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ウェブメディア底の時代を乗り越えて / 2019年Huuuuの仕事振り返り

目、死んでますか?

人生の修羅場を経験すると目の光の反射率が下がり、少しずつがらんどうのビー玉みたいな黒目になるんじゃないかと10年以上考えています。ポジティブなやる気があっても光が届かない領域。どんな環境で育ち、なにを見続けるのか。これは人生の暇つぶしである「仕事」も同じだと思っています。

令和1年。元号が変わり、消費税は10%へ。政治も経済もゴシップまみれの諦めにも似た気持ちに包まれた情報に日々浸け込まれているわけですが、Huuuuの生業である「ウェブメディア」も難しい時代に突入しました。

不景気とオリンピック直前。相反する要素が東京の足場をグラグラと揺らし、いまにも腰が抜けそうな状況じゃないかと思っています。な〜んだか、感情の矢印がチグハグなんですよね。みんな向いている方向が違う。不安だから仕事の領域を広げる。効率よく企業の欲を満たす、コスパ思考の何かが量産され続けている印象です。

近くへ、早く。誰もが気づいたら自分たちの仕事の首を締め続けているような感覚すら覚えて「お、おれも早く近くのゴール目指して、短期的に走らなきゃ!」と動き出したくなる衝動に駆られます。

こんな時代だからこそ「ゆっくり、いそげ」

今年読んだ本で一番刺さったのが、西国分寺のカフェ「クルミドコーヒー」を手がける影山知明さんの『ゆっくり、いそげ』です。2015年の本ですが、2020年に読むとより理解度が上がりそう。資本主義、信用取引、お金の価値観、店舗商売、場所作りなど、これからの時代を担うキーワードを4年前に言語化し、仮説検証の実践を繰り返している影山さんがすごすぎる。

ウェブメディアもまた「ゆっくり、いそげ」な軸足を持っていないと、世の変化にあっという間にのみ込まれてしまう。資本力があろうが、なかろうが。人間1人が、会社1社が、踏ん張って抗い続けることの難しさが際立っていくんじゃないかと感じています。「不安」に行き着くまでのルートが増えすぎていて、だれもがいとも簡単にたどり着いてしまう怖さ。大企業が大量解雇に踏み切っているのもそうだし、フリーランスやギルドの雇用形態が拡大するのもそのひとつ。当たり前の安心感が目減りし、自分の頭と本能を研ぎ澄ませた「生存戦略」が突破口になるはずです。

2019年はウェブメディアが揺れ動いた底の時期だと思いたい。「来年はもっとよくなるのではないか?」希望的観測は持ちつつも、心のどこかで市場淘汰の中で需要がなくなって商売が成り立たなくなるのであれば、「それはそれでよし!」の生き方を前向きに確保すべきです。より多くの水場を持っている動物が生き永らえるように、あらゆる選択肢を持ちながら、決断力と生きるコストを天秤にかけつづけなければいけません。

2019年の仕事振り返り

●ジモコロ(5年目〜)

気づいたら人生を変えた「ジモコロ」も5年目へ突入。内部体制は変わりつつも、クライアントである「アイデム」さんの懐のデカさに助けられながら続いています。まとめ記事の振り返りがすべてです。

来年以降、ローカル領域はより厳しくなりつつも、どこかのタイミングで時代がひっくりかえる。その日まで歯食いしばって、やり続けるしかない。

2020年は日本に大きな変化が訪れる年。地方創生? SDG`s? 時代の流れと共にローカルを取り巻く環境もより厳しくなってきている印象です。毎年、東京の人口が10万人ずつ増えているのが何よりの証拠。地方の若者がどんどん抜けていって、日本を支える一次産業の高齢化が加速するハードな時代なんですよね。私は長野と東京を行き来しながら全国47都道府県を周るのはこれまでと変わりませんが、ジモコロきっかけで入り込んだこの世界、引き続き課題に立ち向かっていく所存です。取材を通して出会った20代、30代、40代のプレイヤーたちは、みんな目をキラキラさせながら、いつか時代がひっくり返るのを待ち望んでいます。私もその時が楽しみで仕方ありません。その日までジモコロが存在し続けることの価値を信じて…!

●Gyoppy!(2年目)

ヤフージャパン×Huuuu×くいしんの三位一体な体制で挑んでいる、海の課題を解決するメディア「Gyoppy!(ギョッピー)」。船頭のはせたくさんが長年「意地」を積み重ねてきた甲斐あって、時代にどんどんハマってきています。秋に公開した「サンマ」の記事は、SNSはもちろん、ヤフトピ砲もあいまってい100万PV超え…! 漁業記事を一般へ届ける難しさは日々感じているなかでのこの結果は、みんなの酒がうまくなるほどに甘美なものでした。

海を通して気候変動、プラスチック問題、日本人の食育など、生きるために不可欠な知識と価値観がどんどんインストールされていくお仕事。まだ2年目ですが、2022年まで「意地」を張って続けていれば絶対に化けるメディアだと思います。追い込まれた世界にしかイノベーションが起きないんだから。日本人にとっての「海」「漁業」が、どれだけ時間差で一般庶民の「不安」を揺さぶるのか。社会問題を身近にしてくれる神様の登場、待つしかないよ!

手前味噌ですが、一周年の座談会レポートがおもしろいのでぜひ!


●CAIXA -好奇心を入れる箱-(立ち上げたばかり)

だんごさんの成長のため、そしてライターたちの本当に書きたいこと、取材したいことをぶち込み箱としてモメンタムホースと協業で作った自社メディア「CAIXA(カイシャ)」。まだ立ち上げたばかりで難しいところもあるんですけど、自由度と抽象度の高いテーマを設けて、連続的に取材する価値はめちゃめちゃ高いと思っています。

最初のテーマは「会社の価値」。前職の社長であるシモダテツヤとの対談取材をタイ・バンコクでやってきました。新人・ひゅうがくんが全方位から詰められながら完成したんですけど、この記事自体はここ数年の僕の感情をひとつ棚卸しできる貴重な機会に。いや、だって、個人的な関係の対談をクライアントメディアでやりづらいじゃないですか。その瞬間に動いた好奇心を形にするメディアがあれば、必ず書き手と企画者の心がグッと浮き上がるはずなんです。

関わりたいライター編集者やCAIXAのスポンサーになりたいって企業がいればぜひお気軽に相談してください。ゴールは冊子作り!


●Dooo!(2年目)

TBSのインタビュー番組「Dooo!(ドゥー)」も2年目。月4回放送から月2回放送に変更したんですが、赤坂での収録が月一回になったのは個人的にリズムを作りやすくて結果オーライ。アーカイヴ価値の高い映像コンテンツをCS放送、各種SNSに拡散。通常放送分とは別にスクエア型+テロップ入りの再編集版も作っています。さらにnoteでの文字起こしテキスト版もTBS側で作ってるのめちゃやばくないですか?

これらはすべてTBSデジタルの仕掛け人・池田さんの手腕です。まさに「ゆっくり、いそげ」を地で行く素晴らしいおじさんです。池田さんナシでは続けられない仕事! さらに普段ローカルであちこち飛び回っている中で、自分のアンテナに引っかからない旬な人たちと毎月ご一緒できるのは意義深い…。やり続けることでどんどんおもしろくなる仕事ってあるんだなとしみじみ感じています。

Doooから役割が広がって、2019参院選の地上波特番の司会にもチャレンジしました。いやー、正直難しかったです。段取りの中でインタビューではなく、場の意見を引き出し、そこに自分の意見も上乗せする。何度も経験積まないとやりきれない仕事だったなぁと振り返りつつも、難しい仕事ほど立ち向かった方が糧になるでまた機会があれば頑張ります!


●やってこ!シンカイ(2年目)

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シンカイに関しては別途noteにまとめたいと思っているんですが、毎月赤字を垂れ流しながらも、長野の実店舗メディアとして捉えつつ、地域に人を呼び込む装置として活用しています。いわゆる関係人口はめちゃめちゃシンカイきっかけで増えていると思いますし、シンカイきっかけで県内の大学生が古着屋「トライアングル」をオープンしました。

元店長のナカノちゃんは出産間近で、夫の中里優くんが二代目店長として頑張ってくれています。お店2.0を掲げたサブスクリプション制度は白旗を上げつつ、リアル店舗としての価値を見出すべく秋に「大改修工事」を実施しました。CAMPFIREで支援していただいた皆さんの気持ちに応えるべく、ウェブメディア同様に「意地」で追加60万円を投資! 結果、めちゃめちゃお店としてかっこよくなり、使いやすくなりました。

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来年2月にシンカイロゴのリニューアルを準備していて、そこに合わせて商品開発や一緒にシンカイを盛り上げてくれる関係者を見つけたいと思っています。シンカイだからこそ、できること。シンカイにしか、できないこと。まだまだ店舗運営に関しても弱々なんですが、引き続き応援のほどよろしくお願いします!

近況については、12月発売の雑誌『TURNS』で赤裸々に語っています。書店で読むもよし、Kindleで読むもよし、なんでもいいのでぜひ!

シンカイで唯一利益になりやすい「シンカイSTORYBOOK」は、まだまだ店舗卸も個人販売も絶賛募集中です。みんな買ってくれ〜。累計1200部突破。

さらにシンカイきっかけで、来年から長野ローカルSBCラジオで「やってこ!久野柿次郎」(毎週月曜19時〜20時 生放送)が決まりました。リアル店舗とラジオレギュラーで長野県内での「ゆっくり、いそげ」を実現していきます。番組スポンサーがつかないと経済的持続力が生まれないので、長野県内でも東京の企業でも、ラジオスポンサーになってください!お願いします!

Huuuuのイチオシ! 「イベント企画×レポート記事」

来年以降、Huuuuのできることとして推したいのが「イベント企画」×「イベント記事」のあわせ技です。

基本手前味噌で「イベントやろうぜ!」なんてノリで形にしているんですけど、2019年に編集で関わった書籍『経営者の孤独。』(これも大きな仕事だった!)の関連イベントは、現場もレポートも面白かったんじゃないかと思っています。

企業はもちろん地方自治体がイベントを仕掛けたいときに相談してもらえたら、Huuuuならではの場所提供、ゲストブッキング、エンタメ寄りの司会(僕がやります)、さらにレポート記事まで横展開の編集ができます。特に地方自治体の行政イベントは「やることが目的」になっていて、もっと面白くできるのに!と顎がガクガク震えることが多い…。こちらから積極的に提案できる関係づくりも来年頑張りたいです。

正社員2名増えたのでお仕事の相談はお気軽に

2019年に友光だんご、小池ひゅうがの2名を正社員雇用しました。つまりHuuuuとして仕事のリソースがグッと増えたと思っていただいて大丈夫です。いかんせん営業を一切せず、柿次郎個人の関係性だけで仕事が連鎖していって、ありがたいことに来年1月で会社4年目へ。ただでさえ消息不明な僕のキャラクターもあいまって、ただの「知る人ぞ知る」な会社の難しさもめちゃめちゃ感じています。

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だから営業・広報的な側面を強めるべく、会社実績資料を作ったのでぜひダウンロードして「メディアやりたいな」「ライター編集者ってどこにいるの?」「地方の文化に詳しいやついる?」「音楽やプロレス、サブカル全般も実はめちゃ好きな人〜!」なんて知り合いに送りつけてやってください。

※閲覧・ダウンロードはこちら

それでは、さようなら。



1982年生まれ。全国47都道府県のローカル領域を編集している株式会社Huuuuの代表取締役。「ジモコロ」編集長、「Gyoppy!」監修、「Dooo」司会とかやってます。わからないことに編集で立ち向かうぞ!