こんみ

えいがをつくりたくて、生きてる人です。先日映画と結婚しました。ここには脚本や小説をのせ…

こんみ

えいがをつくりたくて、生きてる人です。先日映画と結婚しました。ここには脚本や小説をのせてます

最近の記事

Wikiに載らない歴史

この世のたいていの歴史は、ウィキペディアから学ぶことができる。 キューバ危機だって三島事件だってウィキペディアから教わった。これがまた下手な小説より面白い読み物だから、事実は小説よりも奇なりなんてよく言ったものである。 でも、でもさ。 ウィキペディアが事実だけを載せているだなんて、誰が言ったのだろう。だって現に、そこに載っている彼の記述はほとんどでたらめなのだから。 ・ 「ねえ、芸能界を志したきっかけが友人のすすめって、これ嘘でしょう。あなた昔から自分の顔大好きだ

    • 一年に一度必ず訪れる類の幸福と、見逃した新作映画

      彼女は立ち止まり、きらきらと瞳を震わせるだけだった。 「なにしてるの、いこ?」 映画の開演時間まであと少し。ずっと彼女が見たいと言っていたから、チケットまでとったのに。 「おーい」 それなのに彼女は、さっきから道の真ん中で動かない。あれ、コートだと少し暑いな、と俺が気が付いたのはそれから少ししてからだ。 ね、来たよ。 「は。なにが?」 彼女は頬を紅潮させて、上目遣いで俺を見た。かわいいな、じゃなくて映画。 ・ 彼女は、明らかにそれと分かる風が

      • 聖・言

          /character 大蔵光子(8)(17) 女子高生。知的障害で、言葉をうまく喋れない 進藤伊織(16) 光子のいとこ。男子高校生 大蔵宗次(72)(81) 光子の祖父。大蔵酒造1 3代目代表 大蔵貴子(42) 光子の母 進藤園子(39) 光子の叔母。伊織の母 (大蔵孝行 光子の父。婿養子) ○大蔵家・廊下(夜)   ぎし、ぎし、と暗い廊下を歩く大蔵光子(17)。   目の前に一すじの光。   和室の障子が微量に開いていて、隙間から細い明かりが漏れている。

        • BAKU

          「バクは人の悪夢を食べる。では、それが幸福な夢だったら……?」 /character BAKU(7)夢食い。見た目は7歳の少年。バクの帽子をかぶっている PAPA(38)BAKUの父。夢食い 海野桂 (45)無職・元サラリーマン 海野貴子(42)海野の妻 海野たつき(6)海野の息子 店員(24)男   /synopsis 「2058年。夢が現実を脅かす時代が来た。現実に疲れた人間たちは、夢を見ることで世界を遮断するようになった」 バクは人の悪夢を食べる。 しかし

        Wikiに載らない歴史

          Sugar Boy Blues

             /character 小暮稔 (26) 作家志望のフリーター 坂下詠美(25) OL ブルーム(28) ブロンド美女 パーシー(21) 柿の帽子を被った青年 雪だるま 猫  /scenario ○アパート・小暮の部屋・バスルーム(夜)   洋風の洒落たバスルーム。   白いタイル壁には、青いネオンで『SUGAR BOY BLUES』と装飾されている。   ラックには、ヤシの木のイラストがプリントされた、使いかけの青いシャワージェルが置いてある。 〇ネオン街

          Sugar Boy Blues

          雨とメロディ

          「雨は好きだ。傘をさしてさえいれば、誰も俺に気づくことはないから」  /character 倉野清人(29) ピアノ教師 真野湊 (16) 男子高校生 宮下帆夏(25) 倉野の友人 真野広海(42) 湊の父 タクシー運転手1・2 女子高生1・2  /scenario ○真野家・畑   強い日差しが畑の野菜を照らす。   ラジオからニュースが流れる。 アナウンサー「今年は太平洋高気圧が例年より早く発達したため、雨量が極端に少ない梅雨となりました。作物が育たず、全国の農

          雨とメロディ

          自転車に乗っていたのは誰?

           /character 山田樹 (22)/ 大学生 山田ゆり(20)/ 山田の妹 神馬一見(22)/ 大学生・山田の友人、ゆりの恋人 椎木なこ(22) / 山田の恋人    みか・かなこ(21) 誰でも良かった女の子  /scenario ○河原の道・満開に咲くカモミール   河原の上、二人乗りをしている男女。   山田樹(22)が自転車を漕ぎ、後ろには椎木なこ(22)。   二人で、はしゃぎながら、スピッツの『ロビンソン』を歌っている。   (道には二人以外誰も

          自転車に乗っていたのは誰?

          訪問者(遅れてきたクリスマス) あらすじ案

           / #テレ東ドラマシナリオ こちら、サトー兄弟さんのおもしろ案をあらすじにしてみました。 「バイトで訪れたある家に、「クリスマス」が遅れてやってきた……」  /Synopsis クリスマスから年末年始にかけて遊び過ぎた大学生、流田翔也(23)は、割の良い手ごろなバイトを探していた。そして検索アプリで見つける。 【1月24日の夜、とある家で過ごしてほしい。23歳男子限定。時給3000円】 ということで来る1月24日の夜。 何の変哲もない無人の一軒家で過ごすこ

          訪問者(遅れてきたクリスマス) あらすじ案

          Her smile is beautiful

          「………いや、ちがう。笑いたいんだ。本当は」  /character 近江圭(14) / 中学生 古谷笑美(14)/ 圭の幼馴染 古谷睦美(35)/ 映見の母 古谷洋治(37)/ 映見の父 駒井陸(14) / 圭・映見のクラスメート 黒川孝(43) /圭の担任 圭の母・父    /scenario ○笑美の家・リビング(朝)   古谷笑美(14)、ソファに座り、ネコの人形を抱きしめている。   ネコの人形の口はバツ印の無表情。   その目の前で、古

          Her smile is beautiful

          深海→パラノイア[Enter]

            「目に見えるものだけを信じないで」 /character 入野うみ(17)/ 男子高校生 繋がっていないと不安。自分の気持ちを解放[Enter]して、人と繋がっていないと不安。そして、大好きなみみと繋がれないことに何よりの不安を感じる寂しい男の子。 角谷みみ(17)/ 入野の片思いの相手 繋がっていると不安。目に見えるものが全て真実だと思われてしまうこと の不安。気持ちは言葉として開放[Enter]した時点で、もうすでに気持ちではなくなると思っている。 Key(2

          深海→パラノイア[Enter]

          東方電影院

          「味のなくなったガムさ。しかし、誰もそれに気づかないでいる」 /character 光林(24)『東宝電影院』の運営者。台湾人 栄流(25)『東宝電影院』の運営者。台湾人 店主(45) 屋台の店主。男。台湾人 王臣(20)『東宝電影院』の運営者。台湾人  ジェニー  野良犬  /scenario 〇白い空間   ぽつんと置かれたガムボールマシン。   誰かの(林)手が、ハンドルを回す。   何も出てこない。   何度もがちゃがちゃと回す。結局何も出てこな

          東方電影院

          TEENAGER

          「白い肌には赤い血がよく映える。この血は藤原の血だ。この血は一生消えることのない。強固で忌まわしい藤原の……呪縛だ」  /character 藤原竹子(15)/ 次期后妃 菅原道真(18) / 文章生・早口 紀長谷雄(18) / 文章生 金山(27)/ 竹子の侍従・女 菅原是善(51)/ 道真の父 藤原良房(59)/ 竹子の叔父。太政大臣   /scenario 〇平安京・神殿造・簀子   T「863年、平安京」   満開の梅の花に激しい雨が降り注いでいる。

          クロコダイルの涙

          「ワニの涙の意味を知っているか?」   /character  黒古夏生 (29) / 警官・地域課 本名は宋黒流  五十島なおこ (15) / 中学生  五十島小五郎 (53) / なおこの父 ワニ園の経営者  有働宗近 (35) / 刑事部捜査第三課  林燈実(りん・とうみ)(31) / 中国マフィア ワニの密売・密輸に関わる  設楽ちず (15) / なおこの友人   /synopsis 黒古夏生というのは通名で、本名は宋黒流(そう・はおるー)。警察官でありながら

          クロコダイルの涙

          合理的な結婚

          「僕はその昔、健気な野球少年だったんだ」  /character 林田マサト (27) /映像作家 菅野エイミ (30) /作家・エッセイスト ヒロト (25) /バンドマン。マサトの友人 カナエ (29) /エイミの友人 ヒロタ (36) / マサトのクライアント 野球ボール /友情出演 /scenario     ○壇上   ヒロト(25)、エレキギターで、ロック調にメンデルスゾーンの『結婚行進曲』の一節を奏でる。   ヒロト、マイクを持つ。

          合理的な結婚

          PINK!PINK!PINK!

           /character 白田ゆう(22) / 女子大生 桃谷ひとみ(22) / ゆうの幼馴染。通称「P」 黒瀬まさき(23) / 大学生向けwebマガジン・学生記者 灰田ななこ(22) / まさきの友人 女性店員(25) / 文房具屋の店員 /scenario 〇大学・サークル棟・『ピンク・メート』部室   全面ピンクの壁。   テーブルの上。水の入った透明なグラスに、ピンクの色鉛筆が数本つかっている。   ソファに座る白田ゆう(21)。全身ピンク色の服、ピンクに

          PINK!PINK!PINK!

          ボーリョクテキなどーぶつを笑うな

          人は言う 心が健全じゃない君と心が健全じゃないあの人が一緒になっても幸せになんかなれないよ、と だがしかし、とわたしは思う 心が健全じゃない私にとってあの人の心が健全じゃないという事実がどれほどの救いになっているだろうかと プラマイゼロで丁度いいなんて嘘だ、数学的虚構だ。 ゼロというのはいってしまえば虚無なのだろう 真っ当な心の人間と出会い真っ当な関係を築き真っ当に年を取っていくことをまぎれもない虚無だと捉える人間だっている、たくさん 私とあの人のぶつかり合った

          ボーリョクテキなどーぶつを笑うな