第三回無人島 南浮原島編

大学二回生の春休み。
今回は沖縄にある無人島に行こうということで、またまたO君と一緒に、今度は沖縄にある南浮原島というところに行ってきました。
今回は日記をメモに残していたので、そこに加筆・修正したものをあげることにします。
なので、第一回、第二回の形式とは少し違い、いつも僕が書いている日記に近い文章になっていると思います。それではどうぞ。

1日目
今日からいよいよ沖縄へ出発。
正直完璧な準備はしていないような気がして、忘れ物とか飛行機関係のこととか着いてからこととか、不安なことの方が多かった。
飛行機に乗ったことは何回かあるが、自分たちだけで準備したことはなかったから、少し不安だった。
朝は比較的遅かったので、9時くらいまでゆっくり寝たあと、バス停へ。
O君とはバス停で集合。バス、電車を使って空港まで。
飛行機の手荷物検査とかが結構不安だったが、何事もなく通り抜けることができた。
飛行機は何歳になっても怖いものだ。
飛び立つ瞬間の浮き立つような感覚はジェットコースターそっくりで、浮く、ということは落ちる、ということであり、どうしても落ちるという想像をしてしまう。
実際には、落ちる、ということはなく、無事に飛行した。
街並みが見えた。
近くの海釣り公園が見えた。
離陸から3分もたたないうちのことであった。早い。
斜め前の座席の人が椅子を倒していいか聞いてきたので、快く受け入れた。
といっても、僕の隣には誰もおらず、斜め前の座席を倒されたところで僕には全く関係がなかったから、受け入れただけのことである。
飛行機の中では、太宰治の「グッドバイ」を読んでいた。
「薄明」という話は戦争の頃の話で、旅行の時に読むような話ではなかったが、引き込まれて読んでしまった。
近くで子供の泣き声が聞こえた。
飛行機は怖いものだと、その子供は思っているのだろう。僕も怖い。
子供が泣いている姿を見て、微笑ましい気持ちになる人がいるが、全く気持ちが分からない。泣いている人を見てなぜ笑顔になるのか、その気持ちが分からない。
僕は泣いている子供を見て、悲しい気分になった。僕も泣きたい気持ちになった。
けれど、子供が泣いているのと、僕が泣いて
いるのでは訳が違う。
そう思って、泣くのはやめた。
いささか小説のような語り口になっているが、小説を読んでいる途中に日記を書くと、どうしても口調などが小説のようになってしまうので仕方がない。
途中でまた語り口が変わるかもしれないが、気にしないで思ったことと書きたいことをそのまま記すことにする。
到着まであと30分くらい、無性にワクワクドキドキしてきた。
不安は感じていない。少し感じているが、ワクワクの方が勝っている。
到着間際になったのか、飛行機がガタガタと揺れ始めた。
高度が下がっているのを感じ、胸が高なった。いよいよ到着するのだ。
いよいよ、はじまるのだ。
雲の中はやはり揺れるらしい。

無事到着。
荷物を受け取り、バスでホテルまで。
どのバス停に行けばいいか迷うも、警備員の人に聞いてことなきを得る。
こういうちょっとしたハプニングとドキドキも旅の醍醐味ではある。
高校生の時の修学旅行で一度沖縄には来ていて、まだ記憶も結構あるので、行ったことのある店や見たことのある風景もあるのだが、その時の自分の感情というものがいまいち分からない。
あの修学旅行って結局楽しかったんだっけ?
その辺をよく思い出すことができない。
そういえば高校の修学旅行では、飛行機でずっと「海辺のカフカ」を読んでいたっけ。
帰りはみんなが寝ている中、日記をずっと書いていたっけ。
当時担任だった先生に、
「〇〇(僕の名前)はやっぱり本持ってきたんか?」
といわれ、なんとなくムカついたのを今でも覚えている。
修学旅行なのに本を持ってきているということが恥ずかしかったのかも知れない。
断片的な記憶が蘇ってきて、楽しい。
急遽予定を変更し、今日と明日観光をしてから無人島へ行くことに。
つまり、本来なら明日無人島へ行き、無人島から帰ってきた次の日に観光だったのを一日遅らせて行くということだ。
天気の関係で相談した結果、こうなった。
ゲストハウスに着いた。

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まず思ったのが、暑い!とにかく暑い。
二段ベットが三つ並んでいるような部屋なのだが、空気がこもっていてなかなか暑い。
ロビーはフリースペースみたいになっていて、椅子や机が並んでいたり、畳のスペースになっていたりした。
暑すぎたのでひとまず外へ。
買い出しや道具を揃えるためドンキホーテやスーパーへ。
ドンキホーテでは、カメラ用の三脚、充電用バッテリーを買った。
そのあとはマックスバリューで食料品などの買い物。
今回は食料を持ち込んでいいルールにしているので、サトウのご飯やスパゲッティ、サバ缶、スパム、カレーなど調理が簡単なものを買い込んだ。これで体力が無くなったり、エネルギーが足りなくなる心配はないだろう。
そのあとは88というステーキ屋へ。
僕はハンバーグを食べた。
うまい!肉!肉!肉!
ゲストハウスに戻ってきた。
昼は熱がこもって相当暑かったのだが、クーラーがあることに気づいたことと、夜はまだ涼しかったことから、めちゃくちゃ快適だった。1泊330円とは思えない。
同居人の人もおらず、しばらくはO君と二人の空間だった。
二段ベットみたいな感じだか、お互いのスペースは区切られていて見えないようになっているので、個人の時間も取れて良かった。
これから一週間もO君と行動するので、個人の時間とか一人になる時間も大事にしていこうという話を何回もしていた。なかなか良い感じの時間を過ごした。
ちなみに、布団も普通に柔らかくて、寝心地もいい感じ。
一緒の部屋だった人が一人いたのだが、夜も全然いなかったので、実質二人部屋みたいなもので、とてもラッキーだった。
夜、コンビニに寄ったあと、明日行く予定の浜辺まで散歩に行くことに。
結構遠かったのだが、喋りながら歩いた。
ファミマで缶のコーラを買って飲みつつ、喋る時間は楽しかった。
浜辺に行く途中、港的なところでダンスの練習をしていたり、公園でスケボーの練習をしていたりする若者を見かけた。
楽しそうだな、と、とてもいい気分になった。
いつもなら、夜遅くに迷惑だと思うかもしれないなということをぼんやり思った。
ゲストハウスに戻ったら大体0時くらいだった。共有スペースには誰もいなかったので、置いてあったギターを弾いた。
stand by meを歌い、三脚を使って動画を撮った。
背景や照明もおしゃれで、最高の気分だった。
こんなに濃密な1日は他にないだろう。
それくらい幸せがいっぱい詰まっていたし、楽しかった。
当たりのゲストハウスに泊まれたし、またぜひ来たいなと思った。


二日目。
ゲストハウスは、あまり慣れない環境だったこともあって、寝付くのは遅かった。
そもそも眠るのが遅かったというのもある。
ただ、昨日の疲れはとれた感じがあって、なかなか有意義な時間を過ごすことができた。朝は雨が降っていたので、次の日にずらすのはとりあえず正解だったのかもしれない。
とりあえず9時までダラダラして、ホテルをチェックアウトした。朝ご飯は近くのファミマでパンを買って食べた。
次のホテルまで歩きつつ、海に寄ることに。
昨日行ったところの近くに浜辺があったので寄ると、綺麗で穏やかな海が見れた。
沖縄の海はやはり色が全然違う。
僕は海に入るのはあんまり好きではないのだが、さすがにテンションが上がって海に入りたくなった。
ただ、遊泳禁止と看板に書いてあったので、とりあえず断念することに。
スーツケースを預けるために次のホテルまで歩く、歩く。
スーツケースのタイヤ部分が壊れかけていたので、気を使わなければならず、時間と体力を使った。
違う海辺に行く。ここも遊泳禁止とのことだったので、とりあえず陰のある場所で休憩。
猫がたくさんいて、癒された。
そのあとは休憩場所で今後の相談(水をどうするかや、これからどうするか、帰りの相談など)をした。
とりあえずポリタンクを買うことになったが、ポリタンクがなかなか売っておらず、探し回るハメに。
昨日から探していたのだが、なかなか見つからない。大きいほうのドンキホーテにはあったが、できれば折り畳みが良かったので、近くにあるダイソーに電話をしてみると、折り畳みのやつがあるとのことで、無事手に入れることができた。
そのあとは川平スーパーというところに寄って夜ご飯と朝ご飯を買った。
お惣菜を中心に売っていて豚カツの弁当が300円と、安かった。
大体ホテルに着いたのが、3時半くらいで、風呂に入ったあとは眠くなったので、6時くらいまでゴロゴロしてた。
そのあとは豚カツ弁当を食べて、しばらくスマホとか見てゆっくりと過ごした。
ホテルは部屋を間違えてとったようで、恋人が一緒に寝る用のベットみたいで、部屋には一つしかベットがなかった。
仕方なく二人で並んで寝転んでみると、O君との距離も結構近くて、ちょっと面白かった。
昨日今日と割と動き回ったので、少し疲れたが、いよいよ明日から無人島ということでより一層ワクワクしてきた。
自分のやりたいことが全部できるように頑張ろう。

三日目
朝は5時半くらいに起きた。
今日もぐっすり眠れたわけではないが、疲れはある程度取れた。
何しろ、今日から無人島生活が始まるので、ワクワクしてそれどころじゃあない。
YouTubeとか見てると6時半くらいにO君も起きてきたので、急いで準備し、ホテルを後に。バスターミナルまで少し歩き、バスへ乗り込む。大体2時間くらいバスに揺られ、経由地まで到着。バスの中では本を読んでいた。
もってきた太宰治の「グッドバイ」は短編集のようなものなので、読みやすい。
読みやすそうな部分だけを飛ばしながら読んだ。すごく好きな文章が何個か見つかった。
バスを降りると、タクシーのおじさんに勧誘された。
なまりがすごいのか、何を言っているのかがあまりよく伝わらない。
おそらくタクシー乗って乗って!使って!という感じの勧誘なのだろうが、イマイチ何を言っているのかが分からなかった。外国に来たみたいな気分だった。とりあえずタクシーを使う予定はないので断ってO君だけが買い出しへ。僕は荷物を見張っていた。
バスで港前まで行き、そこから少し歩いて漁港へ。チャーターした小型船に乗り込みいざ無人島へ。

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この船乗ってる時間がめちゃくちゃ好きで、ずっとドキドキしてた。
頬にあたる風が心地良い。
無人島に着くとまずは荷物下ろし。
この荷物下ろしと拠点と決めた場所まで荷物を運ぶのが非常にしんどい。
行きの荷物運びと帰りの荷物運びが一番しんどい仕事ではあるんだよな。
結構ゴツゴツしたサンゴ礁みたいなところで下ろしてもらい、対岸の砂浜地域まで移動。
まずは島をぐるりと一周してみる。
サンゴ礁っぽいゴツゴツした岩盤地域と、砂浜地域の二つに分かれていて、砂浜地域の木陰をとりあえず拠点とすることに。
サンゴ礁の地域はサンゴが尖っているため、転ぶと間違いなく怪我をするから、気をつけようという話をした。
荷物を入れる用のテントを張り、荷物を入れる。
少し離れたところにちょうど良い木陰があったので、そこに拠点を作ることに。
ご飯は十分にもってきていたので、余裕があり、家づくりに本気を出すことができた。
まずは程よい木を何本か持ってきて、Aフレームを作る。
基本的に穴を掘って立てかけるだけだったのだが、Aフレーム式の拠点を作るのは初めてだったため、少し時間がかかった。
土台ができたので、次は床を作っていく。
この無人島では、夜行性のハブが出る可能性があったため、高床式の家にすることに。
地面から1メートル程度離した位置に床を作っていく。
落ちていたロープで結んでいく。
まだロープワークも慣れていないが、やっていくうちに少しずつ結ぶスピードが上がっていくのを感じた。
こうしてなかなか良い感じの拠点ができた。

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拠点作りの最中、少し行き詰まっていて海も干潮を迎えていたので、少し海に出ることに。
潮溜りが結構できていて、その中を何かいないかなあと思って探していると、なまこみたいな生物がいた。
試しにモリで軽く突っついてみると、少し小さめのウツボで、驚いた。
穴に逃げられてしまって捕まえることができなかったのは残念だが、こんなに浅瀬にもいるんだなぁと思った。
拠点への道を整備したり、拠点に続く階段を作ったりしているうちに日は暮れてきて、あっという間に夜になった。

今日は僕がテントでO君が作った拠点で寝るのだが、心配だ。
テントですら少し怖くてよく眠れそうにはないというのに。
それにしても、ここ3日間は正直ほとんど眠れていないような気がするので、少し体調を考えながら行動しないとな。
O君も今日は結構動いていたので、明日少し心配ではある。よく様子を見とかないとな。
夜、テントの中では無人島に落ちていたロープをほどいて糸にしたものと、落ちている穴あきの貝殻を使ってネックレスを作っていた。
明日は釣りとかモリ付きなどの漁を中心にする予定なので、結構体力を使うはずだ。
今日ぐっすりと寝て明日に備えよう。

今日は拠点作りを中心に活動した。飯を持ってきている分心に余裕が生まれる、少し手間のかかることでもやってみようと思える。
最高の拠点ができているので、また明日以降どんどん追加していってクオリティーの高いものを作ろう。やる気が出てきた。

4日目
無人島生活で言うと2日目にあたるが、朝起きた感じだとなかなかしんどかった。
昨日動きすぎたせいか、体が少しだるい。
今日1日が少し心配になる。
O君も作ったAフレームの家で過ごしていたせいか、満足に寝れていないようだった。
お互いしんどい中とりあえずお湯を飲むことに。
お湯を飲むと体が少し温まって、残ったお湯で顔を洗うと、少し目が覚めた。
今日は朝から雨よりの曇りみたいな天気で、(昨日の夜はテントの中でも長袖長ズボンで生活するくらい寒かった)
漁はできそうにもなかったので、釣りをすることに。
丁度良い岩場があったので、そこに釣り糸を垂らす。
途中、結構大きいブダイのような魚が二匹いたので、これはもしかすると魚釣れるか!と期待するもの何もゲット出来ず。
一度釣りは諦め、ドローンの撮影をすることに。今回は友人からドローンを借りて持ってきていて、良い感じに晴れてきたので無人島の風景をドローンで撮影。
ドローンの起動方法などはO君が友人から教えてもらっていたのだが、なかなかうまくいかず、LINEでリアルタイムで教えてもらうことに。
LINE電話は通じなかったので、テキストメッセージでやりとりするのだが、途中で電波が悪くなったり、こちらからメッセージが送れなくなったりしてトラブルが多発。
なんとか時間をかけて問題点を理解し、ドローンを飛ばすことができた。
なんか感動したな。
動画を撮って見てみると、すごい綺麗な映像が撮れていた。
海も綺麗だし、自然も豊かな島だったので、ドローンによる撮影が映える。
朝からあんまり元気のない僕達だったが、撮影したことによって興奮して元気も出てきた。
少ししんどい時とかに、小さな成功体験によって元気になるみたいなことは往往にしてある。
昼の十一時くらいだったので、少し早めだが昼飯を食べることに。
たくさん動くと、その分食べなければいけない。
昼飯を食べて元気が出てきたので、基地の屋根づくりに取り掛かる。
昨日はブルーシートで屋根を作っていたが、それだとホームレス感が否めなかったため、生えてたオガサワラタコノキという植物の葉っぱに穴を開けてを麻紐に通し、それを繰り返すことによって屋根や壁を作ることにした。
オガサワラタコノキの葉っぱにはトゲが多く付いていて、油断するとすぐに指や腕にトゲが刺さってチクリとする。針で刺された時のような痛みが伴うので、慎重な作業が必要だったが、結果的に指はボロボロになってしまった。
小さい擦り傷は数え切れないし、指と指をこすり合わせるとなぜだか少し痛い。おそらく目に見えない小さな傷も多くあるのだろう。
なかなかの作業量だったので途中で中断し、漁に行くことに。
潮がひいていて、すごく遠くに行かないと水がないような状態だった。
遠浅の海だからだと思われる。
火星のような大地を歩いて海まで。
海は思ったよりも冷たくて、長時間入るのは不可能だった。
O君が持ってきたフィンをつけさせてもらったりして泳ぐ。
やっぱり怖い。
シュノーケルをつけて海に浮かびながら遠くの方を見ると、青黒いような海が広がっていて、恐怖を覚える。
足のつかないところに行くのは到底不可能だったので、脚の着く範囲でゆったりと泳いだ。楽しかったが、寒すぎてすぐに上がった。
海から帰ってきたあとは、火を起こすことに。
ガスバーナーを持ってきていたので、火を起こす必要もなく、2日目まできたが、いよいよ火を起こすことに。
メタルマッチを使っての火起こしも慣れてきたので、簡単に着くだろうと思っていたのだが、意外とつかない。
この島には細い枝がほとんどなく、あっても漂流物の竹程度だったので、漂流物の大きい板を剥がしたり、ナタで細い木を作って火起こしをした。
加えて、無人島に行く前日が雨だったため、木も多少湿っており、苦戦した。
1時間くらいかかってようやくつけることができた。
やっぱり火があると落ち着く。
暗くなって、あとは寝るしかないけどまだ眠くない、みたいな暇な時間に火があると落ち着くし、火の管理をするという暇つぶしもできる。
広島にある無人島に行った時には、砂浜で寝転がりながら、時々起きては火の管理をし、また寝てを繰り返していた。
昨日からO君とちょくちょく別行動(そもそも寝る場所が別なので別行動になる)
をとっているが、心地良い距離感になっている。ずっと一緒にいるとしんどいこともあるので、丁度いい距離感が保てている。
8時にはもう暗くなったので、僕はAフレームの家へ。
ビール箱の椅子に座って、こしミノをずっと作っていた。
少しするとO君が僕の方へきて、そのまま長い間話した。
そうこうしているうちにこしミノも完成。
明日実際に装着してみることに。
楽しみだ。
作ったAフレームの床は結構安定していて、寝心地が良かった。
昨日は雨が降っていたのでブルーシートをかけていたが、夜は晴れていたのでブルーシートを外して寝た。
上から何か落ちてくる恐怖は少しあったが、開放感があり、風通しも良く、気温も丁度良かったので、そのまま外して寝ることに。
寝転んだ状態で上を見ると、オガサワラタコノキの葉っぱの影が万華鏡のようになっていてすごく綺麗だった。
まだ少し明るい空と黒いシルエットの葉っぱが重なって、いい景色だった。
夜は少し寒くて、焚き火でお湯を沸かし、ラーメンを作って食べた。めちゃくちゃうまい。
食べ終わってさあ寝ようかなというところで雷の襲来。

夜、3時くらいに雷が鳴り始めた。
最初はなんかチカチカ光ってるなあという感じで、雷とは気がつかなかったけれど、あまりにもチカチカ光っているので、拠点を出て砂浜まで出てみると、おそらく雷だと思われる光が見えた。
実際には音は聞こえず、光が雲越しにみえる程度のことなのだが、何しろ光って次の光が見えるまでのスパンが異様に短くて、3秒に一回くらい光のチカチカとしたものが見える。
幸い、音は聞こえないので結構遠いところで光っているとは思うのだが、夜でも砂浜がはっきり見えるくらい光るので、恐怖感があった。
雲の流れから見るとおそらく雷はこちらには来ないだろうと予想できたけれど、やはり怖い。
雨はあまり降っていないので、拠点には戻らず、とりあえず砂浜に移動して様子を見ることに。
雷を眺めていると急に雨が降ってきて、急いで荷物をテントに入れ、自分たちもテントに入る。
急に雲の流れも変わり、遠ざかっていた雷雲も一気にこちらへやってきた。
風の流れが変わったなと思ったら本当に一瞬で天気が悪くなった。
豪雨といっても過言ではない(後々警報も出るくらいの大雨)雨が僕らを襲い、びしょびしょ+荷物も濡れてしまうという最悪の事態に。
テントの中もすでに結構浸食していて、テントの中にまで水が入ってきている。そのあとはただただ耐えるだけの時間だった。
正直言って最悪の気分だった。
体は濡れていて寒いし、荷物と人が二人いるのでテントの中は狭いし、雷も繰り返し鳴っていたので怖い。
とにかく耐えるだけの時間は辛かった。
最初は木の下を避けて砂浜にテントを移動させ、その中に入っていたのだが、雨風を全く凌げず、仕方なく元の木の下に戻ることに。
木の下は雷が落ちてきそうな気がして、より怖かった。恐怖との戦いだった。
天気が落ち着いてから調べてみると、この島に雷が2、3個落ちていたらしいので、一歩間違えると僕らの上にも落ちていた可能性は充分にあった。
雷が光るたびに当たらないように祈っていて、精神的になかなか辛いものがあった。
大体5時間くらいテントの中で体操座りのような体勢でいたせいで、腰が非常に痛い。
とにかく苦痛だったというのが伝わると幸いだ。今までで一番辛い体験だったかもしれない。
そんなわけで地獄みたいな時間を過ごし、朝を迎えた。


5日目
最悪の朝だった。
そもそも寝ていないし、小さいテントの中で体操座りをしてひたすら時間が過ぎるのを待っていた。
外に出れる程度の雨になったときは助かったと思った。
今日も一日中雨になる可能性だって充分にありえたから、不幸中の幸いと言えるかもしれない。
小雨になったのでテントから出て、帰る準備を始めた。
どうやら明日もひどい雨になるらしく、明日帰る予定だったのを変更して今日帰ることにした。
少し、いや、相当残念な結果になってしまったが、仕方がない。自然には誰も逆らうことができないのだ。
ちなみに、過去3回無人島に行っているが、その3回とも雨や台風の影響で早めの終了となっている。僕がO君のどちらかがえげつないほどの雨男なのだろうか。
色々汚れていたり濡れていたりしたので片付けが億劫になるが、(しかもたまに小雨が降ってきて、小雨が急に大雨になる可能性もあるので、その度に避難する準備をしないといけない。)
急いで帰る準備をした。
ちょくちょく雨が降っていたものの、船に乗り込む時には止んでいて、そこはラッキーだった。
荷物を積み下ろし、来た時と同じような順序で帰る。

一番最初に有人島に戻って思ったことは、マスクってしんどいなということだった。
急遽無人島のテントの中で予約したホテルまで行く。
途中マックスバリューに寄ってアイスとパンを買った。買ったアイスを食べたのだが、このアイスがとんでもなく美味しかった。
ホテルに到着したと思いきや、同じ名前の、予約してたところとは別のホテルに行ってしまい、20分くらい重たい荷物を持って歩くことに。とほほ、、、
しばらく歩いて、やっと着いた。
値段が高そうなところだったが、一人2千円と、意外に安い。
どうやら昨日オープンしたばかりのホテルみたいで、とても綺麗だった。
受付の人も新人ばかりがいるのか、みんな緊張しているようで、動きが固く、空気が少し張り詰めていた。
二つベットがついてる部屋を予約したはずが、三つもベットがあった。
多分ホテルの人の間違いで、ベットが三つある部屋に案内されたのだろう。
夜はフリースペース的なところでリラックスして過ごした。
ソファーでくつろぎながら、お菓子を食べる。
眠気もピークにきていて、(そりゃそうだ。この4日間どの日もろくに熟睡できていない。)
気がついたら眠っていた。


6日目、
目を覚ますと朝の6時くらいで、熟睡できた。一回も目を覚ますことなく起きた。8時半まで二度寝を決め込み、ゆっくりとした朝を迎える。
昨日の食べかけパンとコーヒーを朝ご飯に食べる。
だいぶゆっくりとホテルで過ごして、チェックアウトできるギリギリの11時近くまでホテルで過ごしたあと、レンタサイクル屋に行って自転車を借り、サイクリングをすることにした。
1日千円で借りれて、結構安い。
沖縄はホテルもそうだけど、物価とかも結構安いので、お金をあまり持っていない僕でも充分楽しめた。
久しぶりに自転車に乗ったような気がしたけれど、やっぱ自転車気持ちいいなぁ。
とりあえず自転車で瀬長島というところに行く。
島自体を観光地帯にしており、観光者用のショップがたくさん並んでいて、面白かった。
建物が白を基調にしており、統一感があって綺麗だった。あいにく曇りだったが、晴れだったら海もめちゃくちゃ綺麗で映えるだろうなあと思った。
そのあとは近くのあしびなーというショッピングモールに行ってお土産などを見た。
お昼はそこにあるA&Wで食べた。
そんなに好きじゃないと言っておきながらもなんか無性にルートビアが飲みたくなって、ルートビアをドリンクで注文した。
おかわりが無料だったのでおかわりしてしまい、美味しかったが、お腹がタプタプになった。
まだ帰るには時間があったので、美らSUNビーチまで行った。
いい雰囲気のあるビーチで、人が結構いた。
そういえば土曜日か。人も多いはずだ。
海に入っている人も大勢いて、楽しそうだった。
ベンチで休憩しつつ色々なことを話した。
帰り道は道を覚えているだけあって早かった。
自転車をお店に返し、国際通りをぶらぶらと歩く。
安いお土産屋さんがあったので、そこで色々お土産も買った。
そのあとは国際通り沿いにあるご飯屋さんで
ソーミンタシヤーという料理を食べた。
これが結構美味しく、簡単にできそうなので家でも作ってみたい。
道を間違えたりはしながらもホテルに到着。
部屋に行ってみると、ベットが、ない。
O君の母親がこのホテルを予約したらしいのだが、ちゃんと予約できてなかったらしく、部屋には一人用のベットしかおいてなかった。
二日目に引き続き、一緒のベットで寝ることになりそうだ。まあ、別に構わないけどね。
一階のフリースペース的なところではドリンクが飲み放題で電子レンジも使えたので、ずっとそこにいた。
O君とだらだらと深夜ー時まで喋ってた。
無人島から帰ってきてすぐにも関わらず、次の無人島の話でもちきり。
次は家島諸島にある黒島に行ってみようという話になった。
黒島編ではみんなも誘って大人数で行ってみようという話にもなり、誰を誘うかや、何人で行くか、大人数の場合何ができるかなどを考えた。
スタッフとして裏方にまわる案も出た。
ミッションとか考えてみても面白そうだな、
その場合下見とか要りそうだけど。
フリースペースで話し込み、部屋に戻ってしばらくスマホ見てダラダラした後、寝た。

7日目
狭いベットだったからか、そんなに良くは寝れなかった。
2時くらいに寝て4時15分に一度起きてトイレに行った後、5時半に寒くて起きてトイレに行った後、(昨日ジュースを飲みすぎた。)8時半くらいに目覚めた。
普通にホテルをチェックアウトして、牧志駅まで徒歩で向かう。
随分前からスーツケースのタイヤ部分が破損しているけれど、(鍵部分も破損していて、鍵がかからない状態になっている。)扱いにも多少慣れてきて、荷物も軽くなっていたので、そんなにしんどくはなかった。
ゆいレールで那覇空港まで行き、一通り手続きを済ませて飛行機に乗り込む。
帰りは行きよりも早く着いた、体感というよりは物理的に一時間くらい早かった。
無事空港に着いた。

今回の沖縄編は前回に引き続き、別の過酷さがあった。
前回は暑さや空腹に苦しんだが、今回は雨や雷の恐怖に脅かされた。
自然というのはやはり恐ろしい。
普段いかに自分たちが守られているかを実感する。
今回はしっかりした拠点を作ることができ、自分たちの成長も同時に感じた。

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