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歌舞伎『義経千本桜』「渡海屋」「大物浦」(Aプロ)

2022年10月10日、国立劇場にて、『義経千本桜』のAプロを観ました。
その内、「渡海屋」「大物浦」の場について記載します。「鳥居前」は別途記載予定。
両場において、尾上菊之助さんは、平知盛(渡海屋銀平)を演じられていました。

■渡海屋の場
・摂津国大物浦にある船問屋の渡海屋。主人の銀平(実は平知盛)、女房のお柳(実は典侍の局)、一人娘の安子(実は安徳帝)の設定。
・後半、銀平が、平知盛として、純白の狩衣に鎧をつけて登場します。

■大物浦の場
・ここら辺りから、私は舞台釘付けとなりました。
・まず、セットが良かったです。大物浦に臨む渡海屋の裏手。粗末な木造の建物(?)で、後半、御簾が上がると、海の向こうに、二、三艘の船が見えました。海の色も渋くて良かったです。
・前場とは異なり、典侍の局は十二単の姿です。中村梅枝さんが演じられていましたが、前場のお柳と違った高貴な雰囲気を漂わせ、すごく印象的でした。また、色の違う打掛を来た5人の女官が、平伏す場面や打掛を翻しながら入水する場面など、個人的には印象に残りました。
・義経方との戦は、相模五郎や丹蔵の知らせで、進行されるのですね。

・最後、平知盛が出てきますが、文字通り、満身創痍の出立でした。最後は碇の綱を幾重にも体に巻き、海中に投げ捨てた碇とともに沈んで行きます。
・私は、まだ平家の武将について、そこまで詳しくありません。しかし、平家物語の中の言葉を思い出しました。「見るべきほどのことは見つ、今は自害せん」。この言葉は、やはり平知盛でした。
・仏教の「三悪道」などについては、今後調べてみたいです。
・最後は、弁慶の法螺貝でした。

■その他、思ったこと
・今回、中村梅枝さんに注目しました。7月に歌舞伎鑑賞教室で観た『紅葉狩』の更科姫を演じられていた人だったのですね。あの時も注目しました。
また、中村萬太郎さんの実のお兄さんなのですね。萬太郎さんにも注目していましたので驚きました。歌舞伎俳優の人たちにも、理解を深めていきたいです。
・尾上菊之助さんが三役を演じ分ける舞台とのことでしたが、もちろん三役は性格が異なる三役ですが、性格というより、形の違いのようなものを強く感じました。性格を演じ分けるのは明治以降で、歌舞伎は形が重視されるのかもしれません。相対的な話かもしれせんが。
・安徳帝は、尾上丑之助さんでした。安徳帝は男性だったか、女性だったかの話も盛り込まれているようでした。

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