ヴィンテージ:Doomsdayの変遷

皆さん、こんにちは、あるいははじめまして。添削です。


最近ヴィンテージにおけるDoomsdayの活躍が目覚ましく、MOの5-0リストで毎週のようにデッキが載るほどになりました。
ヴィンテージを始めてからずっとこのデッキを使い続けてきたDoomsday愛好家としてこのような状況はとても感慨深く思ってます。(とはいえまだヴィンテージ歴四年ほどの者なのですが・・・)
さて、そんな若輩者の私ですがこの短いヴィンテ人生、常にDoomsdayのことを考え、ともに歩んできました。
本日はそんな私と、私の愛機とその愛機を取り巻く環境がどのように変化し、今日活躍するまでに至ったのかを私なりに考え、見てきたものをまとめてみようかと思います。
少々長くなるかもしれませんがお付き合いよろしくお願いします。


1.2016年のDoomsday


ヴィンテージプレイヤーとしての私が誕生したのが2016年のため、これ以降のことについて語る。
まずは当時のデッキリストから。

サンプルDoomsday(ガッシュ・ギタ調制限前)

土地15
沸騰する小湖2
霧深い雨林2
溢れかえる岸辺2
汚染された三角州4
Underground Sea4
島1

クリーチャー1
研究室の偏執狂1
アーティファクト4
Black Lotus1
Mox Jet1
Mox Sapphire1
水蓮の花びら1

エンチャント1
ネクロポーテンス1
スペル39
思案1
定業3
強迫2
ギタクシア派の調査4
悪魔の教示者1
最後の審判4
苦悶の触手1
渦まく知識1
精神的つまづき3
Ancestral Rrecal1
暗黒の儀式4
狼狽の嵐2
吸血の教示者1
神秘の教示者1
ヨーグモスの意志1
噴出3
意思の力4
時を越えた探索1
宝船の巡航1


ガッシュが3枚、ギタ調が4枚採用されており、3~4ターン目にDoomsdayが通りさえすればピッチドロースペルからガッシュにつなげることができるため速度と安定性の面でかなりの強みを持った構成だった。

この当時のメタはMUDとメンターの二枚看板を軸に、次いでデルバー、オース、テゼレッター、ドレッジ、ランドスティルそして新興勢力のエルドラージという様相だったと記憶している。
マナ拘束とライフへの圧力を同時にかけてくるMUDやエルドラージには後れをとるもののその他のデッキに対してはフィニッシュスピードと妨害カードの数で優位に立てるため、数の多いMUDに対して対策カードを厚くとることで勝率を安定させていた。

2.カラデシュ技術による革新


『アーティファクトをテーマにしたセット』カラデシュ、続く霊気紛争に収録された新カードの数々はアーティファクトを中心に周るヴィンテージの世界に様々な革新をもたらした。
2020年現在ヴィンテージ界の王者として君臨するデッキの看板、逆説的な結果が誕生し、鋳造所の検査官、高速警備車、歩行バリスタの収録によりMUDを大きく強化された。
そういったメタの中、Doomsdayの中にはメイン三角エイの捕食者を採用するタイプのものも見られた。
https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/35275/show/

Doomsdayはコンボデッキでありながらコントロールデッキのような側面があるため一見デッキ性質と相反するように見える三角エイの捕食者の採用は悪くなかった。
当時はアメジストのとげが制限前だったため一直線にコンボを目指すよりも三角エイと自然の要求を絡めて盤面を制圧するという戦い方の方がMUDに勝ちやすく、また同時にアーティファクトデッキである逆説にも効果的だった。


3.メタからの転落


2017年4月24日、噴出およびギタクシア派の調査が制限リストに加わる。
これは当時メンターとMUDの2強だったメタを崩すために行われた措置だったのだがDoomsdayはこの両方のカードが核になっており禁止改定の直撃を受けた結果メタ上からその姿を消してしまう。

しかし私はまだこのデッキへの愛着があったこと、勝てる可能性があると実感してたことから調整を続けていくことにした。


禁止改定直後のDoomsday

土地15
汚染された三角州4
溢れかえる岸辺4
Tundra2
Underground Sea4
島1
クリーチャー1
研究室の偏執狂1
アーティファクト6
Black lotus1
Mox jet1
Mox sapphire1
水蓮の花びら1
師範の占い独楽3
ソーサリー16
思案1
断片化1
定業3
強迫1
ギタクシア派の調査1
Time Walk1
Demonic tutor1
商人の巻物1
天秤1
最後の審判4
苦悶の触手1
宝船の巡航1
インスタント23
剣を鍬に2
渦まく知識1
精神的つまづき3
Ancestral recall1
暗黒の儀式1
狼狽の嵐2
吸血の教示者1
神秘の教示者1
ヨーグモスの意志1
伝国の玉璽1
噴出1
意思の力4
時を越えた探索1


Doomsday後の始動の役割を果たしていたガッシュの穴を独楽で埋め、独楽をDoomsday後のドローのみならず通常の状態でも生かすためにコントロール寄りにした構成。
今までは3Tで勝てたもの(※pile1)が独楽になることで追加で1マナ多く要求されてしまい(※pile2)速度が落ちた。

画像1

画像2

4.アメジストのとげ制限の影響


2017年9月1日アメジストのとげ、僧院の導師制限リスト入り。
これまで長い間ヴィンテージ環境を支配してきた2デッキ、MUDとメンターの二つを狙いうちにする改定が行われた。

これによってメンターというデッキは消滅し、より速度を落としたジェスカイコントロールという形に変化した。

MUDはアメジストの制限された当時、二つの型が試されたように思える。一つはアメジストのとげの穴を絡みつく鉄線や無のロッドなどで補完した従来のようなマナ拘束を主とした形。
もう一つはカラデシュの発明品の後押しを受け、強力な攻撃力を武器に前のめりに相手のライフを詰める攻撃型のアグロショップと呼ばれる形である。
現在のアーキタイプを知っている皆さんはご存知の通り、時代に選ばれたのは攻撃型のアグロショップ、今でいうラべジャーショップという型のデッキだった。
アグロショップはDoomsdayのように「デュアルランドを並べ」「コンボに際し多量の呪文を唱える必要があり」「ライフを守る手段に乏しく」「バリスタの本体火力で容易に飛ばせるライフに勝手に落ち込む」デッキには鬼門というようなデッキであった。
アメジストのとげが制限はされたもののMUDとの相性差は改悪し、さらには使用者も多数いるデッキだったため私は長い間このデッキに苦しめられることになった。


5.対青用デッキへの移行


アメとげ制限後しばらくの間Doomsdayは特に得るものも失うものもなかったが世間では動きがあった。
破滅の刻に収録された虚ろな者によって新たなデッキタイプ、サバイバルが生み出され、ドレッジは墓地を介さない強力なクリーチャーを手に入れ、そして相対的にデルバーの立ち位置が悪くなっていった結果、攻撃的なデルバーよりも守備的な若き紅蓮術師デッキが増えていった
武漢氏の「デルバー史」参照

また、その後に出たラヴニカの献身に収録されたアゾリウスの造反者、ラヴィニアは当時勢いを増していた逆説的な結果な結果ストームに効果的だったため青系コントロール、逆説的な結果ストームの両方に備えられ頻繁に目にするようになった。
ここで私はラベジャーショップへの相性差が改善しないこと、青いデッキの割合が多かったこと、ラヴィニアに対する回答が欲しかったこと、そして前述のデルバーが若き紅蓮術師型に移っていったことからより長期戦デッキを意識した対青仕様のDoomsdayに転向していった。


タッチ赤Doomsdayリスト

土地16
汚染された三角州4
霧深い雨林2
沸騰する小湖2
volcanic island2
underground sea4
島1
沼1

生物1
研究室の偏執狂1

アーティファクト7
水蓮の花びら1
Black lotus1
Mox sapphire1
Mox jet1
師範の占い独楽3

エンチャント1
ネクロポーテンス1
スペル35
精神的つまづき4
ギタクシア派の調査1
渦まく知識1
思案1
定業3
神秘の教示者1
吸血の教示者1
強迫1
思考囲い1
Ancestral recall1
暗黒の儀式3
撤廃1
商人の巻物1
Demonic tuter1
Time walk1
最後の審判4
ヨーグモスの意思1
意思の力4
宝船の巡航1
時を越えた探索1
噴出1
紅蓮破1


6.ヴィンテージ界の混乱


2019年。新セットのカード加入ではあまり動きがないこのヴィンテージ界にすら大きな混乱をもたらした2つのセット、灯争大戦とモダンホライゾンが発売された。

活性の力、溜め込み屋のアウフによって長らくヴィンテージの先頭に立っていた従来のMUDは駆逐され、そのMUDは大いなる創造者、カーン、続くM2020で収録された神秘の炉を中核としたカーンショップへと転生し、青いデッキは覆いを割く者、ナーセットを中心に周っていくようになった・・・と思ったのも束の間、大いなる創造主、カーン、神秘の炉、覆いを割く者、ナーセットが制限リスト入り、新戦力によって大幅に強化されたピッチドレッジの弱体化を図りゴルガリの墓トロールと精神的つまづきの合計5種類のカードが制限リスト入りするなどヴィンテージ界はこの2つの新セットに大きく振り回された。

Doomsdayはこの混乱の中、大きい変化が2つあった。1つ目は神秘を操る者、ジェイスの加入である。
研究室の偏執狂はコストは軽かったもののジェイスの+能力は効果が大きく、5枚のパイルから2枚を取り除ける+1ドローで勝利条件の達成のしやすさ、パイルの自由度が大きくあがりデッキパワーが向上した(※pile3)(※pile3-2)。

画像3

画像4


2つ目はMUDの変化である。MUDがこの環境の変化の中、従来の攻撃型のラベジャーショップではなく、ゴロスショップという少し速度の遅いスタックス型に近いデッキになっていった。
このゴロスショップはラベジャーショップに比べるとライフを詰める速度が遅い為相性差がだいぶ改善された。

この環境の変化からDoomsdayは立ち位置が良くなっていき勝率は過去のものほどではないにしろ徐々に良くなっていき、ついには大型イベントのヴィンテージ神挑戦者決定戦で結果を残すデッキが現れるまでになった。
(参考:https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/249979/show/


7.舞い降りた神託


テーロスの還魂記に収録されたタッサの神託者はガッシュ制限によってDoomsdayが失った速度と安定性の両方をもたらすカードだった。いや、むしろ以前以上に強化された。

タッサの神託者はライブラリーを引ききることで勝つのではなく、能力解決時にライブラリーの枚数が信心以下で勝利となるため、(Doomsdayを打った時点で残り5枚のため)2枚以上カードを引いて信託者を出せば(何もなければ)勝ちとなる。このようなジェイス以上の軽い勝利条件を持つカードがたった2マナという軽さであったため速度、パイルの自由度が段違いに上がり(※pile4)(※pile4-2)、Doomsdayは一気にトップメタのデッキに名を連ねるまでになった。


MOで5-0したリスト

土地14
汚染された三角州4
霧深い雨林1
溢れかえる岸辺2
沸騰する小湖2
underground sea4
島1

生物5
タッサの神託者2
通りの悪霊3

アーティファクト5
水蓮の花びら1
Black lotus1
Mox sapphire1
Mox jet1
師範の占い独楽1
エンチャント1
ネクロポーテンス1
スペル35
精神的つまづき1
ギタクシア派の調査1
渦まく知識1
思案1
定業4
神秘の教示者1
吸血の教示者1
強迫2
狼狽の嵐1
Ancestral recall1
暗黒の儀式4
目くらまし2
蒸気の連鎖1
商人の巻物1
悪魔の教示者1
Demonic Consultation1
Time walk1
最後の審判3
ヨーグモスの意思1
意思の力4
時を越えた探索1
噴出1

画像5

画像6

なお、Doomsdayは構築自由度が高いため5-0した純正2色のリストのほかにも夏の帳や突然の衰微のために緑をタッチしたタイプ(https://www.hareruyamtg.com/ja/deck/273555/show/)や紅蓮破のために赤をタッチしたタイプなどで結果を出したリストもあり、メタに合わせてチューニングできる柔軟性があるためいろいろな構築を試してほしい。

今日のDoomsdayの活躍にはタッサの神託者の影響が大きいのはもちろんだがメタ的な立ち位置の良さもあると思っている。
最近の新セットのカードパワーの高さを見るとこのトップメタ入りも一瞬の夢で終わってしまうかもしれないとも考えてしまうがDoomsdayには必須カードの少なさという大きな特性があるのでこれからも時代に合わせて柔軟に変化し、長く生き残っていくことを期待したい。




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