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大空の戦士たち(8)ルフトヴァッフェ篇vol.1【小説】

【登場人物】

⭐︎コバ・フォン・ハインツ(29歳): ドイツ士官学校を主席で卒業し、ルフトバッフェを志願した秀才。理論派でありながら、実戦での経験を活かし、空軍での出世を目指している。

⭐︎シンジ・ヘルマン・コンラート(26歳): ユンカーの家系に生まれた土地貴族。伝統と階級を重んじ、自身の努力で登り詰めた者に対して異常な敵意を持つ。表向きは友好的だが、心の奥底には嫉妬と野心が渦巻いている。

⭐︎クリスティーナ: シンジの恋人で、海運会社の令嬢。華やかな社交界での地位を誇り、シンジの成功を支える。



「今日も精が出るな、コバ。君のその勤勉さには脱帽だよ。…まるで休むことを知らない機械みたいだな。」

シンジは部屋の隅から、優雅にワインを揺らしながら言った。

コバは書類に目を落としたまま、ペンを止めずに、意に介さない様子で答える。

「あぁ、来週までに司令部に提出する書類を仕上げたいんだ。ルフトヴァッフェの改革案、特にメッサーシュミットの性能改善を早急に提言するつもりでね。」

「さすがだな。君のような秀才がいるから、僕たちも安心してルフトヴァッフェを任せられるよ。」

シンジは、軽く指でグラスの縁をなぞりながら、微笑を浮かべた。

「将来のことは分からないさ。僕は今、やるべきことをやっているだけだ。」


シンジは微笑を浮かべて、ゆっくりとコバに歩み寄り肩に軽く手を置いた。

「それにしても、君は仕事熱心すぎるな。今夜、父がパーティーを主催するんだ。僕たちの新しい提携先との会合さ。君にもぜひ来てもらいたいな。」

コバは一瞬だけ顔を上げ、考えるように眉をひそめた。

「ありがとう、シンジ。書類を仕上げたら向かうよ。少し遅れるが、それでもいいか?」

「もちろんだ。君らしいな、コバ…楽しみにしているよ。」

パーティーにあまり気の進まないコバであったが、再び書類に集中することで、その感覚を追いやろうとした。



シンジの父が主催するパーティーが開かれていた。

彼は湾口を管理することによって財をなし、今日はドイツ軍と関係の深い海運会社とのパーティーだった。

豪華なシャンデリアが照らす会場には、高貴な服装を身に纏った紳士淑女たちが談笑していた。


シンジはその一角に立ち、パーティーを一望しながら、ワインを一口含んでいた。

彼の視線はある一人の女性に注がれていた。

その女性の名は、クリスティーナ。海運会社の令嬢で、シンジの現在の恋人だ。

彼女は華やかなドレスに身を包み、周囲の男性たちの視線を集めていた。


「シンジ、こちらに来て。新しい提携先を紹介するわ。」

クリスティーナは笑顔で手を振り、シンジを呼び寄せた。

シンジは微笑んで応じ、彼女の元へと向かう。

続く

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