバボーな体験にふたりして目を丸くしているとだんだん可笑しみがこみ上げてきた。

「やばいね。これ。」

あまりに気持ちが良いとどこかのネジが緩んで人は笑ってしまうのかもしれない。浴場のタイルに跳ね返った私らの笑い声がしばらくぼわぼわと響いていた。

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ととのいました

さわやかでの食事を終えて、静岡駅まで戻ってきた私たちは高速バスの出発まで駅ナカのキヨスクをブラブラしながら時間を潰していた。

定番のうなぎパイや真っ黒なお出汁が特徴の静岡おでん、名物・名産が種類豊富に並んでいる店内で満腹のままボヤーとお土産を選んでいると、トロンとした口ぶりの若ちゃんに声をかけられた。

「そうちゃんもととのいましたか。」

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「え、ねずっち?!」

若ちゃんのボケ…なのか?かつて流行語にもノミネートされたあの「整いました!」からきてるとすると、なぞかけ?いや大喜利…??もしかしてぼーとしてていつの間にかお題を聞き逃しちゃってた?!突然のことに混乱していると、イギーが笑いながらツッコんでくれた。

「大丈夫。そうちゃんが一番ととのってた気がする。」

どうやらふたりはサウナの話をしているらしい。先ほどのしきじでのアンビリーバボーな体験と関係しているのだろうか。あのふわりと羽衣が降りてきた、身体の中の血流がグルグル駆け巡るような心地良さ…

そうか、ねずっちじゃないのか。ボケていたのは私の方だった。若ちゃんも笑っている。

「ととのうっていうのはね…」

奥深いサウナの世界。このつづきは帰りながら教えてもらおう。私たちはそれぞれお土産を買い込み、東京へ戻るバスへと乗り込んだ。

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