#1 Let's Go Dutch【マジックレビュー】

 この手の文字打ち作業、自分でやろうと決心してるくせにすぐにやる気なくして更新が止まるのはあるあるですが、第1回が始まるまでにその過程に至ったのは、ある種の才能ですね(自画自賛ならぬ自我悲惨)


 本日レビューするのは「Let's Go Dutch by Fritz Alkemade」
 RSVP MAGICの出してるDVDですね。
 RSVPといえば「Handle With Carey」や「iCandy」「Step System」などの、よくマジックショップで実践的といった謳い文句で売られてる商品が多いイメージのところです。
 私もStep Systemには常日頃からお世話になっており、あのDVDのおげでパームに恐怖することが無くなりました(パームを教えてるわけではないです)
 ストリートでアンビシャスの途中に、味変感覚でアンダー・ザ・ボックス入れるようになったのも、RSVPのStep Systemが影響してますね。


 さて、そんなアンダー・ザ・ボックスお気に入りマンとしては、同じくRSVPから出ているアンダー・ザ・ボックスが載ってるDVDを買わないわけにはいかないという事で(そんな必要はないが)購入したのが今回紹介するDVD

【Let's Go Dutch】

となります。

http://www.tokyomagic.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=2689


 名前的にオランダ感が強いのですが、どうも「割り勘にしようぜ」的な意味らしいです。表紙にオランダの国旗があるし、英語の駄洒落かなんか…?
 Fritz Alkemadeさんはオランダ?のマジシャンらしいので、普通にオランダが好きでオランダ推しまくってる説も・・・?

 英語のDVDなんで何言ってるかわからないのですが、説明が丁寧で画質も悪くないので理解には困らないです。
 スタンドアップでもできるのと、机使うの半々ぐらいで紹介されてて、一つ一つは単発のネタで、つなげる用のネタではないって感じです。むしろ各ネタの一部を適度に切り貼りしたり、別ルーティンに入れるのに便利って感じですね。
 基本はレギュラーデックのみで行えるもので、一部小道具やコインなど、全体的にオープニングに向いてるイメージですね
 立食パーティーで「こんにちは、ちょっとマジック見ていきません?」のノリでやるものがほとんどです。というか映像的にそう。
 私はバイト先のバーでいつものルーティンを見飽きたであろう常連さんに見せる時に重宝しています。
 ミスディレクションで魅せる系が多く、角度に弱いかな?ってものもあるので、常にどの客にも完璧に、を追求するには不向きです。
 難易度で言えば私でも詰まる技法がない程度なので、そこまで難しくはないです。
 カードマジックの経験がある人ならば、レパートリー増やすのによいのではないでしょうか。
 全体的に服装制限(ポケットがあるベスト希望、めっちゃ入れるので)があります。


・収録演技

「Boxing Day」
〈現象〉
 観客に選ばせたカードが何度もボックスの下から出てきたり、ボックスの中から出てきたり。
 最後にはデックごとボックスの中に入ってしまう。

〈解説〉
 現象ってどこまで書いてしまっていいんだろうか…?(唐突な不安)
 上手くやるなーって感じの演技です。
 アンダー・ザ・ボックスもイン・ザ・ボックスもそうですが、何度もやってると観客が箱を注視するので難易度が上がるんですよね。
 それをうまくミスディレクションでかわすのはもちろんなのですが、ミスディレクションを行う時の動きが最小限なのが凄かったです。
 私は目線逸らしたいがために動き過ぎてしまうので……自戒……
 英語で何言ってるのかまったくもってわかりませんが、観客にもわかりやすく難易度が順に上がっていく手順となっており、連続で予想が裏切られるのはとてもよかったです。
 この手順完コピ出来たら、バーなどでのテーブルホッピングはかなり強くなれそう。
 私がやったときはちょっと怖かったので、口にくわえるフェイズを挟んで視線を上に固定させたりしてから落ちにもっていきました。
 

「Another Ambitious?」
〈現象〉
 基本的なアンビシャスカードルーティン。
 
〈解説〉
 オムニデックとワレットを使ったアンビシャスの手順ですね。
 どっかで見たな~の詰め合わせです。
 なんだかんだストリートで改変したのをよく使ってるのであれですが、何かしら目新しい情報があるってわけでもないです。
 ミスディレクションが独特か?!と聞かれたらそうでもないですし……
 オムニのタイミングに悩んでたり、カードtoワレットを余らせてる人にはおススメかもしれません。
 前四条で多分これと上の演技を混ぜたやつやってる人見ました。
 ストリートでの受けは上々ですが、まぁアンビシャス自体受けるので……


「It’s a Four-King Production!」
〈現象〉
 4枚のキングの少しひねられたプロダクション。

〈解説〉
 見せ方が凄い好きです。
 1枚ずつキングを出していくのですが、三枚目を出す時にはすでにもう1枚も場に出ているという驚きがいいですね。
 4枚のマジックやるときにこれで出せば、それだけで少しスマートなマジシャンに見えます。
 セットも別に難しくはないのですが、実演中に仕込むとなるとちょっと怖いかなって感じなので、やるならオープニングでですね。


「Y.A.M.S.M.A.T.」
〈現象〉
 カードを選んでもらい、一度失敗?するのですが、気付いたら当たっています。もう1枚選んでもらうのですが、チェンジでまた当たります。
 チェンジしたカードを肘でこするとまた元のカードに戻り、予想外のところからチェンジしたカードが出てきます。
 と、気を抜いていたらデックが消えて、確認してからまた一瞬でデックが戻ってきます。

〈解説〉
 文字だと何を言ってるのかわからないと思うのですが、結構そのままの現象が起こります。
 ミスディレクションの参考にしてます。
 絶対盛り上がると思いますし良い手順なのですが、私はちょっと、途中の見せ方があまりうまくないと言いますか、眼鏡かけてないと厳しい気が…?
 まぁそこらへんは上手く改変してください……
 本当に手順の見せ方とミスディレクションが上手いなぁといった感想です。
 1個1個分解して自分の手順に組み合わせても映えるので、見せ方の勉強にも良いと思います。
 この人デックごと消すのと口にくわえるの好きですね()


「Boxed Musketeers」
〈現象〉
 「It’s a Four-King Production!」から連続で演じる手順ですね。
 1枚観客に選ばせ、出した4枚のキングでサンドイッチ現象が起こったのち、観客のカードを箱に入れ、4枚のキングが4枚あるのを見せた上で観客に手で押さえさせるのですが、箱を開けると4枚のキングが出てきて、観客のカードは観客の手の下から出てきます。

〈解説〉
 少し難易度が上がった印象です。
 技法の難易度などは上がってないのですが、すこし強引に進めるように感じたところが見えました。
 いやむしろ他の手順のがミスディレクションに頼りっきりで強引と言えばそうなのですが、逆にこの手順はミスディレクションでそこ解決せずそうやってもっていくんだ的な…?
 個人的に最後のイン・ザ・ボックスが好みでないため、演じることはないですね。
 ここらへんになるともう完璧に個人の趣向の問題になってきますね…


「Wallace’s Opener & Tokyo Transpo」
〈現象〉
 印象的なデック登場と、腕時計を使ったトランスポ現象。
 

〈解説〉
 デック登場の方は暗い所なら印象的かも?
 オープナーとしては結構いいかもしれません。
 トランスポの方は、個人的に解決法が好きではないため多分やることはないですね……
 マジシャンです少し不思議なことしますね、って感じにはいいかもですが、準備が必要なのがどうしても……
 Tokyoってついてたから期待してたのですが、目新しさも特にはって感じですね。


「The Ace Team」
〈現象〉
 4エースプロダクションです。
 デックから一枚のエースが飛び出してきます。
 もう一枚は差し込んだところから、三枚目はサンドイッチされて出てきて、最後はデックをたたけば四枚目のエースに変化します。

〈解説〉
 立ってできる少し変わった4エースプロダクションですね。
 この人デック消すの好きすぎませんか…?
 セットさえ気にしないのであれば、ストレス少な目で演じられます。
 見た感じ好きなんですけど、これやった後どうするかを思いつかない&思いつかないのにセットするのもなんだかなって感じで、実演はなんだかんだしたことないですね……。
 四枚目の出し方は好きですので、アンビシャスとかで応用したりはしてます。


「A Mouthful」
〈現象〉
 何度も何度も口にカードが挟まれます。
 最後はデックまで口に挟まれます。

〈解説〉
 ミスディレクションの鬼ですね。
 ここまでひっかけられたら爽快ですが、人によってはバレそう。
 コロナ禍ではやりにくい芸当ですね……。
 関係ないですがマスクの上からカードを加える場合、ナイロン系のマスクがおススメです。普通の紙マスクだと冬場とかは特に、湿気がマスクの内側にたまってカードが濡れます。
 個人的には途中の口でキャッチする芸当が無理なので諦めましたが、口にはさむレパートリーを増やす(増やす必要があるかは謎)参考にしています。
 最後のデックのやつは受けはいいのですが、一度大惨事(カードが飛んでく)になったのでお気を付けを……


「Just in Time 2.0」
〈現象〉
 表裏にばらばらにカードを混ぜるが、指パッチンすると三枚のカード以外すべてそろうトライアンフ。
 三枚のカードを表向けると、その時の時刻にあうカードです。

〈解説〉
 現象が綺麗ですね!
 やっててかっけぇってなるし、なぜそうなった?!感が強くて好きです。
 肝心のトライアンフも難しくないですし、立ってできる上限りなく表裏混ざったように見せる錯覚が強いってのもいいですね!
 めちゃんこ観察してる人なら引っかかるところはあれど、そこから種まで追われることはまぁないかと。
 トライアンフの表裏混ざったように見せるサトルティは、birdieさんのオンラインサロン?動画共有サイト?で野島さんがやってたトライアンフに似た感じですね。
 元ネタがどこかわからないんですが、あっちは裏返るのが一枚で、こっちは三枚です。
 ただ、大体うまくいくとは言え時々事故は免れません。
 何度か繰り返してコツを掴んでからやるべきですね。 
 


「Multiple Selection and Revelation Routine」
〈現象〉
 9人にそれぞれ覚えさせたカードを、一枚ずつ当てていく。
 最後にはジョークの利いたアニバーサリー・ワルツ的な落ちがついています。

〈解説〉
 大量にカードを引かせて当てていく演出で、多数の観客に見せることができてとても良いです!
 英語がわからないので実演の流れは多少不明ですが、当て方や流れで手を変え品を変え飽きられないように持っていっている良い手順です。
 順番に出す方法は、なんていうか思いのほか直接的でびっくりしました。
 分解して他のマジックに組み込んでもよいかもしれません。
 この手の同じ現象繰り返す系は、盛り上げとかいろいろが大変なので、そこらへんも参考になりました。
 現象ではアニバーサリーワルツと書きましたが、多分正確には違う……
 英語がわからないためちょっと流れがよくつかめず、ただなんかそんな感じがしたなっていう()
 実演の時に途中から横のおっさんが謎のサインカード持ち出してくるからこんがらがって…(言い訳)


「Roppongi Revelation」
〈現象〉
 四枚のキングを使ったサンドイッチ。

〈解説〉
 「Boxed Musketeers」の途中で見た現象ですね。
 箱に書いてある順番だと、
 「It’s a Four-King Production!」
 「Roppongi Revelation」
 「Boxed Musketeers」
 なんですが、DVDの十番だとこれだけ飛ばされて11番目に入ってます。
 「Boxed Musketeers」でサンドイッチが解説されてないな~と思ってのですが、多分理由はこれですね。
 ついでにクレジットのPDFでは、「It’s a Four-King Production!」「Roppongi Revelation」両方が四番目に紹介のマジックと書いてるせいで、11個しかマジック紹介されてないことになってますが、12個あります。
 結構細かいところ見るとグダグダ……
 マジシャンが見ると何となくわかるサンドイッチですね。
 そのまま行くか―って感じで。
 採用するにはちょっとって感じなんですが、なんでこう日本の地名入れてるやつはどれも微妙なんだ…
 


「Euroutine」
〈現象〉
ワンコインルーティーン。口から出てきたコインが手の甲を通り抜けたり、飛んだり消えたり、相手の手の甲の上から出てきたり、おっきくなったりします。

〈解説〉
この人口使うの大好きですね
コロナ禍ではマスクしてるのでやりにくい手順です。
よしんばそこ飛ばしても、私はマッスルパスが出来ないのでどちらにせよレパートリーに入らない……
その部分は別のワンコインルーティーン突っ込んで、手の甲から出てくる&大きくなるの所だけ組み込めばいいかなと思いますが、どうせやるならマンモスレベルに大きくしたいので、ジョニオさんのレクチャーで見たマンモスコインのロード方を採用しますね。
どこかしらで見知った技法で、ミスディレクションが凄い!!という訳でもないのでレパートリーにまでは入りませんが、覚えておけば受けはいいかなって感じです。
マッスルパスとジャンボコインを余らせてたら、立ってやる小ネタにいいかもしれません。
一つ一つの技法は(マッスルパスを除いて)難しくないので、ストレス少なめなコインルーティンとして追加するのもありかと。



・総評

76点

100点満点とし

100・・・絶対買え、大好き、最高
90 ・・・実演してるし擦りまくってる。オススメ
80 ・・・レパートリーには入ってる。オススメ
70 ・・・レパートリーに入れたり入れなかったり?
60 ・・・覚えておいたらいざって時に助かるよね
50 ・・・使えるがそんなに使うことは無い
以下はあまりおすすめではない


そのまま丸コピしてる訳では無いものの、参考にした部分がかなりあったりしたので、この点数ですね。
何かしら基準がしっかりしてないものに点数つけるの烏滸がましくて……モヤッとする……
ミスディレクションやカード・アンダー・ザ・ボックス、口に飛ばすやつが好きな人はオススメです!
難易度としては、中級者であれば即戦力として組み込めると思いますが、ミスディレクション系に慣れてなければ最初は怖いと思います。
ある意味人を選ぶDVDかも知れません。

今回はこんな感じで!
思いのほか長くなりましたが、読んでいただきありがとうございます!!


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