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九州旅行3日目。

ほとんど眠れないままに朝を迎えた。

風が強く、音がうるさかったというのもあるが、寒さが1番の原因だった。

夜の10時くらいまでは暖かくて、半袖半ズボンでも全く問題なかったのだが、徐々に体が冷えてきて、特に冷える午前3時にはもう完全に起き上がり、寒さに耐えるしかなかった。想定以上の寒さだった。

体温を維持するためにタオルを首に巻いたり、持ってきていた食料を食べたり、ゴミ袋を床に敷いたり、テント内で体を動かしたりして耐えた。ひたすら日の出を待つ夜だった。

午前3時になって一度テントの外に出たのだが、その時の星がめちゃくちゃ綺麗だった。
10時にも星は見えたが、その何倍も星が輝いていた。間違いなくこれまで見た星空の中で1番綺麗だった。


だんだんと明るくなっていき、5時半くらいに友人たちも起床したようで、一緒に朝ご飯を食べた。
友人2人は別のテントで寝ていたらしいが、2人とも寒かったらしく、途中でテントの前室でバーナーをつけることでなんとか眠れたらしい。じゃあ私もそっちに行けば良かったな。私は寒すぎて腕立てをしていたよと言うと2人とも笑っていた。

今日はこの「すかもりコース」というところを登っていく。

いきなり坂道が続き、心拍数が一気に上がる。昨日の疲れが残っていて、足全体が重い。

ただ、昨日と違って景色はめちゃくちゃ綺麗で、登ったらその分景色も変わっていく面白さがあり、それを糧に登っていく。
霧の中を歩くのも結構楽しかったなと3人で言い合い、でも今日は晴れて良かった、2つの景色が見れたから逆に霧で良かったと全員プラスのことを言い合っていて、良い雰囲気だった。

このダムの横を登っていく感じだ。

ダムの横を登り終えると、次は岩場がどんどんと続いている。
日本ではないような圧倒的な景色がずっと視界に入っていて、違う世界に来た感じがした。

ここからしばらく壮大な景色が続き、ずっとテンションが上がっていた。本当に綺麗だ。

これは昨日から思っていたけど、この辺りの山は道が広い。山道と言えば決められた細い道を登っていくイメージだが、この辺りは大体のルートが定められていて、割とそれぞれが自由に登れる場所だった。岩場とかもそこまできっちり整備されていなくて、私はかなり好きだった。


Mは自分のペースで行きたいタイプらしく、昨日に引き続き、先に行って待っていることが多かった。割と別行動みたいになってたな。


Hが休憩中に小さい虫をじっと観察していて、そういえばHは小学生の時にも休憩時間に虫を見てたなと思い出した。サッカーの試合の合間とか、よく虫を観察したり、砂をいじって遊んでいた。私もHと一緒に虫を見ていたあの時間が自分の中に蘇ってきた感覚があった。


最後はひたすらに階段を降りていくのだが
太ももの前がかなりキツく、力が入らなかった。一段降りるたびに足が痙攣しているのが分かった。なんとか踏ん張りながら、降りていく。

戻ってきた!!!

Mはすでに到着していて、サイダーを飲んでいた。

私は近くの売店で売っていたソフトクリームを食べた。これ、今までで1番美味しいソフトクリームだったかも。濃厚なミルクの甘さが体に染み渡った。

そのあとは温泉に行き、疲れた体を癒した。
休憩所に本棚があり、唯一置いてある漫画が
「かなたかける」という漫画で、全部で4巻あったのだが全て読んだ。熱い駅伝の漫画だった。


その後はラーメンを食べるために移動。

車ではずっとHが音楽を流していたのだが、ふいにPEDROの曲が流れたので意気投合して盛り上がった。音楽の趣味も結構合うんだよな。

ラーメンが一杯500円というかなり安い値段で食べられた。しかもちゃんと美味しい。

宿に到着。
今日の宿は古民家を改装して作ったところで、階段や壁に昔の名残があった。なかなか素敵なところだった。

宿から歩いて天神の屋台というところに向かう。ここはいわゆる飲み屋街的なところで、屋台が並んでいるらしい。

普段は酒も飲まないし、こういう飲み屋街はかなり嫌いな部類なのだが、こういう機会でしか行かないよなと思いつつ行った。これも友人と一緒じゃないと絶対行かないだろうしな。

2人ともこういう屋台に来るのは初めてらしい。
Mは「今回の旅でやったことないことがたくさんできて嬉しい」と言っていた。Mにとっては船に乗るのもこれまで全然無かったらしいし、山に登るのも初めてらしかった。
登山に関してはMにとって「めちゃくちゃやりたかったこと」では無かったと思うのだが、それを含めてやったことのない良い経験と捉えているのは素敵だと思った。


屋台がずらっと立ち並んでいるところを歩いていると、キャッチの人に「席空いてますよ」と誘導され、「メニューはこれがおすすめですよ」とさらに誘導され、思うがままに操られて飲み食いした。


そして酔った。これは完全に酔った。一睡もしていない体に酒はキツかったかもしれない。
これまで酒をたくさん飲んだら、大抵頭痛がしてもう飲めなくなったのだが、今回は頭痛が一切なく、頭がフワフワとした。この感覚は初めてだ。でも全然心地良い感じでは無かったな。

目の奥が鈍い感じがして、これ以上飲んだら吐くかもしれないなと思ったのでやめておいた。たった2杯であった。
屋台で外にあるので、シンプルに暑く、暑さが酔いを一層加速させている感じもした。人の熱気とかも凄かったな。

Hはビール一杯で完全に酔っていて面白かったな。いつもよりよく喋って明らかに上機嫌だ。こんな分かりやすい酔い方があるんだな。


人の良いところ悪いところを含めた本質みたいなものが、通り過ぎる人からも垣間見えて面白かった。普段隠していたり、覆い尽くしていたりする分厚い皮が一枚めくれているような気がした。私が酔っているからそう見えるだけなのかもしれないが。


三軒目に入ったところは、よく喋るおばさんと無口で髭の生えている大男という、いかにも「物語」のような2人が経営しているお店で、雰囲気も良い感じだった。
隣に座っている男女の会話とか、向かいに座っている人と店主の会話とかが色々と耳に入ってきて、その人たちの人生を覗いているみたいだった。全然違う世界の人たちの会話を聞いているなと思った。

焼きそば美味しい!


Hが日本酒を飲んでいたので、一口だけ飲ませてもらった。日本酒は一切飲んだことがなかったが、こんな感じなのか。全然美味しくない。
というか、鼻に一気に熱さがきて、燃える感じで味とかが無かった。
これ、火を口に入れてる?
感覚としては、薬品を飲んでるのに近いな。いや飲んだことないんだけど。それくらい体が拒否していた。これを美味しいって言って飲んでる人がこの世にはたくさんいるのか。分かり合えないぜ。


楽しかったのは間違いないのだが、これは自分とは遠すぎる世界だからこそ楽しめたのであって、これを日常生活の一部にしたいとは思わないな、というのも正直な感想としてはあった。なんとなく、「社会勉強」みたいな側面があったことは否めない。
でも、これは友人と一緒に行っているからこそできたことだなとも思う。1人だったらやろうとも思わないだろうし。だから、きっとそれに価値があるんじゃないかなと思う。


友人2人はこのまま銭湯に行くらしく、私は友人たちと一度別れて先に宿に戻る。

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