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41 明日が楽しみになるよ  赤塚さんへ

41 明日が楽しみになるよ  赤塚さんへ

赤塚さん 流氷はどんなに素晴らしかったことでしょう。私は赤塚さんのお返事をワクワクしながら読みました。まるで足の下に流氷を感じるような気がしましたよ。

毎日ワクワクするって、本当に大切で素敵なことですね。

赤塚さんのお返事を読んで、私はまた、雪絵ちゃんとのことを思い出しました。

雪絵ちゃんはそのときの前にあった再発で足が動かなくなっていました。でも、毎日毎日すごくリハビリを頑張っていたので、「ほら、こんなに足が上がるようになったよ」とすごくうれしそうだったのです。ところが、ある日また次の再発が起きて、少し動き出していた足や、手の指に力が入らなくなってしまったのです。雪絵ちゃんは「かっこちゃん、また、足が動かなくなっちゃった。お箸も何も持てなくなっちゃったんだ」と電話がありました。

私はすぐに雪絵ちゃんのところに行きました。そして「雪絵ちゃん、今何が一番困ってる?」と尋ねたのです。
雪絵ちゃんは、少し考えて、「リモコンが持てなくなって、テレビのチャンネルが自分で選べないこと」「食べ物を食べさせてもらうようになって、好きな順番で自由にご飯が食べれていないこと」これができたらうれしいなあと言いました。

赤塚さん、私は何ができるのだろうと思いました。
昨日まで、またきっと歩きたいとリハビリを続けてきた雪絵ちゃんが、一晩開けたら、また足や手の指に力が入らなかったら、どんな思いでいるでしょう。私にできることがあったらしたいという気持ちでした。

雪絵ちゃんの様子をよく見ていたら、指の力はほとんどなくなっていたけど、腕は肩からもちあげて動くということがわかったのです。
今だったら、ほとんど手が動かない宮ぷーもチャンネルを自由に変えていたので、いろんな方法があったのだろうけれど、そのときに考えついたのは、腕を筒に通して、その筒に先割れスプーンをくっつけて、食事をすくうようにしたらどうかということと、同じように筒に棒をくっつけて、大きなリモコンを買ってきて押せるようにしたらということでした。
赤塚さん、私ね、自分で試したらすごくうまくいってね、わたしすごい! 良いこと考えちゃった!って、すごく嬉しくなって、雪絵ちゃんのところに飛んでいったのです。
雪絵ちゃんもそれを見たときに、すごく喜んでくれたのです。
でも、私が考えた道具では、その日うまくリモコンを押すことも、それで食事を口に運ぶこともできませんでした。

私はまた雪絵ちゃんをがっかりさせちゃったのじゃないかと思いました。わたしすごい!なんて思って、自分にも何かできることがないかなて思ったのは傲慢だったのじゃないかと思って、「ごめんね、うまくいかなかった」って私が謝ったら、雪絵ちゃんがびっくりすることを言ったのです。

「かっこちゃん、違うよ。私ね、今日できなかったことね。よかったなあって思ってる。もちろんできたらそれはそれですごく嬉しかったと思うけど、できなくて、それもとってもうれしいよ」

「どうして!?」私はわけがわからなくて尋ねました。そうしたら、雪絵ちゃんは「だってね。明日は練習がうまくいったり、少しは回復して、そしたら、今日できなかったことが、明日はできるかもしれないんだよ。そうしたらね。明日が来るのが楽しみになるよ。明日できなかったら、明後日できるかもしれない。そうしたらね。明後日が来るのが楽しみになるよ。来る日が楽しみなのはうれしいことなの」

雪絵ちゃんは、私を慰めようと思って言ってくれたのかもしれません。でも雪絵ちゃんは、本当にどんな中にでも幸せを探せる女の子でした。ときどきね、雪絵ちゃんは背中に羽を持っているのかもしれないと、本当に思いました。

赤塚さんも今年はわかさぎ釣りができなかったけど、「うわ~また新しいこと見つけるチャンスをもらえたね。嬉しいね。楽しいこと探そうよ!」って、言われたのですね。そして来年来るのが楽しみだって思われたのですね。赤塚さんも雪絵ちゃんとおんなじ考え方だなあとうれしくなりました。

それでね。雪絵ちゃんが書いた詩というか、エッセイというか『幸せ気分』という本があります。赤塚さんのお友達でもある鶴田紀子さんが、雪絵ちゃんが生きていたころに、雪絵ちゃんの本を作ろうと出版社を探してくださって、でも、みつからなくて、結局「魔女の翼」という名前で、雪絵ちゃんの本を作ってくださったのです。

とっても可愛い本、1000冊ずつ9回増刷を重ねて、9000冊が出ていきました。在庫が少なくなってきたのだけど、版がなくなっていることに鶴田さんが気がつかれたそうです。
それで、モナ森出版からリニューアル版として、全部カラーにしてデザインも変えて新しく『幸せ気分』を作ることにしたのです。

どうしたら、多くの方に読んでいただけるかなあと思って、50人の方に、オーナーになっていただいて、1500円の本を十五冊で、11,000円としました。十五冊24,750円が11,000円になるとは言え、雪絵ちゃんの応援をしたいという思いがなければ、オーナーにはなっていただけないと思うのです。でも驚いたことに、メルマガでお知らせしたその日のはやいうちに、50口が完売になりました。みんななんて優しいのでしょう。そしてなんてありがたいことでしょう。

すごくうれしかったです。そして、誰も損をしないこんな方法があるんだなあって思いました。雪絵ちゃんがまたお空で忙しく、あちこちで笑って光る棒を振ったのかもしれません。だって、雪絵ちゃんはやっぱり、天使なんだもの。

赤塚さん、
本当のことを言うと、このごろね、あーあー、思うようにならないなあって思う日が続いています。ううん、100あるうちの、ほんのちょっとのこと。でも、自分のこともうまくいかないんだもの。お人の気持ちやされていることが自分が思うようになるはずがありませんね。
でも、いつもサムシング・グレートが働いていて、いつもみんながサムシング・グレートの中で必要な役を演じている。それなら、それでいいのですね。

赤塚さん、いつもありがとう。またね。            かつこ

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