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アメリカ大統領選: サンダース人気の秘密 1

1.バイデンはどこにいる?

スーパーチューズデー以前はバーニーサンダースの快進撃だった。しかし、バーニーではトランプに勝てない、と民主党エスタブリッシュメント(既得権益エリート)があおり、クロブシャー、ブティジェッジを引きずり落としたバイデンがフロントランナー(大統領予備選最有力候補)に躍り出た。
15日のバイデンvsバーニーの一騎打ちの討論会で、心配された認知の衰退     (cognitive decline)の様子を見せず、バーニー陣営からの非難もなんのその、過去の言動を取り繕って無難にこなした。
討論会を見ていない人にとっては、バイデンが副大統領候補に女性を選ぶという発言ばかりがクローズアップされた。一方バーニーは、「進歩的な女性なら選ぶ可能性がある」とだけ答えた。
副大統領に女性をって、女性蔑視の裏返しじゃないの?と言いたくなる。サッチャー元英首相、コンドリーサ・ライス元国務長官、ヘイトスピーチを繰り返すわが国の女性国会議員、この人たちが副大統領になったからといって女性一般の味方になるだろうか?それに、女性をひとくくりになんてできるはずない。このあたり、アメリカの中高年は「女性副大統領いいじゃない」と反応し、若者は「バカバカしい」と反応するのが目に見えるようだ。

17日の予備選でもバイデンはいい線をいっていた。アマゾン本社のあるシアトルを含むワシントン州でも接戦の末、バイデンが勝利した。
アマゾンの社員、というかGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の社員にはバーニー支持者が多いと言われている。

ところが、15日あたりからコロナウイルス感染者と起因する死者がアメリカでもうなぎ登りに増えてきた。
大規模集会の禁止の影響が民主党大統領予備選にも陰を落としている。

バーニーは、ネットを使って選挙戦を繰り広げている。「このコロナウイルスという前例のない感染症に対処するには、前例のない方法で取り組まなければならない。ヨーロッパ諸国のように、給与の8割から10割を保障し、最も脆弱な人びと、失業者や移民にも相応な対応策が必要だ」と述べ、若手ホープの
アレクサンリア・オカシオ・コルテス下院議員(AOCと言えば彼女のこと)
、パレスチナ系のラシダ・タリーブ下院議員、ソマリア難民だったイルハン・オマール下院議員がトークリレーをつなげ、コメント欄には「バーニー以外に大統領はいない」という言葉が踊る。
結果、在外アメリカ人による予備選では、バーニーサンダースが勝利した。

その間、バイデンは姿を表さなかった。YouTubeには上記のサンダースのトーク動画をアップしているバーニー・サンダースチャンネルのほか、支持者による個人チャンネル、左派系ネットラジオやテレビが毎日何度となく更新し、そのたびに万単位の視聴者が訪れている。2016年にも活躍していた人びとが相変わらず意気軒昂だ。

彼らの考えでは「バイデンはネット活用が苦手なようだ。バーニーだって最初はよく知らなかったかもしれないが、彼には支持者から学ぼうという謙虚さがあるから、今では十分活用している」とのことだ。また、時折言葉に詰まってしまうバイデンをこれ以上大統領選に駆り立てるのは、年寄いじめだという辛辣な言葉も出てくる。

そして、在外アメリカ人はCNNなどに洗脳(brainwash)されてないから、まともな判断ができる、そうだ。

コロナウイルスの蔓延によって、状況は変化している。国民皆保険(Medicare For All)の必要性と大企業経営者にではなく、労働者に経済的緊急救済をという願いがアメリカ中に溢れ初めているようだ。

情勢の変化から目を離すことはできない。

*ホワイトハウスの写真はPIXTAより購入したものです


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