マガジン

  • 歌詞

  • 小説

最近の記事

夜明けの猫より大切なもの

 今夜もあやつは帰ってこないのだろう。取引先との飲み会だの何だので、二軒三軒ハシゴして、始発ならまだ良い方だ。最近は飲みに出るともっぱら外泊で、翌日の服はユニクロで調達。二十七の男がそれで良いのか、と呆れる。  私はといえば、茹でた枝豆に塩を振りながら、昔だったら涙で味付けをしたなと思っていた。交際七年目ともなると、彼氏の不在も怖くない。こんなときはひとり晩酌をして、都心のどこかから来たり来なかったりする連絡を、都内の隅っこで確認したりしなかったり。若い頃は携帯にかじりつい

    夜明けの猫より大切なもの

      マガジン

      • 歌詞
        7本
      • 1本
      • 小説
        2本