自己表現を「自分ごと」として取り組みを!
英語の授業でまとめの学習としてOUTPUT活動をよくさせます。まとめとして英作文を書かせたり、スピーチをさせたりすることが多いと思いますが、ただ単純に「自分の意見を書こう!」「自分の意見を言おう!」という課題提示をしていました。生徒はよく取り組んでいたと思いますが、低位の生徒はなんとなく食いつきが悪い気がしていました。なぜだろう・・・。
1 Hierarchy of Audience
あるとき、Hierachy of Audienceという考え方に出会いました。
Ron Bergerという学者が唱えた考え方です。
The most effective way to engage students in learning is to create an authentic audience; a sense that someome else ( besides teachers and parents ) cares about their work.
生徒を学びに関わらせる最も効果的な方法はオーセンティックな聴衆を作り出すことです。つまり、教師や生徒以外の誰かが生徒の作品に興味があるという状態を作るのです。
下から…
「教師からの要求を満たすために教師にプレゼンする」
「親にプレゼンする」
「学校のコミュニティ(教師や生徒)にプレゼンする」
「学校外の公的聴衆(いわゆる学校の地域の人)にプレゼンする」
「批判的な観点をもつ人(専門家的な立場の人)にプレゼンする」
「世界に働きかけるようにする」
この順で、生徒は活動に意欲を持って、またより深く関わろうとするということです。
何かを表現するときは必ず「相手」がいるわけです。その相手を誰に設定するかが大事なんですね。
私もそうですが、作文やスピーチをさせるときに、とりあえず「発表しよう」という指示を出しがちです。これは一番下の「教師からの要求を満たすために教師にプレゼンする」の状態で、生徒からしたら、なんのモチベーションにもならないわけです。
この考え方に出会ってから、OUTPUT活動では「相手は誰なのか」ということ意識して、活動に組み込むように心がけています。
実践例 〜Fair Trade Chocorate〜
中学校3年生でFair Trade Chocorateについて学ぶUnitがあります。そこでまとめの活動として、次のような課題を出しました。
「あなたは外国人の友達とスーパーマーケットに買い物にしました。そこには普通のチョコレート(100円)とFair Tradeのチョコレート(200円)があります。中身は全く同じです。外国人の友達は普通のチョコレートを買おうとしています。その外国人の友達にFair Tradeチョコレートを買うように説得しなさい。このUnitで学んだ事実を入れること。
すると下位の生徒も含めて、まとめのOUTPUT活動に対する食いつきが違うように感じました。また友達がどんな説得をしているかとても気にしているようでした。
さて、下が生徒の例です。
長文の中の英文を「相手を説得するために使うことができる英文はどれか」という観点で見直すことで、より頭の中に英文が残ると思います。ここでのaudienceは架空の「外国人の友達」ということで、Hierachy of Audienceでは下から3番目のTo present to the school communityに当たると思います。この活動も年度末のアンケートで「力が付いた活動」の一つとして人気でした。
こんなことができそう
さて、Hierachy of Audienceの一番上、to be of service in the worldはどのようにしたらいいのでしょうか。
大学で教えている嫁と話し合ったところ、次のようなアイデアが生まれてきました。
(1)フェアトレード製品を買うことを勧めるようなパンフレットやポスターを作成し、フェアトレード製品を扱っているお店に飾ってもらう。
(2)フェアトレード製品を買うことを勧めるWeb Pageを作成し、Fair Tradeを一般の方にも知ってもらうような取り組みをする。
こんなことができれば、生徒は課題を「自分ごと」としてとらえ、Fair Tradeの裏に隠された問題点や実現方法を調べたり、実際に製品を購入してもらうためにはどんな工夫をするべきか考え始めるのではないでしょうか。あれ、これってPBL(Project Based Learning)っぽいよなあ・・・。
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