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一週間無人島生活[一日目]~上陸と拠点制作編~

船の出る時間が11時だったので、10時くらいに宿を出て港に向かう。港までは歩いて10分ほどだ。

港に到着。ここも二年前に来たところなので、懐かしいという思いだ。奄美大島の南側に来て懐かしいと思うことなんてあるんだな。

船長とも再会。二年前送迎してくれたのと同じ方だ。私たちが行く無人島にハブが出たという話を船長から聞き、二人に緊張が走る。しかも、船長は今日から二日間ほど無人島には来れないということで、もしその期間にハブに噛まれでもしたら大変なことになる。注意しなければ。

いざ乗船。今日は少し海が荒れているようで、結構揺れる。私は無人島に行く時、船に乗っている時間も好きで、潮風が顔に当たる感じが特に好きなのだが、今回は普通に海水が顔にかかったりした。しょっぱいぜ。

特別に操縦席の上の部分に上がらせてもらえることになった。もしかしたら濡れないように船長が配慮してくれたのかも。はしごを使って操縦席の上に上るのだが、目線が高くなってかなり怖い。船も揺れていたので、落ちないようにしがみつきながら景色を堪能した。最高の気分だ。


港から無人島までは約一時間ほどで到着。ここから荷物を船から下ろさなければならないのだが、これが毎回の無人島の中でも特に大変だ。

波が少し荒れていたので、完全に船をつけることができず、船が岸に近付いたタイミングで素早く荷物を下ろさなければならない。手順としては、荷物を持って船の先端にできるだけ近付いておく→船が岸に近付いたタイミングで荷物を持って飛び降りる→荷物を岸に置く→また急いで船に乗り込む→一度岸から船が離れるので、その間に荷物を持っておく、という感じだ。

一度に持てる荷物は限られているので、これを三回ほど繰り返してようやくすべての荷物を下ろし終えた。船が着岸しないので、足元はびしょびしょになってしまった。あらかじめマリンシューズを履いていて正解だった。これも今までの無人島の経験で学んだものだ。皆も参考にしてね。


無人島には先客がおり、私たちが乗ってきた船に乗って帰るようだった。どうやら私たちと同じくらいの年齢の女性が一人で来ているらしい。凄。女性一人だと荷物の運び入れが難しいだろうということで、私とOで荷物を船に運ぶ。三人だと早い。

船ともお別れし、いよいよ無人島生活が始まる。とはいいつつ、一度来たことのある島なのでそこまでワクワク感はない。どちらかというと、やることやできることがはっきりしている分安心感があった。

まずは物資の探索だが、前回来た時よりも物資は豊富に落ちている。特に浮きがたくさん落ちているから、もしかしたら筏なんかも作れそうだ。


今日の夜に雨が降る予報だったので、雨対策を一番に進めていかなければならない。初日に濡れてしまうと体力も奪われるし、体調を崩す危険も高まるので、何よりも最優先だ。


前回来たときには簡単に通れていた道が草木で塞がっており、まずはそこを通りやすくする作業から始める。ハブがいる可能性があるため、できるだけ森の中には入りたくないが、砂浜には資材も少ないため、仕方がない。

少し進むとひらけた場所が出てきたので、ここを拠点にすることにした。森の中にあった長い木を集めてきて、何が作れそうかを考える。今回は落ちているなかで使えそうな木が少なかったので、森に生えている木を利用することにした。

まず、大きな二つの木の間に長い木を通して、無人島に生えているツタを使って結びつける。そこに持ってきていたブルーシートを被せるだけで簡易的なテントが完成する。本来ならここで寝たいところだが、ハブの話を聞いてしまったので、夜はOが持ってきていた二人用のテントで寝ることにする。この屋根はテントに入りきらない荷物などを置くスペースにしよう。

拠点の奥にも広場があったので、軽く整地をしてテントを設営。ここが荷物置き場+緊急時の避難用スペースとなる。雨が降ってきた場合や、体調が芳しくない場合に活用する。


雨対策も一通り完了したので、次は砂浜から拠点に繋がる道を整備していく。一週間はこの道を行き来することになるので、時間をかけて歩きやすくしていく。

作業をしていたら暗くなってきた。晩ご飯を済ませ、一度砂浜へ。森の中は電波が全く届かないため、何か連絡をする時などは砂浜に出なければならない。友人は就職先にメールをしなければならないらしく、無人島にギリギリ届く電波で頑張ってメールを打っていた。もうすっかり社会人になりつつある。


雨が少しずつ降ってきたので、テントの中に避難する。森の中ということもあって、まだ七時だが真っ暗だ。明かりを消すと何も見えない。いつもならまだ全然起きている時間だが、暗くて何もできそうにないので、早めに寝ることにする。

しばらく暗闇の中で目を瞑っていると、変な音がテントのすぐ近くから聞こえてきた。しかも、結構大きな音だ。聞いたことのない音で、何かの鳴き声なのだろうが、鳥なのか、虫なのか、蛇なのか、それすら判別がつかない。恐ろしさのあまり二人ともテントの中央に寄り、音に耳を澄ませる。だんだんとテントの方に近付いてきているような気がしたが、明かりをつけると音は聞こえなくなった。完全に眠気が覚めてしまったが、しばらく音は聞こえず、知らぬうちに眠りについた。

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