悲しみは私だけに

眩しい光に誘われて
窓をいっぱい開けると
庭に咲くアジサイは
淡い薄紫の顔で
私におはようとでも
言ってくれているのかしら
夕べの雨は埃だらけの街を
すっかり洗い流して行ってくれた
街の埃ならたった一晩で
流してしまうけど

どんな土砂降りの雨でも 私の悲しみまで 流して行ってはくれない
どんな土砂降りの雨でも 私の悲しみまで 流して行ってはくれない

あの人が架けた
パネル時計は今朝もいつもと
変わる事もなく
動き続けているわ
あの人が私にくれた
時は今も続いてるけれど
幸せなんてそう長くは
続かないものだって
あの人はあの人は
いつかそう言っていた
他人事のように訳もなく
聞き流した言葉が

こんなにも早く
思い出されるなんて
夢ならば早く覚めてほしい
ただ泣いて泣きぬれて
眠れぬ夜を送っても
時計は逆さには回らない

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