■安倍政権下で「移民」が倍増…日本の健康保険制度の危機がひっそり進行Business Journal 2018.09.26 荻原博子

■安倍政権下で「移民」が倍増…日本の健康保険制度の危機がひっそり進行

Business Journal 2018.09.26 荻原博子

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6月に発表された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)のなかで、中小・小規模事業者の人手不足の深刻化を理由に外国人を幅広く受けて入れていく仕組みを構築することが明記され、安倍晋三政権は実質的な「移民政策」に大きく舵を切りました。

「移民」について、安倍首相はこれまで「日本が移民政策をとることは断じてない」と言い続けてきましたが、実際には、安倍政権は発足以来、国際的にも「移民」と認められる外国人労働者の雇用を促進してきました。

外国人労働者数は政権発足時には約68万人でしたが、厚生労働省の2017年10月末の集計では約128万人と約2倍に急増しています。

しかも、建設から家事支援、農業まで、ありとあらゆるところで働いています。
 
政府は、表向きは「外国人材の活用」として「高度専門職ビザ」や「技能実習ビザ」などで働く「能力の高い外国人材の日本への招き入れ」と言っていますが、現在の日本で働く外国人労働者は、国際的には「移民」と認知されています。

そして、約128万人もの大量の「移民」を受け入れている日本は、すでに15年の時点で、ドイツ、アメリカ、イギリスに次ぐ世界第4位の“移民大国”と認知されているのです。

こうした状況がありながら、なぜ安倍政権が「日本は移民政策をとることは断じてない」と言い続けてきたかといえば、政権の強力な支持者のなかに「日本の伝統文化を守れ」「外国人犯罪を撲滅せよ」と言う人が多く、なかには外国人労働者を差別視する人などもいて、移民政策が不人気だったからです。

そのため、表向きは否定しておかないと、選挙でコア層の支持を確実なものにできないという事情がありました。

では、なぜ安倍首相は前言を翻し、ここにきて移民政策に大きく舵を切ったのでしょうか。

・安倍政権が移民政策に舵を切ったワケ

政府は、これまで外国人の就労が禁止されていた「単純労働」とされる分野に新たな在留資格を創設し、積極的に移民政策を進める方向を打ち出しました。

外国人労働者に対する扱いが180度変わったのは、自民党総裁選挙を意識したからでしょう。

前述の「骨太の方針」では、外国人就労について、中小・小規模事業者の人手不足の深刻化を意識しているということがつづられています。

安倍首相は、国会議員票を固める一方で、地方票が弱みといわれていました。

かつての自民党総裁選では、大量の地方票が石破茂陣営に流れたこともありました。

その地方票を取り込むために、移民政策は必要だということでしょう。

自民党員には、中小・小規模事業者も多くいます。

地方票を1票でも多く獲りたい安倍陣営としては、こうした人たちに「移民を大量に入れて、深刻な問題である人手不足を解消します」とアピールすれば票につながると読んだのでしょう。

ただ、困ったことに、これまで安倍首相が「日本が移民政策をとることは断じてない」と言い続けてきたことで、この国には「移民問題」はないことになっています。

そのため、日本における「移民」の定義すらあやふやなままで、「移民」を受け入れることに対する、確たる指針さえもできていません。

さらに、移民政策に大きく舵を切ったにもかかわらず、「骨太の方針」では、わざわざ「移民政策とは異なるものとして、外国人材の受け入れを拡大する」と書いています。

50万人もの「単純労働者」を含む「移民」を入れるというのに、この期に及んで「移民ではない」と強調するというのは、わけがわかりません。

これは単に、これまで「断じて入れない」などという強気発言をしてしまっているので、その辻褄合わせなのでしょう。
 
こうした政府の曖昧なスタンスも、移民問題を正面切って論じにくい状況にしています。

実は、こうした状況が、私たちの将来をゆがめ、大きな禍根を残すことになるかもしれません。

特に、日本の社会保障を揺るがす大きな要因になるのではないかと、個人的には危惧しています。

・外国人による国民健康保険の不正利用事件が多発

私は、「移民」を入れないほうがいいとは思っていません。

日本がグローバル化するなかで、海外人材の受け入れや交流は避けられないことだからです。

そして、外国人労働者と共存していくのであれば、その人格を認め、日本人と同じような保障も与えていかなくてはならないと思っています。

彼らは、一緒に働いて、一緒に暮らしていく隣人なのですから。

一方で、日本の社会保障制度は、ただでさえ財政難で危機的な状況です。

今、外国人による国民健康保険の不正利用事件が多発しています。

日本には、海外に比べて手厚い医療制度があります。

自営業者は国民健康保険に、会社員は社会保険に加入して、病気になれば多くの人が自己負担3割で治療してもらえます。

70歳以上では自己負担1割という人が主流です。
 
たとえば、年収約370万円から770万円の人の場合、3割負担なので100万円の治療を受けても病院の窓口で支払うのは30万円となります。

さらに、医療費が1カ月で上限額を超えた場合は超過分が払い戻される「高額療養費制度」があります。

同制度を使うと、図のように窓口での30万円の支払いから約21万円が払い戻され、自己負担は最終的に約9万円で済みます(あらかじめ手続きをしておくと、窓口で一括処理してくれる病院もあります)。

ここでかかった医療費100万円のうち、自己負担が約9万円で、残り約91万円はどうなるのかといえば、みなさんが支払っている健康保険料や税金でまかなわれます。

しかも、夫婦でそれぞれ100万円の治療を受けても、加入している保険が同じなら合算できるので、2人で約9万円の自己負担となり、約191万円はみなさんが支払った健康保険料や税金でまかなわれることになります。

そして、この自己負担額は入院4カ月目からはさらに下がり、4万4400円になります。

夫婦でそれぞれ100万円の治療を受けても、同じ保険に加入していれば、あわせて4万4400円の自己負担で済むのです。
 
実は、日本の医療保険制度は、みなさんが考える以上に素晴らしい制度です。

たとえば、すべて自己負担なら700万~1200万円かかるといわれる肝移植も、高額療養費制度が適用されるので自己負担は10万円以内で済みます。

さらに、最新の医療技術も、多くの人が使うようになるとともに健康保険が順次適用されていきます。

これまでは全額自己負担で約300万円もかかる前立腺がんなどの「粒子線治療」も、4月から保険適用になりました。

さらに、最先端の手術支援ロボット「ダヴィンチ」も保険適用なので約9万円の自己負担で済み、1年間の投薬で約1300万円かかるといわれているがん治療薬「オプジーボ」も、一部の治療で保険の対象になっています。

・海外の悪徳業者が日本の健康保険を食い物に?

このように、日本の公的保険は安くて素晴らしいのですが、その恩恵を受けようと、日本に就労ビザで入国して病院に入院する外国人が急増しています。

日本は国民皆保険で、外国人労働者は全国健康保険協会が運営する中小企業向けの健康保険に加入しなくてはなりません。

それ以外の留学などで来ている外国人も、滞在が3カ月を超える場合は国民健康保険に加入する必要があります。

そのため、日本で高度な医療を安く受ける目的で、労働者を装って来るケースが後を絶ちません。

実際、ベトナム人が2年以上で総額1000万円の治療を受けていたケースもありました。

国民健康保険の赤字は16年度には約1468億円でしたが、これは税金で補っているのが現状です。

もし、大量に「移民」を受け入れるようになると、なかには「日本で働く」という名目で入国しながら、「病気になった」と入院し、安い費用で治療を受けて帰国してしまう人も増えるのではないかと危惧されています。

実際に、海外の業者が日本の制度を悪用して患者を集める悪徳ビジネスで、日本の健康保険が食い物になっている実態も報告されています。

(文=荻原博子/経済ジャーナリスト)

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安倍政権下で「移民」が倍増…日本の健康保険制度の危機がひっそり進行
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