旅愁

朝日の登らない朝を抜けて
記者を降りた街
空は暗く鉛の色
風は激しく海を越え
閉ざした心を開きあい
温め合えるのはいつの日か
街はひっそり春を待つ
私に春はいつ訪れる

夕日の沈まない夕べを超えて
一人訪れた街
岬の道ははや雪混じり
雲は低く重く垂れこめて
凍えた身体を抱きしめて
温め合えるのはいつの日か
風は遥かな沖を渡る
私の旅はいつ終わる

時のはざまに残されたように
あてもなくさまよう街
風は強く吹き付けて
防いでくれる人の姿もなく
おんなじ痛みを分け合って
温め合えるのはいつの日か
波はちぎれて泣き叫ぶ
私の叫びはいつ届く
私の叫びはいつ届く

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