かわいいサイエンスイラスト 2022年
今日の文献はかわいいキャラクターがアウトリーチにどう貢献するのかをまとめてくれている文章です。論文ではないけれど、心理学的にも言及していたのでメモしておきます。
※以下、ざっくりメモです
※参考文献の話と私の私見が混ざります。ご注意を…!
サイエンスのイラストはどんなものか
科学読み物の中で、あるいはアウトリーチの機会にイラストをどう制作するか。私の場合はこんな感じで制作します。
・対象の定義や説明、過去にビジュアル化された例について調べる。
・ひとまず形にする。イラストにする。
・イラストに入れ込みたい要素を絞る。不要な装飾を消す。
イメージは記号である
今回の参考文献では、イメージのことを記号学を引き合いに出しながら「記号」であると説明していました。これを意識して上の制作ステップを書き換えるとこんな感じになります。
・元々の参照元について理解する。
・参照元を単純化し、記号にする。
(ここで誤解を招く特徴を追加しないことが大切)
例えば、電子のイラストで考えてみます。電子を初等的に説明するなら、「負の電荷をもった粒子」という要素は外せません。電子には他にも「原子核を構成する」「波としても振る舞う」「素粒子の一種」など、文脈によって重要な面がたくさんありますが、そこは一度取り除く。記号にするにはそういったことが(たぶん)必要です。というか、その一面を表す記号をつくることで、コミュニケーションが少し単純になります。
かわいさの追加
かわいいイラストにする場合は、さらに顔を入れてかわいさを出したり、線の感じでゆるさを表現します。電子のイラストで言えば、最後に目と口をかき入れたり、イラスト全体を手描き感のある線で描画します。これはつまり、単純化した記号に、擬人化などの要素を追加しているということです。
なるほどかわいいサイエンスイラストは、このような要素から成り立っているわけです。
記号 + かわいさを演出する新たな備品
なぜかわいさが重要なのか
かわいいサイエンスイラストがサイエンスに関するコミュニケーションで使われる理由。なぜかわいいイラストを描いてしまうのか、そしてかわいいサイエンスイラストは好評なのか…それは多分、かわいさに情報伝達上の機能があるからです。
かわいいものは目を引きます。目を引くだけでも重要です。参考文献によると、その理由は、サイエンスに関する情報はTwitterやYouTubeなど、他に競合する刺激の多いプラットフォームで発信されているからです。読者を楽しませることもでき、他のメディアとの競争力になりえます。
また、擬人化によるかわいさは共感をもって対象と向き合い、対象を理解する助けになります。擬人化はある種の「ふりあそび」(playing pretend)であると参考文献では記されています。電子に顔があるでしょうか。おそらくないのです。ないのですが、あるというふりをすることで電子の振る舞いを理解する助けになるのです。(ただ、有害な場合もあるので注意が必要です。特に生物の振る舞いを単純に擬人化することは避けたいと思っています)
かわいいイラストは人の興味を引き、理解を助ける。だからかわいさが重要…というわけです。(興味を引き理解を助けるならかわいさではなくてもいいと思います。かっこよさ、壮大さ、美麗さなど… ただ私が何か作ろうとすると大抵かわいいものになってしまうのです泣 本当はかっこいいものとか大好きなのだけど)
まとめ
かわいいサイエンスイラストは、元の対象を表す記号とかわいさを演出する要素から成り立っている。かわいさは人の関心を集め、理解を助ける点でサイエンスに関する情報伝達に有効な機能をもっている。
*こうしたイラスト制作をすることで、対象への理解を深めることができることについても参考文献で一部言及されています。もっともだと思います。「医療マンガ大賞」のような、科学や医療に関する作品を作る機会、作家さんたちが増えると、作品のテーマとなるものに対する理解のある方が増えそうなので、嬉しいなと思っています。
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