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パリデビューで、雛人形の価値を再認識

柿沼東光

雛人形のパリデビューで感じた新感覚。それは、雛人形は日本の伝統工芸を集結させたひとつの“プラットフォーム”という感覚です。

遡ること2015年1月23日。「コンパクトモダン」をテーマに製作した初モデル『四季(しき)』は、ご縁がありましてパリデビューを飾りました。デザイナー大沼さんからのオファーで、雛人形の超繁忙期に決まったことなので正直あまり内容は把握していませんでしたが、凱旋門を背景に雛人形の写真を撮れればなくらいに思っていました。

着いたのは、パリ・コンコルド広場近くにある「ラ・メゾン・クリストフル」。なんとシルバーウェアの代名詞、1830年創業「クリストフル」の象徴的なブティックでした。

18世紀を代表する大ブルジョワ、モイーズ・ド・カモンド伯爵の個人邸(現在はニッシム ド カモンド美術館)の内装と同様、非常に贅沢でその趣と空間美に背筋がピンとなりました。

参加したのは「Meet My Project」という世界中から選ばれたデザインプロダクトの展示イベント。会場は「ラ・メゾン・クリストフル」の2Fでした。とにかく天井が高い高い。2Fは外光が最も美しく差し込むフロアであり、天井が高ければ高いほど部屋を暖めるのにお世話をする人が増え費用が増える。当時、2Fの天井の高さは富の象徴だったそうです。

その名残を残した非常に豪華な2Fで、『四季』をお披露目させていただきました。

記念パーティーの様子がこちら。残念ながら『四季』は写ってないのですが、当日の雰囲気は感じとっていただけると思います(出展者クレジットは、ATSUSHI ONUMA)。

『四季』は、7つの伝統工芸を集結させたプレミアムコンパクトな立雛人形。雛人形のルーツである立雛という格式高い姿を見ながら、パリに集まった方々に説明をすると「ひな祭りという文化を知らなかった、新鮮!」「雛人形を囲って家族が集うなんて素晴らしい」と貴重な反応をいただきました。

日本の伝統工芸を駆使し製作した雛人形を、日本のお客様にお届けする。これがずっと当たり前でした。しかし、実際にパリに来て有識者の方々に見てもらい、この“当たり前”がとても誇りに思えることだと感じました。日本の代表としてこの場に来させていただき、7つの伝統工芸の歴史と職人の技術・想いを背負っている視点を得ることができました。客観的に雛人形の価値を再認識し、身が引き締まりました。

伝統を守りながら新しい創造にチャレンジする、柿沼東光の「クラフツマンシップ」。同時に職人たちのクリエイティビティを刺激し続けたい。パリデビュー体験が、私たちの原点となっています。

(書き手) 柿沼東光 編集部

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